シグマメトリクスは,検査の精度と正確さを総合的に判断し,品質レベルをシグマ値として定量的に評価することができる。シグマ値は総許容誤差と外部精度管理評価から推定した自施設のデータとのBias,内部精度管理から算出したCVにより算出することができ,シグマ値が高いほど検査の品質が高いと評価される。筆者らは,生化学検査を対象とした研究において,過去の内部精度管理(internal quality control; IQC)測定値から算出したCVを用いて精度管理幅を設定する方法を報告した。本研究では,既報の方法を免疫学的検査に応用し,過去のIQC測定値から算出したCVを用いて管理幅を設定することを目的とし,シグマメトリクスにより精度保証の観点から妥当であるかを評価した。過去のCVを算出する集計期間を1か月間,3か月間,6か月間,9か月間,12か月間の5群に分け,F検定により比較した結果,3か月間以上で有意差を認めなかった。3か月間のCVを用いて算出したシグマ値はすべての項目で4.0以上であり,本研究の範囲内では妥当であることが確認された。本研究の手法は,免疫学的検査に限らず,他の測定系や検査項目にも展開できる可能性があり,長期的なIQCデータを活用した効率的かつ実用的な精度管理方法として,精度保証体制の構築に貢献するものと考えられる。
Sigma metrics provide a quantitative measure of the overall quality of an analytical process as a single performance indicator. The sigma value is calculated from the total allowable error (TEa), bias estimated from external quality assessment (EQA) data, and the coefficient of variation (CV) derived from internal quality control (IQC) data; a higher sigma value indicates superior analytical quality. In a previous study on clinical chemistry, we reported a method for establishing IQC control limits based on CVs calculated from historical IQC data. The present study aimed to apply this approach to immunoassays and to evaluate its validity using sigma metrics. Historical IQC data were grouped into five aggregation periods (1, 3, 6, 9, and 12 months), and CVs were compared using F‑tests. No significant differences were observed among CVs calculated from data aggregated over 3 months or more. Sigma values calculated using 3-month CVs were ≥ 4.0 for all analytes, confirming the appropriateness of this method within the scope of this study. This approach—utilizing long-term IQC data to verify CV stability and define control limits—is applicable beyond immunoassays and provides a practical, statistically supported strategy for efficient quality control, contributing to the strengthening of quality assurance systems.
臨床検査は診断・治療・予後の評価に重要な役割を担っており,その正確性は医療の質を左右するため,内部精度管理(internal quality control; IQC)により検査結果の再現性および変動の把握をすることは臨床的判断の根拠として不可欠である1)。
検査室の分析プロセスを評価する指標として,シックスシグマの概念から応用されたシグマメトリクスが知られており,検査の精度と正確さを総合的に判断し,品質レベルをシグマ値として定量的に表すことで評価することができる2),3)。シグマメトリクスは総許容誤差(total allowable error; TEa)と外部精度管理評価(external quality assessment; EQA)から推定した自施設のデータとのBias,IQC測定値から算出した変動係数(coefficient of variation; CV)により求めることができ,シグマ値が高いほど品質が高いと評価される。
一方で,IQCは日常業務において検査の再現性と精度を保証するための最も基本的かつ重要な手段として位置づけられており4),日常のIQCの手法として多くの施設では,目標値 ± 2SDを警告限界,± 3SDを管理限界とし,xbar管理図,xbar-R管理図にて精度を監視している。これらの精度管理幅(以下,管理幅とする)の算出は,日本臨床衛生検査技師会から出版されている臨床検査精度保証教本5)で推奨される方法が用いられ,複数濃度の管理試料を日常検査と同じ測定回数(複数回)で20~30日間反復測定して得た平均値,標準偏差(standard deviation; SD)を算出する方法が用いられている。免疫学的検査は測定系の感度や試薬のロット間差,機種間差の影響を受けやすく,短期間の集計により算出したSDによる管理幅の設定では長期的な日常業務での安定性を十分に反映することが難しい場合もあり,安定したデータに基づく管理幅の設定が望まれる。筆者らは,以前,生化学検査を対象とした研究において,過去のIQC測定値から算出したCVに対してF検定により安定性評価を行い,統計的に安定と判断された期間のCVを用いて管理幅を設定する方法を報告した6)。本研究では,既報の方法を免疫学的検査に応用し,過去のIQC測定値から算出したCVを用いて管理幅を設定することを目的とし,シグマメトリクスにより精度保証の観点から妥当であるかを評価したので報告する。
測定機器はCobas e801,測定項目はFT3,FT4,TSH,CEA,AFP,CA19-9,CA125,CA15-3,PSA,CYFRA,精度管理試料は各項目の低濃度,高濃度専用コントロールを用いた(すべてロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)。各項目の測定パラメータと校正物質は,メーカー指定の測定パラメータと校正物質を利用した。2024年4月から2025年3月までの1年間のIQC測定値を集計し,精度管理試料のロット差を含む通常運用下で得られた高値および低値の測定値を対象とした。
なお,論文内の統計解析には統計解析ソフトEZR(Ver. 1.41)を使用し,統計解析ソフトR,RコマンダーはそれぞれVer. 3.6.1,Ver. 2.6-1を使用した7)。また,p < 0.05を統計学的に有意と判断した。
2. 方法 1) CVの安定性評価IQCの測定値は短期間ではロット変更や偶発的な誤差によりばらつきが大きく,一定期間を経ることで変動は収束する傾向があり,Westgardの報告8)においても長期的なIQCデータの活用の考え方が提唱されている。管理幅を設定するための安定したCVが取得できる期間を求めるために,過去1年間のIQC測定値からCVを算出する集計期間を1か月間,3か月間,6か月間,9か月間,12か月間の5群に分け,IQC測定値の集計期間の違いによるCVをF検定により比較した。F検定により有意差が認められなかった期間を「安定期間」と定義した。なお,IQC測定値の集計期間内には複数ロットの精度管理試料が含まれている場合もあり,ロット間の変動も含めた再現性を評価する目的で,ロットごとにデータ数を考慮した重み付け平均によってTotal CVを算出した。
2) シグマメトリクスの概要シグマメトリクスは,一連のプロセスが完全な状態からどの程度逸脱しているかを標準偏差により表すシグマを用いて,分析プロセスの改善に役立てるシックスシグマをより定量的に評価できる品質マネジメントツールである2),3)。シグマメトリクスはTEaとEQAから推定されるBias,IQC測定値のCVによりシグマ値を算出し,分析プロセスでの100万テストあたりのエラー数を推定することができる9)~11)。シグマメトリクスはTEaを基準にして検査の精度(CV)と正確さ(Bias)を評価することができる指標であり,設定したTEaに対して品質が十分であるか判断することができる。Table 1にシグマ値と,それに対応する100万テストあたりのエラー数及びカテゴリー分類を示す12)。本研究では過去のIQCのTotal CVを計算に組み込みシグマ値を算出することで,IQCの管理幅として妥当であるかを評価した。
| Sigma | 100万測定あたりの欠陥数 | カテゴリー分類 |
|---|---|---|
| 6.0 | 3.4 | world class performance |
| 5.0 | 230 | excellent |
| 4.0 | 6,210 | good |
| 3.0 | 66,800 | acceptable |
| 2.0 | 308,000 | poor |
| 1.0 | 690,000 | unacceptable |
シグマ値はTEa,EQAから推定されるBias,IQC測定値から算出したCVにより以下の計算式①より算出した。
式①
TEaは臨床的意義に基づいて生物学的変動などにより設定され,測定値が許容される誤差の範囲を示す。本研究では,各項目におけるTEaをRicosら13)によって示されている生物学的変動に基づく許容誤差限界を参照に欧州臨床化学・臨床検査医学連盟(European Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine; EFLM)が推奨しているDesirable Levelにより算出し,低濃度,高濃度ともに共通のTEaを用いた14)。
Biasは測定値の真の値から系統的な偏りを示すパラメータである。本研究では,当院が過去5年間に参加したEQAの測定結果から,各項目の測定値と目標値から以下の計算式②により相対的なBiasを算出し,Biasの絶対値の平均値をシグマ値の算出に用いた。また,EQAの測定値により低濃度,高濃度を分けてBiasを算出した。
式②
CVは方法1)CVの安定性評価でF検定により有意差を認めなかった安定期間のTotal CVを用いた。
4) シグマ値の評価シグマ値は100万テストあたりのエラー数が発生する頻度から品質を評価できる指標であり,6シグマは3.4エラー,5シグマは230エラー,4シグマは6,210エラー,3シグマは66,800エラー,2シグマは308,000エラー,1シグマは6,900,000エラーに相当する。また,シグマ値に応じて,> 6:world class performance,5–6:excellent,4–5:good,3–4:acceptable,2–3:poor,< 2:unacceptableとカテゴリー分類される12)。本研究では上記を参考に,算出したシグマ値が4.0以上であれば,Total CVによる管理幅の設定が妥当であると判断した。
各項目の各期間のCVをTable 2A, Bに示す。F検定の結果,CEA,CA19-9,CA125,CA15-3は集計期間により有意差を認めなかったが,FT3,FT4,TSH,AFP,PSA,CYFRAは集計期間1か月間で他の期間と有意差を認めた。すべての項目でIQC測定値の集計期間の差により有意差を認めなかった3か月間を安定期間とし,低濃度,高濃度それぞれのTotal CVを算出した。
| A.低濃度 | B.高濃度 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Low | 1か月間 | 3か月間 | 6か月間 | 9か月間 | 12か月間 | High | 1か月間 | 3か月間 | 6か月間 | 9か月間 | 12か月間 |
| FT3 | 2.38 | 1.92 | 1.88 | 1.96 | 1.95 | FT3 | 2.28 | 1.83 | 1.79 | 1.88 | 1.85 |
| FT4 | 2.13 | 1.55 | 1.58 | 1.62 | 1.69 | FT4 | 2.14 | 1.58 | 1.62 | 1.69 | 1.68 |
| TSH | 1.99 | 2.10 | 2.45 | 2.35 | 2.15 | TSH | 1.45 | 1.94 | 2.11 | 2.03 | 1.91 |
| CEA | 2.02 | 2.35 | 2.47 | 2.17 | 2.01 | CEA | 1.68 | 1.72 | 1.75 | 1.59 | 1.58 |
| AFP | 1.95 | 2.61 | 2.72 | 2.67 | 2.64 | AFP | 1.75 | 2.32 | 2.42 | 2.36 | 2.38 |
| CA19-9 | 2.31 | 2.26 | 2.27 | 2.15 | 2.18 | CA19-9 | 1.75 | 2.11 | 2.04 | 1.96 | 1.94 |
| CA125 | 1.59 | 1.63 | 1.71 | 1.62 | 1.67 | CA125 | 1.80 | 1.62 | 1.53 | 1.49 | 1.52 |
| CA15-3 | 3.21 | 3.11 | 3.23 | 3.17 | 3.22 | CA15-3 | 3.11 | 3.23 | 3.02 | 2.97 | 2.90 |
| PSA | 1.60 | 1.82 | 1.96 | 1.94 | 1.83 | PSA | 1.62 | 1.88 | 1.86 | 1.85 | 1.75 |
| CYFRA | 1.15 | 2.10 | 2.12 | 1.92 | 1.99 | CYFRA | 1.07 | 1.67 | 1.74 | 1.60 | 1.66 |
シグマ値の算出に用いた,TEa,Bias,Total CV及び算出したシグマ値をTable 3A, Bに示す。シグマ値は低濃度で4.1~16.3,高濃度で4.1~11.8とすべての項目でシグマ値4.0以上であった。
| A.低濃度 | B.高濃度 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Low | TEa | Bias | Total CV | Sigma | High | TEa | Bias | Total CV | Sigma |
| FT3 | 8.6 | 0.7 | 1.9 | 4.1 | FT3 | 8.6 | 1.2 | 1.8 | 4.1 |
| FT4 | 10.1 | 1.5 | 1.6 | 5.6 | FT4 | 10.1 | 1.1 | 1.6 | 5.7 |
| TSH | 22.9 | 3.8 | 2.1 | 9.1 | TSH | 22.9 | 1.2 | 1.9 | 11.2 |
| CEA | 23.7 | 2.6 | 2.6 | 8.1 | CEA | 23.7 | 3.1 | 2.3 | 8.9 |
| AFP | 28.5 | 2.0 | 1.6 | 16.3 | AFP | 28.5 | 2.6 | 1.6 | 16.0 |
| CA19-9 | 28.5 | 3.0 | 3.1 | 8.2 | CA19-9 | 28.5 | 4.7 | 3.2 | 7.4 |
| CA125 | 24.9 | 4.0 | 2.3 | 9.2 | CA125 | 24.9 | 2.6 | 2.1 | 10.6 |
| CA15-3 | 20.0 | 3.7 | 2.4 | 6.9 | CA15-3 | 20.0 | 2.4 | 1.7 | 10.3 |
| PSA | 15.6 | 3.1 | 1.8 | 6.8 | PSA | 15.6 | 2.7 | 1.9 | 6.8 |
| CYFRA | 23.1 | 3.7 | 2.1 | 9.2 | CYFRA | 23.1 | 3.3 | 1.7 | 11.8 |
本研究では,免疫学的検査において過去のIQC測定値から算出したCVを管理幅の設定に利用することを目的に検査室の分析プロセスを評価する指標であるシグマメトリクスにより管理幅が妥当であるかを評価した。
過去1年間のIQC測定値を5群に分け,それぞれの期間で算出したCVに対してF検定を用いて安定性を評価した。統計的に有意差のない3か月間を安定期間とし,ロットごとのデータ数を考慮した重み付け平均によってTotal CVを算出した。さらに,過去5年間のEQA結果から相対的なBiasを求め,Ricosらの生物学的変動に基づくTEaを用いてシグマ値を算出した。その結果,全項目で低濃度,高濃度ともにシグマ値が4.0を上回った。本研究においては,項目ごとのBias,Total CVに大きな差はなく,シグマ値の差はTEaの設定値の違いが大きく影響していると考えられる。FT3,FT4は許容誤差限界が小さく設定されており,同程度のCVであってもシグマ値は低くなる傾向を示した。加えて,FT3,FT4は測定原理に競合法を用いておりシグナルが逆相関するため,再現性が低くなりやすいことも要因であると考える。一方,腫瘍マーカーの多くはサンドイッチ法を用いており,ロット差やマトリクスの影響が競合法より小さく,再現性が安定しやすい15)。また,同じTEaでもCA19-9のようにCVが比較的大きい項目ではシグマ値がやや低下しており,AFPではBiasが小さいため特に高いシグマ値を示したと考える。
F検定の結果では,1か月の集計期間で得られたCVが他の4群との間で有意差を認めた項目も多く,短期間のデータから得られるCVはばらつきが大きいことが示された。この結果は生化学検査と同様に現状の課題であると考える。また,免疫学的検査においても,短期間のデータから得られるCVに基づく管理幅の設定に比べ,統計的に安定性が確認された期間を基準としたTotal CVにより設定した管理幅は,より現実的な再現性と精度を反映していることを示唆している。すなわち,1か月単位での管理幅設定では,過剰な反応や見逃しを招くリスクがあることを意味しており,Westgardの報告8)と同様に管理の基準としての長期CVの有用性を支持する結果であると考える。
Biasについては,文献値ではなく自施設のEQA結果を用いたことで,施設特有の測定傾向を反映した現実的な評価が可能となった。一方で,EQAは配布試料の特性や評価母集団の構成に依存するため,施設間差の影響を完全に排除することは困難であった。本研究ではこの影響を最小限に抑えるため,単年度の値ではなく,過去5年間のEQA結果から得られた相対的なBiasの平均値を用いて評価することで,偶発的な年次変動の影響を減らすように配慮した。しかしBiasの施設間差は完全に一般化できていないため,自施設のBiasを算出した上で検証する必要がある。またBias算出時には施設内の偶発誤差を軽減するためにも過去数年分のEQA結果を用いることが望ましいと考える。
TEaは,臨床的意義を考慮した生物学的変動などに基づいて設定することで,個々の検査項目の臨床的許容範囲に即した判断が可能である。一方で,施設規模や項目ごとで設定するTEaは異なり,シグマ値はTEaの影響を受けるため,TEaは自施設の患者データや臨床判断に基づき設定することが望ましいと考える。
本研究では,施設間で共有可能な形で管理幅設定手法の有効性を検証することを目的にTEaを設定した。本邦独自のTEaは存在しないため,国際的に広く用いられているRicosの生物学的変動に基づく許容誤差限界を参照にEFLMが推奨しているDesirable Levelにより算出した。このTEaを基準にTotal CVを用いて算出したシグマ値は,一般的な検査の品質を評価できるものと考える。本研究ではすべての項目でシグマ値が4.0以上であり,Total CVを用いた管理幅の設定が精度保証の観点から妥当であることが示された。
以上の結果から,免疫学的検査においても,生化学検査と同様に,過去のIQC測定値を活用し,統計的に安定性を確認した安定期間を考慮した上で管理幅を設定する手法は有効であると考えられる。また,シグマメトリクスを指標とすることで,精度保証の観点からもその妥当性を裏付けることができた。シグマメトリクスは管理幅の検討にとどまらず,シグマ値の算出に実測値として得られるCVや目標値やSDから逆算したCVを用いることで,自施設の測定系全体の品質水準を定量的に把握する指標としても有用である。目標とする管理限界内に収まっていたとしても,シグマ値が低値となる場合には,測定系精度の問題や改善の余地が存在する可能性が示唆される。このように,継続的なCVの評価を通じて,シグマメトリクスは日常業務における品質モニタリングに積極的に応用されるべき指標であると考える。
なお,本研究で用いているシグマメトリクスにはいくつかの限界がある。Biasの算出には,当院が参加したEQAの測定結果を用いており,EQAにおける配布試料や評価母集団の設定が異なる場合には,他施設で同様のBiasが得られるとは限らない。また,EQAが実施されていない項目や濃度域に対しては,同様の手法が適用できない可能性がある。さらに,TEaの設定においても,生物学的変動に基づいた文献値を用いたため,臨床的な状況に応じて基準の見直しが必要となる場合がある。このように,シグマ値の算出に必要なTEa,EQAから推定されるBias,IQC測定値のCVは固定ではなく,施設間により異なるため,今回の結果がすべての施設で適用できるとは限らない。これらの点を踏まえ,今後はより広範な項目・装置間・施設間での検討を行い,再現性と実用性の高い管理幅設定手法の確立を目指すためにさらなる検討が必要である。
本研究では,免疫学的検査10項目を対象に過去のIQC測定値から算出したCVをシグマメトリクスにより,管理幅としての妥当性を評価した。3か月間の測定値から算出したTotal CVを用いることですべての項目においてシグマメトリクスは4.0以上を示し,過去のIQC測定値を用いて得られたTotal CVによる管理幅の設定は,精度保証の観点からも本研究の範囲内では妥当であることが確認された。本研究の手法は,免疫学的検査に限らず,他の測定系や検査項目にも展開できる可能性があり,長期的なIQCデータを活用した効率的かつ実用的な精度管理方法として,精度保証体制の構築に貢献するものと考えられる。今後の課題として,他施設のデータでも同様の検証を行い,本法が妥当であるかを検証していきたい。
本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。