医学検査
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技術論文
分子病理解析における細胞診標本の有用性と核酸品質の安定性の検討
長谷川 祐二山下 和也久場 樹坂口 忍横山 いさみ吉田 功三枝 信村雲 芳樹
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2026 年 75 巻 2 号 p. 280-288

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抄録

近年,がんゲノム医療を中心に病理標本を用いた遺伝子解析が増えている。対象材料はホルマリン固定組織標本となるが,ホルマリンによる核酸の分断化が生じ,検査に難渋することがある。一方,アルコール固定された細胞診標本は核酸品質が良好と推測されるが,遺伝子解析において細胞診材料の有用性について十分な知見は得られていない。そこで,細胞診材料の有効性を示すために検討を行った。検討1は対となる細胞診と組織標本の核酸品質と遺伝子変異解析を比較し,検討2では細胞診標本の経年劣化による影響を,核酸品質と遺伝子変異解析を指標に調査した。DNAとRNAは核酸収量,核酸純度,DIN値,RIN値,遺伝子変異解析はEGFRを測定した。結果,検討1は,組織標本に比較して細胞診標本でDNAの核酸収量,核酸純度,DIN値が低いものの,1症例を除きEGFR遺伝子解析結果は一致した。RNAの核酸収量,核酸品質は細胞診と組織標本ともに同等であった。検討2は,保管期間が1年未満で,DNAの核酸収量,DIN値が高く,5年以上6年未満経過後も,EGFR遺伝子解析は成功した。RNAは各保管期間で大差は認められなかった。従って,ゲノム解析における細胞診標本の有用性は,核酸品質を考慮すると保管期間が1年未満の標本が適している。一方,遺伝子変異解析では,保管5年以上6年未満の細胞診染色標本において経年劣化の影響を受けず解析可能であることから,組織標本が入手困難な場合,細胞診標本の利用が有効と考えられた。

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