過粘稠度症候群は血液粘稠度の上昇により出血傾向や視覚障害を呈し,検査値に影響を及ぼすことがある。今回,血清粘稠度の上昇により生化学自動分析装置でサンプル吸引エラーを生じた症例を経験したので報告する。症例は80歳代男性。持続する口腔内出血のため入院し,初回生化学検査で再遠心後も吸引エラーが反復したがフィブリン析出は認めなかった。検体観察で血清の粘稠性を認めたため主治医と協議しNa,K,Cl以外の項目で生理食塩水による希釈測定を行ったところ,測定可能となった。大部分の項目では2倍および4倍希釈で直線性の確認を行い,高値であったIgAは8倍希釈で測定して報告した。一方,血球数算定検査および凝固検査では吸引エラーを認めなかった。高蛋白血症とIgG,IgAの著明な増加を認めシェーグレン症候群と診断され,免疫グロブリン増加による過粘稠度が吸引エラーの原因と考えられた。治療として血漿交換療法が施行され,総蛋白および免疫グロブリン値の低下とともに臨床症状が改善した。このことから,本症例における血清粘稠度の上昇は免疫グロブリンの増加に関連していたと考えられた。サンプル吸引エラー発生時にはフィブリン析出のみならず検体粘稠度の異常を考慮し,検体観察と希釈測定を行うことが重要である。