論文ID: 24J1-12
臨床研究において,要因と患者アウトカムに関する研究は関心が高い。患者を何日間観察した結果(入院患者であれば,それは在院日数に該当),「(軽快)退院した」もしくは「死亡した」という観察結果に関する情報は非常に重要である。ロジスティック回帰分析はアウトカムとその要因との関係を解析する代表的な解析手法であるが,観察期間が加味できない。生存時間解析には,生存時間を表した生存時間曲線(カプランマイヤー曲線)と,生存時間の比較であるログランク検定ならびに観察時間を加味した回帰分析であるCox比例ハザードモデルがよく用いられる。最低限必要なデータは,観察期間(時間・日・年 等)と2値であるアウトカムである。重症度や治療行為といった分類変数があれば生存時間曲線の比較(ログランク検定)が,さらに年齢,性別および入院時検査所見といった患者背景(共変量)があれば,生存時間の多変量回帰分析であるCox比例ハザードモデルを適用することができる。数理的な背景から理解すると難解になりがちだが,統計ソフトを用いることで簡単に解析を行うことができる。