2009 年 13 巻 1 号 p. 43-50
本研究の目的は、北海道の低人口密度地域の中・小規模病院の病棟看護職の職務満足度に関連する要因を検討し、職務満足を高め、看護師の確保・定着を推進し、ケアの質を向上し、患者満足度を高め、患者も看護職も引き寄せられるような職場環境づくりをする上での看護管理の示唆を得ることとした。
調査は、2007年2月、道内の中・小規模5病院の病棟看護職274名に自記式質問紙を配付し、186名からの返却を得、有効回答の149名分を分析した。調査項目は、Herzbergら(1959)のMotivation-Hygiene Theoryを参考に、101項目とした。「職務満足度」測定尺度は尾崎ら(1988)の48項目を、看護の専門性が発揮できる職場環境因子は小林ら(2006)の日本語版NWI-R 57項目の下位尺度21項目を、両者の許可を得て使用した。因子分析、Spearman の順位相関分析、重回帰分析を行い、職務満足度との関連の強さをパス図に表した。結論として、1.「職務満足」との関連要因はMaintenance(Hygiene)要因の「仕事上の条件」6項目、「師長のサポート」4項目、マイナス要因の「最近1ヶ月の勤務状況」7項目と、Motivation要因の「やり甲斐体験」3項目、「役職の有無」であった。2.「職務満足度」は都市部の大規模病院看護職の評価ほどは高くなく、「疲労蓄積度」は職務満足を低める要因であった。この向上を図るには、Motivation要因の「患者ケアの質保証」ができる環境づくりと上司や先輩からの承認行為を増やすなどの看護管理上の施策が必要との示唆を得た。