日本看護管理学会誌
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退院調整体制の整備に向けた調査研究
高倉 倫子森山 美知子中西 京子
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2009 年 13 巻 1 号 p. 33-42

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抄録

【目的】

滋賀県では,平成16年度より厚生労働省から事業費を受け,在宅医療の推進を目指している.しかし,滋賀県内において病院における退院調整がまだ十分に機能しているとはいえない状況であり,本調査は,滋賀県内における病院の退院調整体制の整備状況と地域連携の実態を調査し,現状と問題点を抽出することを目的とした.

【方法】

滋賀県病院協会会員病院,全61病院に対し郵送による自記式質問紙調査を実施し,解析にはSPSSver10.1を用いた.

倫理的配慮として,病院名は一切公開せず,全体としてまとめた.調査病院へは,調査協力依頼書,研究計画書,同意書及び同意取消書を郵送し,文書で同意の返信を得た.

【結果】

退院調整と地域連携の重要性は病院の管理層には十分に認識されており(回答率86.9%),退院調整部署は約半数の病院に設置されていた.その一方で,約8割の病院において円滑な退院が困難な経験をしており,家族の抵抗と地域の施設・医療資源不足が主な原因であると認識されていた.医療機関の地域内での連携は未だ十分とは言えず,この地域連携の脆弱さが家族の介護力の低さや地域の資源不足の問題の解決を困難にしていることが推察された.

【結論】

退院調整部署の設置と適切な人材の配置と育成,必要な地域資源の創出や地域ネットワークの構築,これを具現化するための地域内の合同会議の実施や地域連携パスの開発などの必要性が示唆された.

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© 2009 一般社団法人 日本看護管理学会
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