日本看護管理学会誌
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A県下における院内教育の成果に影響する要因の分析
―院内教育の構造・過程との関連―
西園 民子平井 さよ子飯島 佐知子賀沢 弥貴
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2009 年 13 巻 2 号 p. 58-65

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抄録

本研究の目的は,病院で行われている院内教育の成果(採用率・離職率・自己効力・看護師の自律性等)に影響する要因として,院内教育の構造(研修時間・予算等)・過程(看護実践能力評価・目標管理)との関連を分析することである.

A県下の同意の得られた33病院の,1年目看護師653人と4・5年目看護師794人を対象に自記式質問紙調査を行った.分析の結果,以下のことが明らかになった.

1.採用率は,院内教育総時間と院内教育1人当たり費用と相関があった.

2.離職率と採用率を従属変数,院内教育の構造・過程の要因を独立変数にして重回帰分析をした結果,院内教育1人当たり費用,目標管理,看護技術時間が離職率に影響していた.

3.1年目看護師は病院選択理由に勤務地,院内教育の充実をあげ,オリエンテーション満足度は専任の教育担当者のいる病院の満足度が高かった.

4.4.5年目看護師の院内教育満足度高群と低群と院内教育の構造・過程でロジスティック回帰分析を行った結果,院内教育満足にも目標管理が作用していた.

5.自己効力感,看護師の自律性に関連のある院内教育の構造・過程の因子は見出せなかった.

以上の結果から院内教育の構造と過程を充実させることは,採用率を高め離職率を低下させることができる示唆が得られた.

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© 2009 一般社団法人 日本看護管理学会
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