キャリア試行期とは,キャリア発達の中でその方向性が確立していく重要な時期である.本研究の目的は,キャリア発達の方法の一つと考えられている病院内異動がキャリア試行期にある看護師にとって,どのような経験となっているのかを明らかとすることである.3つの異なる病院に勤務している6人の看護師に半構成的面接を実施し,データを質的帰納的に分析した.キャリア試行期の看護師は,異動前,【将来のキャリアの模索】と【成長を望む気持ちから生じた他部署への興味】を持っていた.そして異動後,【異動後3~4ヶ月から生じる慣れの感覚】を持ちながらも【前部署と現部署の価値観の違いに葛藤】,【環境の変化に対する戸惑い】,【立場の変化】を自覚し,【前部署と同様の能力が発揮できない】経験をしていた.しかし,その一方で【経験者であるための現部署からの役割期待】を感じていた.また,キャリア試行期の看護師にとって異動は,【自分の好みや適性の発見】と【看護専門能力の得失】を経験し,【職業人としての成長】をする実感や【異動経験が力になる実感】を持ち,キャリア発達にとって意味ある出来事となっていた.そして,これらは,【今後のキャリアの再検討】をする経験となっていた.