2013 年 17 巻 2 号 p. 157-164
看護師の業務拡大が検討されている.そこから患者家族へ病状その他の補足説明を行うことが看護師の重要な役割となってくることが予測される.それに備えるためには,医師が行っているインフォームド・コンセントの内容等を十分に把握しておく必要がある.そこで,本研究では,医師によって患者とその家族に行われたインフォームド・コンセントの内容を分析し,看護師が説明を行う場合の基礎資料とすることを目的とした.研究対象は,A病院の現場録音システムに保存された医師から患者・家族へのインフォームド・コンセントの記録であった.データの分析にはテキストマイニングを用いた.さらに説明内容を項目別に分析した.項目はA病院のインフォームド・コンセントの基準に基づく9項目であった.
結果,重要度キーワードランキングでは,<手術><麻酔><輸血>といった言葉が上位にあり,出現頻度も多かった.説明内容の分析から,医師が行ったインフォームド・コンセントは,病状とその経過に関する説明が中心であったことがわかった.患者の具体的希望についての出現割合は低く,検査や治療の同意を撤回する場合については全く説明されていなかった.また,説明では専門用語が多く使われており,今回の研究から医師の説明を患者が理解できたかどうか疑問が残った.この結果から,看護師が医師と討議し,患者や家族に対してわかりやすい言葉で補足説明していく必要があることが明らかとなった.