日本看護管理学会誌
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原著
中小規模病院における認定看護師による専門分野の看護の組織化とスタッフナースの仕事意欲との関連
小野 園枝金子 さゆり
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2021 年 25 巻 1 号 p. 204-215

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抄録

目的:認定看護師(以下Certified Nurse: CN)による専門分野の看護の組織化とスタッフナースの仕事意欲の関連を明らかにすることである.

方法:全国の400床以下の一般病院に勤務するCN 337名とスタッフナース1685名を対象に,CNには個人属性,認定看護師による専門分野の看護の組織化について尋ね,スタッフナースにはスタッフナースの仕事への意欲を尋ねた.CNの属性,認定看護師による専門分野の看護の組織化,スタッフナースの仕事意欲の関係モデルを共分散構造分析で検討した.

結果:回収はCN 286部,スタッフナース1266部であった.関係モデルの適合度は,GFI=.990 AGFI=.976 CFI=.991 RMSEA=.042であった.関係モデルは,【認定看護師経験年数10年以上】から【問題解決への行動】を経由し,【積極的なコミュニケーション】から,スタッフナースの【仕事による自己実現】への関連と,【施設外活動あり】から【積極的なコミュニケーション】を経由し,スタッフナースの【仕事による自己実現】への関連の2つのルートが明らかになった.

考察:CNは経験から事例への対応を身につけ,それを教訓としてスタッフナースに対し自信をもって積極的にコミュニケーションを図っていることが示唆された.また施設外活動を通してコミュニケーションスキルを向上させている可能性が示唆された.さらに,スタッフナースに対して,専門分野の看護の組織化の成功体験や成長を積極的にフィードバックすることが,スタッフナースの仕事の達成感や満足感を高めている可能性が示唆された.

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