日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
Print ISSN : 1347-0140
ISSN-L : 1347-0140
原著
療養病床における看護職と介護職の協働関係構築に関する看護管理者能力の測定
―看護職評価用尺度の開発を中心に―
大儀 律子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 25 巻 1 号 p. 96-107

詳細
抄録

本研究の目的は,療養病床(医療療養病床,介護療養病床)で働く看護職と介護職の協働を図るために,看護職の立場から見て病棟看護管理者が持つべきコンピテンシーを測定する尺度を開発することである.本研究は,まず予備調査を通じて,測定概念を明確化し,仮尺度の質問項目を作成した.次に平均値の標準偏差及びI-T相関を経て確定した34項目の「管理者コンピテンシー測定尺度」試作版について,看護職に調査への協力を依頼し,853名(有効回答率64.6%)から回答を得た.このデータについて,記述統計量,因子分析,安定性分析(再テスト法)・内部信頼性分析(Cronbachα係数),関連尺度との基準的妥当性分析を行った.その結果,尺度全体及び「コンフリクトマネジメント」,「病棟内コミュニケーション」,「信頼の醸成」,「専門性への理解」,「目標共有の取組み」という34の質問項目より抽出した5つの下位尺度が信頼性,妥当性及び時間的安定性を有することを確認した.各因子の信頼性はCronbachα係数値では0.72~0.82(p<0.01),安定性分析においてもそれに近い値が得られた.その結果を踏まえて,本尺度は,複雑な人員構成を特徴とする療養病床の病棟において,看護職と介護職の協働を図る病棟看護管理者の自己評価及び病棟の実態把握に適するものであると結論付けられた.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本看護管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top