2022 年 26 巻 1 号 p. 170-178
患者のニーズが複雑化している中で,質の高い看護を効率的に提供するためには,看護管理についての知識や技術を身に着けておく必要がある.そのために,看護師を育成する看護基礎教育から看護管理学を教授していくことが求められる.そこで本研究は,看護基礎教育で教授することが重要と思われる看護管理学の内容について,看護管理者や看護管理研究者を含む有識者の認識から明らかにすることを目的とした.
研究方法はデルファイ法であり,調査票を用いてデータを収集した.対象者は,一般社団法人日本看護管理学会理事,監事,評議員134名,調査項目は日本看護管理学会教育委員会委員が,既存のカリキュラムや文献を参考に選定した59項目とした.Webにてデルファイ法3回の調査票を配布し,看護基礎教育で教授する上での重要度を5件法にて尋ねた.中央値4以上,IQR 1以下,項目の評価4以上の百分率が75%以上であることを重要度が高いと判断した.
デルファイ法3回の調査を経て,看護基礎教育における看護管理学の学習内容32項目が同定された.これらの項目には,新人看護師が看護ケアを行う際に必要となるマネジメント能力や専門職としての在り方を示すものが含まれていた.看護基礎教育と新人看護職員研修における看護管理学教育の連続性についても検討する必要が示唆された.