日本看護管理学会誌
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急性期病院に勤務する病棟看護師長の患者ラウンドの目的と看護管理への活用の構造
渋谷 紋子奥山 絢子佐々木 美奈子
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 26 巻 1 号 p. 159-169

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抄録

看護師長の多くは患者ラウンドを行っているが,その指針がある病院は日本全体の23%にとどまっている.本研究では,急性期病院で看護師長が行う患者ラウンドの行動指針への示唆を得るために,急性期病院に勤務する看護師長が行う患者ラウンドの目的及び看護管理への活用の構造について明らかにすることを目的とした.急性期病院に勤務し良好な病棟管理を行っている看護師長10名に対し,半構成的面接を実施し,KJ法を参考に分析を行った.急性期病院の看護師長の患者ラウンドの目的として,【患者ラウンドの結果を活用して効果的・効率的なスタッフ教育につなげる】【看護師長として積極的に関わりスタッフのケアの提供をサポートする】【看護師長の直観や気づきから得られる情報をケアに活かし満足度向上につなげる】【急性期医療を提供している自部署の医療サービスの質を評価する】【急性期病院の役割発揮のために速やかに効果的なベッドコントロールにつなげる】【患者ラウンドで成功体験を得ることで看護師長としてのワーク・モチベーションにつなげる】の6つの最終ラベルが抽出された.さらに,最終ラベルの関係性を構造化し,看護師長が看護管理に患者ラウンドをどのように活用しているのかを明らかにした.本研究結果を参考にして患者ラウンドを行うことで,急性期病院における良好な病棟運営の一助となる可能性がある.

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© 2022 一般社団法人 日本看護管理学会
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