日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
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総説
看護師の看護実践能力に関するスコーピングレビュー
井本 英津子
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キーワード: 看護実践, 専門能力, 看護師
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 26 巻 1 号 p. 32-43

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抄録

本研究は看護師の看護実践能力を体系的に把握し,時代の変遷とともに求められる看護実践能力を明らかにして,看護実践能力向上ための教育的支援の示唆を得ることを目的とする.文献検索はCINAL, Medline, 医学中央雑誌を使用し,キーワードは「nursing practice(看護実践)」and「professional competence(専門能力)」and 「nurse(看護師)」とし,査読ありのJournal Articleに限定し検索した.除外基準に基づき45件を選定した.対象文献の看護実践能力の概念,定義を整理し,看護実践能力の構成要素を類似性・相違性の観点から帰納的にスキルごとに分類した.その結果,看護実践能力の概念,定義は統一した見解は示されていなかった.看護実践能力の構成要素は,6つのスキル「手技的スキル」,「状況判断スキル」,「対人関係スキル」,「役割遂行スキル」,「自律的スキル」,「課題解決スキル」が抽出された.さらに看護実践能力は,時代の変遷とともに組織・チームでの自己の役割を意識したスキルが求められていた.今後,看護基礎教育では専門職業人としての学習強化の必要性,看護継続教育では新人期から組織や社会から期待される役割を意識した「状況判断スキル」,「役割遂行スキル」,「自律的スキル」,「課題解決スキル」を学ぶ機会などの教育支援の必要性が示唆された.

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© 2022 一般社団法人 日本看護管理学会
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