本研究は,中堅看護師の職業の継続に影響する個人的な要因を明らかにすることを目的とした.研究協力者は,総合病院および訪問看護ステーションにおいて,臨床経験5年以上の中堅看護師17名を対象に,半構造化面接を行い質的に分析した.分析の結果,『看護職に対する魅力』,『看護職の有意義感』,『看護職に対する適性』,『職場内の対人関係能力』の4つのカテゴリーが抽出された.これら4つのカテゴリーは,中堅看護師の職業を継続する内的な個人的要因として考えることができた.抽出された4つの個人的要因は,互いに影響し合っており,「自分は看護職を継続できる」という意志に影響を与え,「看護職を継続しようとする行動」につながり,「看護職を継続している」という状態にあると解釈することができた.この4つの個人的要因が「自分は看護職を継続できる」という意志に影響を与えている状況は,社会的学習理論の自己効力感で説明することができると考えられた.看護職の職業の継続には,これら4つの個人的要因に対して適切な支援をし,看護職に特化した自己効力感を高める必要があることが示唆された.