2001 年 4 巻 2 号 p. 32-45
本研究の目的は,看護に関する政策の政策形成過程への参加者とその方法,また政策過程へ影響を及ぼす非人格的な因子を明らかにすることにより,効果的で実践的な政策参加と政策提言の実現に寄与することである.研究方法は,1992年に制定された『看護婦等の人材確保の促進に関する法律』を事例としてとりあげ,法律が制定されるまでの政策過程に関して記述されている文書記録と,政策過程にかかわった看護職へのインタビューからデータ収集を行い,分析枠組みを用いて内容の分析を行った.その結果,政策過程への参加者として厚生省,労働省,文部省等の関係省庁,与党の自由民主党と野党の各政党,日本看護協会や日本医療労働組合連合会,日本医師会等の関係団体等が明らかになった.また,それらの主要な参加方法は,厚生省は施策の発表や省庁間・各政党・関係団体との交渉と調整,各政党は政策提言の発表や国会での質疑,関係省庁や関係団体との情報交換と調整,日本看護協会や日本医療労働組合連合会は関係省庁や各政党への要望と政策提言,フォーラムの開催,マスメディアを活用した世論の形成などであり,各参加者が異なる参加方法を用いていた.さらに,非人格的因子として人口構造の変化(少子化高齢化),『第一次医療法改正』や『高齢者保健福祉推進十か年戦略』等といった法律改正や新たな政策の発表,マスメディアと世論の形成,日本の労働環境の変化などが明らかになった.