日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
Print ISSN : 1347-0140
ISSN-L : 1347-0140
4 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論点:ケアの時代の看護管理
原著
  • ―内容妥当性の検討―
    増野 園惠, 勝原 裕美子
    原稿種別: 原著
    2001 年 4 巻 2 号 p. 20-31
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,日本の看護職のためのアサーティブネス・トレーニングプログラムを開発する研究の一部として行われたものであり,「日本の看護職のアサーティブネス傾向測定ツール」を開発し,その内容妥当性を検討することを目的としている.

    まず,既存の3ツールを検討した後,アサーティブにおいて必要な9つの権利をもとに,アサーティブネス,攻撃的なノン・アサーティブネス,受身的なノン・アサーティブネスの3つのコミュニケーションスタイルを表す合計27の設問を作成した.設問は,日本の看護職が日常的に遭遇するであろう状況を示している.作成した設問はランダムに配置し,4段階のライカートスケールで答えるツールとした.次にアサーティブネス研究に携わったことのある2名の看護管理職と1名の看護研究者によるツールの内容妥当性の検討を依頼した.さらに,設問の設定状況と臨床現場の状況との整合性やツールの答え易さを確認するために,13名の臨床経験のある看護系大学院生を対象にパイロットスタディを実施した.その結果,臨床状況を反映した簡便で有用なツールであることが確認された.最後に,アサーティブネス・トレーニングに参加した32名の看護職にトレーニングの前後でツールに答えてもらうとともに,回答後にトレーニング前後のアサーティブネス傾向の変化についてグループで討議をしてもらった.その結果,グループで討議された内容とツールから読みとれるアサーティブネス傾向の変化はほぼ一致しており,ツールの内容妥当性を支持すると考えられた.

  • ―1992年看護婦等の人材確保の促進に関する法律に焦点を当てて―
    柴田 秀子
    原稿種別: 原著
    2001 年 4 巻 2 号 p. 32-45
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,看護に関する政策の政策形成過程への参加者とその方法,また政策過程へ影響を及ぼす非人格的な因子を明らかにすることにより,効果的で実践的な政策参加と政策提言の実現に寄与することである.研究方法は,1992年に制定された『看護婦等の人材確保の促進に関する法律』を事例としてとりあげ,法律が制定されるまでの政策過程に関して記述されている文書記録と,政策過程にかかわった看護職へのインタビューからデータ収集を行い,分析枠組みを用いて内容の分析を行った.その結果,政策過程への参加者として厚生省,労働省,文部省等の関係省庁,与党の自由民主党と野党の各政党,日本看護協会や日本医療労働組合連合会,日本医師会等の関係団体等が明らかになった.また,それらの主要な参加方法は,厚生省は施策の発表や省庁間・各政党・関係団体との交渉と調整,各政党は政策提言の発表や国会での質疑,関係省庁や関係団体との情報交換と調整,日本看護協会や日本医療労働組合連合会は関係省庁や各政党への要望と政策提言,フォーラムの開催,マスメディアを活用した世論の形成などであり,各参加者が異なる参加方法を用いていた.さらに,非人格的因子として人口構造の変化(少子化高齢化),『第一次医療法改正』や『高齢者保健福祉推進十か年戦略』等といった法律改正や新たな政策の発表,マスメディアと世論の形成,日本の労働環境の変化などが明らかになった.

報告
  • ―プリセプターへの支援体制に焦点を当てて―
    中根 薫, 出羽澤 由美子, 中西 睦子, 山本 和代, 永石 かずみ, 井上 敏子, 梶山 紀子
    原稿種別: 報告
    2001 年 4 巻 2 号 p. 46-53
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,プリセプターへの支援体制をプリセプタープログラムの分析から明らかにすることである.1980年代後半から1990年代前半の早期に導入している病床数300床以上の総合病院20施設のプログラムを分析し,以下の結果を得た.

    1. 教育担当部門による支援は,「プリセプターへの集合研修の企画・実施」がすべての施設で行われていたが,その他の活動をあげている施設は少なかった.

    2. 婦長による支援は,実に多岐にわたっており,婦長には多くの役割が期待されていた.

    3. スタッフによる支援は,プリセプターエイド中心型(8施設),チームリーダー中心型(4施設),全員参加型(7施設)のおよそ3パターンに類型化され,各施設の特性とプリセプターシップへの考え方等で工夫されていた.

    以上のことから,プリセプターへの支援は,婦長1人への過剰な負担と活動の限界が考えられた.そのため,支援体制を充実させるためには,スタッフによる支援を効果的に機能するよう確立していくこと,また,教育担当部門においても研修の企画・実施だけではなく各病棟でのプリセプターシップを支援するような組織的活動を行っていく必要性が示唆された.

feedback
Top