日本看護学教育学会誌
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研究報告
病院等医療施設から地域への職域移動に伴う看護師の学びの様態
−拡張的学習論を基軸とする事例検討からの考察−
尾﨑 優子
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2023 年 32 巻 3-2 号 p. 115-127

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抄録

〔目的〕病院等医療施設から地域への職域移動に伴う看護師の学びの様態を、拡張的学習論の概念および分析モデルを用いて明らかにし、その学びの性質を考察する。

〔方法〕病院を離職し在宅支援サービスの仕事に再就職した看護師の属する専門職集団と、地域住民ボランティア集団による協働実践事例を対象に、参与観察法による観察場面の記述およびインタビュー調査により得たデータを分析した。

〔結果〕看護師は、医療と生活の場で必要とされる支援の違いや、生活の場で必要とされる支援に対する専門職集団の限界を矛盾として意識化した。これらが原動力となり、地域住民ボランティア集団と協働し、新しい活動システムの創造に至っていた。

〔考察〕活動システムの変化に随伴して、看護師に「アンラーン」とよばれる学びが生起していたと考えられた。比較的自由な社会空間の中での、看護に近接する異分野の小集団との持続的な相互作用の意義が仮説的に示唆された。

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© 2023 一般社団法人 日本看護学教育学会
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