北ヨーロッパ研究
Online ISSN : 2433-4596
Print ISSN : 1880-2834
ISSN-L : 1880-2834
論文
スウェーデンの派遣事業と再雇用優先権
2000年~2010年における訴訟および労働協約
羽根 由
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 8 巻 p. 39-51

詳細
抄録

雇用保護法第25条の再雇用優先権規定によると、「業務不足」という理由で解雇された労働者は、解雇後9箇月以内であれば以前の使用者に優先的に再雇用される権利を有する。一方、1992年の労働者派遣業合法化以後、 スウェーデンの労働者派遣業は著しく拡大した。2000年代に入り、企業が業務不足を理由に自社の従業員を解雇し、 その後の労働力不足時に派遣労働者を受け入れるという事例が相次いだ。使用者が、再雇用優先権を有するかつての従業員を再雇用せず、 派遣労働者を受け入れることによって、かつての従業員の再雇用優先権を侵害しているのではないか一このことを巡って労働裁判も起こされるようになった。本稿は、 近年の派遣利用がスウェーデンの雇用保護規定の一つ「再雇用優先権」にどのように影響を与えてきたのかに注目し、それに関する主な法律、判例、事件、そして2010年の労働協約運動で新たに結ばれた協約について紹介・考察する。

著者関連情報
2012 『北ヨーロッパ研究』に掲載された著作物の著作権は,著者に帰属するものとします.
前の記事 次の記事
feedback
Top