抄録
新奇な視覚刺激が, 恐怖や不安などの情動反応を起こす機制を知るための一環として, ニワトリのひなを用いて, 孵化後から1羽で暗闇飼育した個体群と, 4羽いっしょに暗闇飼育した集団群を設け, それぞれの半数は生後2日に, 半数は生後4日に, open-fieldにおいて, 出発潜時, 通過区画数 distress callを1分間単位で, 5分間測定した。
その結果, 有意差が見られた事柄をまとめると, 次のようになった。1) 出発潜時は4日-個体群のみが短い。2) 通過区画数は個体飼育の方が多い。また日令が多い方が多い。4群とも時間とともに増加する傾向があるが, 個体飼育においてこれが著しい。3) distress callは個体飼育群が少なく, 日令の多い方が少ない。個体飼育群では時間経過とともに増加の傾向があるが, 集団飼育群では減少の傾向がある。
これらの結果は, 個体飼育群に恐怖が少ないこと, 特に4日-個体群で著しく少ないことを示している。また日令 (成熟) の要因よりも, 飼育条件および飼育期間の要因の方が, 強く作用していることを示している。しかし, 通過区画数とdistress call回数の相関係数が低いこと, 明飼育条件を設けていないこと, 集団群には飼育時からテスト場面への社会的分離があるなど, 今後解決すべき問題が残された。