抄録
キンギョCarassius auratus を用いて, 10日間にわたる弁別刺激の無強化前提示が後の同時弁別学習に及ぼす効果を2つの実験によって検討した。得られた結果は次のようにまとめられる。
1) 弁別刺激前提示群は, 無関連刺激前提示群及び無提示統制群よりも無反応試行数が少なく, 弁別刺激への馴れを示した。
2) 弁別刺激前提示群は, 無関連刺激前提示群及び統制群よりも所要試行数と誤反応試行数が多く, 弁別学習の遅れを示した。
3) 無関連刺激前提示群は, 弁別刺激前提示群及び統制群よりも弁別学習の実行においてすぐれていた。
4) 1日の弁別刺激前提示が22時間の群, 30分の群及び統制群の3群を比べると, 前提示時間が長い群ほど弁別刺激への馴れを示し, 弁別学習が遅れる傾向があった。