4系統の雄マウスを用いて, 12時間明暗サイクルの正常・逆転の2条件と4つの週令群とについて, 24時間回転活動の昼夜周期に関する実験が行なわれた。
24時間回転活動の昼夜周期には, LD条件において, 明から暗への切替時刻に急激な増加を現わす系統 (DBA と I20マウス) と数時間遅延して増加する系統 (C57BL とC3H マウス) とが見出された (Fig.1) 。 DL条件においては, DBA と I20マウスの昼夜周期が逆転し, C57BL と C3Hマウスでは夜間の活動に多少の変動が現われるだけである (Fig.2) 。
24時間総回転数の時間的分布は, LD条件において不活動期に系統差があることを示している (Table 2) 。さらに, DL条件になると, このような傾向が消失したり夜間へ移行したりする。両条件に共通した変動傾向は約3時間にわたって持続することである。分散分析の結果, 週令以外の要因とそれらの交互作用に有意差が認められた。結論的には, マウスの回転活動の昼夜周期は3週令時より現われ, 系統間の遺伝的差異が認められる。また, この周期性が昼夜の明暗サイクルに依存して同調し, 系統間において異なる傾向が認められた。以上の結果は, マウスの行動上ならびに睡眠サイクルにおいて見出された系統差から論議されたが, この周期性が日周性に依存しているか否かについては, 今後の研究によって明らかにされるであろう。
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