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Print ISSN : 1346-4116
研究論文
行政とNPOとの協働事業における評価導入の条件
小田切 康彦新川 達郎
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2010 年 10 巻 1 号 p. 13-26

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抄録
この論文の目的は,行政とNPOの協働事業における評価導入の条件を探り,協働事業評価のあり方を議論することである.分析には,行政とNPOの協働事業に関するアンケート調査のデータを用いた.具体的には,協働事業における行政とNPO両者による事業評価の有無,及び第三者による事業評価の有無を従属変数に設定し,ロジスティック回帰モデルにより分析した.説明変数には,自治体規模・NPO組織規模などの組織要因,そして,事業規模・事業分野・事業契約形態・事業内容などの事業要因を用いて推計を行なった.重要な結果の一つとして,事業形態が評価の有無と関連している傾向が明らかになった.すなわち,行政責任が問われる委託事業では評価が実施されている一方で,補助・助成や共催事業では評価が実施されていない傾向が確認された.この結果は,協働による事業評価が行政主導で行なわれている実態を示唆していると同時に,評価におけるNPOの行政依存を意味すると解釈した.NPOの参画を前提に,協働評価体制の構築に向けた挑戦が求められる.
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© Japan NPO Research Association 2010
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