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Print ISSN : 1346-4116
研究論文
市民参加は学習の帰結か?
―ボランティア行動の社会化プロセス―
三谷 はるよ
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2013 年 13 巻 2 号 p. 37-46

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抄録

本稿は,社会化の視点からボランティア行動の先行要因を検討するものである.日本人のボランティア行動に関するこれまでの研究は,現在の個人属性と参加の関係に注目してきたが,ボランティア行動に対する過去の社会環境の影響については検討してこなかった.そこで本稿は,全国調査データを用いて,子どもの頃のロールモデルの存在や学校教育といった社会化要因がボランティア行動に与える影響,及びそれらを媒介する要因を検討した.主要な分析結果は以下である.第1に,子どもの頃に他者を援助する近所の人と接触していた人は,現在において共感性や一般的信頼が高い傾向にあり,そのためボランティア活動に参加しやすい.第2に,子どもの頃に母親が宗教参加していた人は,現在において宗教参加する傾向にあり,そのためボランティア活動に参加しやすい.以上から,特に子どもの頃に接触した「援助的な近所の人」と「宗教的な母親」によって,日本人のボランティア行動が学習されている可能性が示唆された.

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© 2013 Japan NPO Research Association
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