ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
特集 非営利評価
インパクト評価の概念的整理とSROIの意義
小関 隆志馬場 英朗
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 16 巻 1 号 p. 5-14

詳細
抄録

近年,社会的投資収益率(SROI)をはじめ,非営利組織等に対するインパクト評価手法が注目を集めている.特定の手法が議論されがちだが,まずはフレームワークに沿って評価方法を設計すべきである.これまでにSROIのみならず,IRISやSIMPLE, GIIRSなど多様な評価手法が生み出されたが,非営利組織等はこれらのなかから,自らの評価目的に合致した手法を選ぶ必要がある.SROIは,(1) 貨幣価値換算と (2) 参加型評価という2つの主要な特徴がある.本稿では,(1) 非営利組織等は高いSROIを算出して資金調達の競争に勝とうとしていること,(2) 貨幣価値換算は共通言語として価値中立的ではないことを指摘している.欧米ではSROIに関する研究や議論が多く見られるが,日本ではインパクト評価がまだ非営利組織に広く受け入れられていない段階にある.したがって,インパクト評価のフレームワークを普及し,非営利組織等が評価手法を選べるようにする必要がある.

著者関連情報
© 2016 Japan NPO Research Association
前の記事 次の記事
feedback
Top