2020 年 20 巻 1 号 p. 25-39
日本NPO学会は創設から20年を迎えた.この20年間の大会発表タイトルと学会誌ノンプロフィットレビュー掲載論文の抄録から,研究内容の傾向を分析した.分析方法としては計量テキスト分析(テキストマイニング)を利用した.その結果,日本NPO学会の大会で発表された研究は非常にバランスよく多様な内容を含んでいることがわかった.一方で,協働やボランティアといったテーマについては減少傾向にあり,社会的企業やソーシャルキャピタル,社会的インパクトといったテーマについては上昇傾向にあることがわかった.学会誌ノンプロフィットレビューの分析からは,投稿論文が法人の財務的な内容を分析するものに偏りがある可能性が示唆された.今後,日本のNPO研究をさらに向上させていくためにも,こうした研究史の分析を定期的に行う必要があると考えられる.