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Print ISSN : 1346-4116
特集 日本のNPO研究の20年(続)
NPOセクター研究と経済学
柗永 佳甫
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2020 年 20 巻 1 号 p. 11-23

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抄録

本稿では,NPOを取り巻く様々なトピックスについて経済学からアプローチした研究を提示している.まず,NPOの台頭を説明する代表的な経済理論である政府の失敗理論および契約(市場)の失敗理論について紹介し,これらの理論の頑健性を実証した研究について議論を展開している.また,ソーシャル・キャピタルに関するマクロ経済理論モデル,およびそれから展開される計量モデル,そしてフィランソロピーのミクロ経済理論モデル,およびそれから展開される計量モデルについて紹介している.更にCSRの研究に関するレビュー,そしてCSRに取り組むと財務パフォーマンスを向上させるかを実証的に明らかにしようとする先行研究について議論を展開している.本稿で取り上げたトピックスに関する研究は,未だ継続中であり,現在でも研究に取り組めば新しい発見が期待できる.最後にこれから経済学からのアプローチが増加すると予想されるソーシャル・インパクトやソーシャル・インパクト・ボンドといった研究トピックスについても触れている.

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© 2020 Japan NPO Research Association
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