2022 年 21 巻 1+2 号 p. 15-23
NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡は,静岡方式と呼ばれる就労支援に取り組んできた.この取り組みは,働きたいけれども働くのが困難な人たちに対する個別支援から始まったが,次第に地域に相互扶助の関係性をつくりだすという方向へと舵を切った.私たちは,孤立化させられた「とるに足らない者たち」同士として関係性を紡ぎ直し,支援者―被支援者の関係を超えた相互変容を通じて,新たな価値観をつくりだし,「とるに足らない者たち」が放逐された空間を自治し始める.この自治の場がじわじわと拡張しながら,ミュニシパリズムへと歩みを進めている.