日本看護科学会誌
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原著
統合失調症患者における体内水分量に関する研究
──病的多飲水患者と非多飲水患者との相違
佐藤 美幸作田 裕美小林 敏生片岡 健
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2006 年 26 巻 4 号 p. 4_30-4_36

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抄録

本研究は,統合失調症患者のうち,病的多飲水患者と非多飲水患者,健常者の体内水分量の差異について,多周波数インピーダンス法(BIS法)を用いて探ることを目的とした.精神科病院入院中の,30~50歳代の統合失調症男性患者を対象としBIS測定を行った.比較対照群として,30~50歳代の健康な男性を対象とした.患者群の中から,独自に設定した基準に合致する者を多飲群とし,全く該当しない者を非多飲群とした.3者間で一元配置分散分析,多重比較を行った結果,体内水分割合は%ICFにおいて非多飲群が29.04±2.91と最低で,健常者群が35.15±3.77と最高であり,健常者群と多飲群,健常者群と非多飲群に有意差がみられた(p<0.01).以上から,統合失調症患者における体内水分量の特徴として,細胞内脱水傾向にあること,患者の口渇は%ICFの減少に伴う,生理的な欲求である可能性が示唆された.患者の体内水分量の分布は,非多飲群に比べて,多飲群のほうが広い範囲に分散していた.

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© 2006 公益社団法人 日本看護科学学会
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