日本看護科学会誌
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研究報告
摂食障害のある子どもとその親を支援する病棟看護師の役割に関する研究
種吉 啓子
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2006 年 26 巻 4 号 p. 4_55-4_63

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抄録

本研究の目的は,摂食障害のある子どもとその親を支援する病棟看護師が,看護師の役割をどのように認識しているのかを明らかにすることである.3年目以上の看護師25名を対象に半構成的面接を行い,面接記録を質的帰納的に分析した.看護師は『キャストの用意』『プチ安全社会の調整』『社会生活のオリエンテーション』『家族に力をつける』『キャストの要件』という5つのカテゴリーから構成された「プチ安全社会のキャスト」という役割を認識していた.「プチ安全社会」とは,子どもにとって安全基地のような環境であり,看護師はその「キャスト」となり,子どもに対して社会生活のリハーサルを行っていた.「プチ安全社会のキャスト」は,役割を遂行するための看護師の準備や条件が表現された側面と,子どもとその親に対する役割の果たし方が表現された側面が存在した.「プチ安全社会のキャスト」という役割は,子どもとその親のライフスキルの向上につながることが考えられた.

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© 2006 公益社団法人 日本看護科学学会
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