日本看護科学会誌
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原著
乳がん術後リンパ浮腫患者の浮腫発症指標としての指尖血流量の検討
──血流量差に着目して
作田 裕美宮腰 由紀子片岡 健坂口 桃子佐藤 美幸
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2007 年 27 巻 2 号 p. 2_25-2_33

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抄録

本研究は,指尖血流量の左右差から乳がん術後リンパ浮腫患者の生理学的特徴を明らかにし,それがリンパ浮腫発症の予測指標として成立する可能性について検討することを目的に実施した.女性乳がん患者95人と健康な女性80人を被験者として,血流計を用いた指尖血流量測定を実施しリンパ浮腫の有無で検討した.その結果,①対象者すべてにおいて左血流量は右血流量よりも多く,②一般女性と非浮腫患者の血流量および血流量差には差を認めず,③%血流量差は浮腫患者が非浮腫患者に比べ有意に高値だった.さらに,④%血流量差30.0以上でリンパ浮腫保有率が100%となり,非浮腫患者のMean+3SD値は29.61を示した.また,血流量差7 ml/min/100 g以上で,リンパ浮腫保有率が約9倍高くなった.
以上の結果から,血流量差増大は浮腫患者の生理学特徴といえることが示唆されたと同時に,血流量差がリンパ浮腫発症予測指標となり得,そのカットオフ値は,%血流量差29.61,血流量差7 ml/min/100 gとできる可能性が見出された.

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© 2007 公益社団法人 日本看護科学学会
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