日本看護科学会誌
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原著
在宅高齢者を看取る家族を支援した訪問看護師の看護観
小野 若菜子麻原 きよみ
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2007 年 27 巻 2 号 p. 2_34-2_42

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抄録
本研究の目的は,在宅高齢者を看取る家族を支援した訪問看護師が,在宅高齢者を看取る家族への支援について,どのような看護観をもっているのか記述することであった.訪問看護師8名に半構造的インタビューを行った.その結果,訪問看護師は,【高齢者の長い暮らしの終わりを家族とともに支える】【残された家族のそれからの〈生きる糧〉の獲得を支える】ことを目指し,【家族の本当の思いを日々の暮らしの中から探索する】【家族の思いが叶うように日々の介護が続けられる状況に導く】【〈家族の看取り〉ができるように安心を提供する】支援を要と考えていた.その一方で,高齢者と家族の生活の場で継続して支援するには,【人として家族に寄り添いともにある関係性を育む】必要があり,そのことは専門職として【家族により近づく親近感と訪問看護師としてあることの調和をとる】必要性を生じさせていた.これらのことから,家族が後悔を残さない意図的な関わりの重要性,人として,専門職としての家族との距離感をつかむことが家族の主体性への支援となることが示唆された.
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© 2007 公益社団法人 日本看護科学学会
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