抄録
【目的】「神経難病患者の療養生活対処尺度」を開発し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした.本研究では「対処」とは,意図的な努力であり,対象者がおかれた状況を改善したり,問題を解決するために,認知の仕方や行動を変化させる取り組みまたは努力のプロセスとして定義した.
【方法】インタビューに基づいて25項目5件法の質問紙を作成・郵送し,難病患者243名から有効回答が得られた.統計的に不適切な項目を除外し,因子分析を行った.
【結果】因子分析の結果,最終的に15項目4因子が精選され「心情整理」「自立維持」「交流維持」「自己開示」と命名された.信頼性についてはCronbach's α係数(0.86)と折半法のSpearman-Brownの信頼性係数(0.81)によって確認した.また妥当性についてはコーピング尺度と難病患者に共通の主観的QOL尺度によって確認された.
【結論】以上の結果から,本尺度の信頼性と妥当性が概ね確保されており,実用可能な尺度であると判断した.