抄録
目的:本研究は,患者の自殺・自殺企図に直面した精神科看護師の心的ストレス反応およびその経過,対処行動を明らかにすることを目的とした.
方法:対象は,中国地方の精神科病院に勤務する看護師で患者の自殺・自殺企図に直面した経験のある267人に無記名自記式質問紙を用いた.調査内容は,年齢,性別,勤務年数,患者の自殺・自殺企図に直面した経験の有無と回数,心的ストレス反応の有無と持続期間,対処行動とした.
結果:1)看護師の心的ストレス反応として,自責感や緊張,不安,無気力が挙げられ,自責感,無気力に関しては,10年以上ももち続ける看護師が多く存在した.2)性別による対処行動の違いでは,男性が「嗜好品(飲酒・喫煙)」,女性は「人に話を聞いてもらう」が有意に多かった.
結論:患者の自殺・自殺企図に直面した看護師の心的ストレス反応に留意し,適切に対処行動がとれるよう長期的なサポートが必要であることが示唆された.