抄録
目的:乳がん患者が認知した看護師の共感的関わりと認知した共感的関わりから生じた患者の変化について明らかにすることを目的とした.
方法:研究対象は,乳がんの告知を受け,手術を受けた10名の乳がん患者であり,半構造化面接を行い,得たデータを質的帰納的に分析した.
結果:患者が認知した看護師の共感的関わりとしては,「人間らしさ」「相互関係」「患者への関心」および「気遣い」の4つのカテゴリーが抽出された.また,認知した共感的関わりから生じた患者の変化としては,「信頼の深まり」「前向きな気持ちの変化」「ありのままの自己表現」および「治療に対する意思決定」の4つのカテゴリーが抽出された.
結論:患者は,看護師の人間的側面と看護師が寄せる患者への関心とを認知し,相互関係を築きながら,看護師との関係性の変化を経て,今後の生にポジティブな影響を受けていた.