日本看護科学会誌
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研究報告
高校生における登校回避感情の関連要因
有賀 美恵子
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2013 年 33 巻 1 号 p. 1_12-1_24

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抄録

目的:高校生の登校回避感情の関連要因を明らかにし,不登校を予防するためのより効果的な早期支援の可能性を検討する.
方法:A県公立高等学校1年生3,985人を対象に自記式質問紙調査を実施した.登校回避感情測定尺度(学校への反発感傾向,友人関係における孤立感傾向,登校嫌悪感傾向)を用い,下位尺度別に属性,生活環境,生活習慣,身体的心理的社会的要因との関連を分析した.
結果:学校への反発感傾向と有意な関連がみられた主な要因は,喫煙経験・対人恐怖心性・担任からのサポート・学業場面における不適応感,友人関係における孤立感傾向は対人恐怖心性・学校内の友人からのサポート,登校嫌悪感傾向は対人恐怖心性・不定愁訴・学業場面における不適応感・学校内の友人からのサポートであった.
結論:対人恐怖心性や不定愁訴を持ち,学業や将来への意識が低い生徒が学校への反発的な感情を持ち,自分から集団に入れず,学校内に友人がいないことが孤立感を強めていると推測された.対人恐怖心性と不定愁訴の訴えは,不登校の潜在群を捉えるための重要な指標であり,養護教諭による適切な支援の重要性とコンサルテーションシステム構築の必要性が示唆された.

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© 2013 公益社団法人 日本看護科学学会
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