日本看護科学会誌
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研究報告
小児科一般外来における看護師の働き
─ある地域密着型中規模病院におけるエスノグラフィー─
飯村 直子
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2014 年 34 巻 1 号 p. 46-55

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抄録

本研究は,地域密着型中規模病院の小児科一般外来における看護師の働きを明らかにすることを目的に,エスノグラフィーの方法を用いて,首都圏のベッドタウンにある病院(約300床)の小児科一般外来で,参与観察,インタビューを行った.研究参加者は小児科外来の11名の女性看護師を中心に,子どもと家族,他の医療職者など,小児科外来に交流する人々であった.その結果,看護師の働きとして,(1)気になる親子を見つけて診察室へつなぐ,(2)診察室での気がかりを補足し,家族の背中を押す,(3)子どもを育てる家族の力を支える,(4)子どもと家族との間を調整する,(5)見過ごしてはいけない親子に関わり,つなぎとめる,の5つのテーマが明らかになった.さまざまな健康レベル,発達段階の子どもと家族がさまざまなニーズを抱えて来院する,混沌とした小児科外来における看護師の働きは,単なる「診療の補助」以上の意味があった.先の展開を読むことが難しい緊張した場で,看護師は常に「アンテナを張って」気になる子どもと家族を見つけ,援助の機会はこの場限りかもしれないことをふまえて,そのとき,その対象に合った個別のアプローチに素早くつなげようとしていた.

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© 2014 日本看護科学学会
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