2017 年 37 巻 p. 170-178
目的:緩和ケア病棟(以下,PCU)という場において退院支援を行うことが,看護師にとってどのような意味を持つかを明らかにすることを目的とした.
方法:エスノグラフィを用いて,都内にある1病院のPCUに勤務する看護師を中心に,参加観察及びインタビューを実施し,Spradleyの段階的研究手順法を参考にして分析した.
結果:『その人らしさを追求し,患者・家族と共に家を目指すチャレンジ』というテーマが生成された.退院支援は看護師にとって,患者と家族の穏やかな時間を脅かすリスクを伴いながらも,その人らしく生きることを支えるために家を目指すチャレンジだった.看護師は,自宅退院を選択する際や,退院に向けて準備する際も常に退院支援に伴う葛藤を抱えながら,PCUに戻れることを保証して家へ送り出していた
結論:退院支援というチャレンジに伴う葛藤に対処することにより,PCUにおける退院支援が促進される可能性がある.