日本看護科学会誌
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原著
臨床看護師が経験する良いチームワーク
﨑山 愛グレッグ 美鈴
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2018 年 38 巻 p. 374-382

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Abstract

目的:臨床で働く看護師が経験する良いチームワークとはどのようなものかを明らかにすることであった.

方法:看護師13名に半構造化面接を実施し質的記述的に分析した.

結果:臨床看護師は【チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える】【お互いの仕事をフォローする】【メンバーが働きやすいように行動する】というチームワーク行動をとっていた.また,【チームの実践でチームワークを学習する】ことや【多職種との連携活動を通してチームワークを学習する】ことからチームワークを学んでいた.そして,これらが【チームによるケアの成果を実感する】ことに繋がったとき,チームワークが良いと認識していた.

結論:チームワーク良く働くためには,チームで良いケアをするという目標を共有し,実践をチームでケアをするという視点からリフレクションすることや,チームワークの経験をチームの一員としてとるべき行動として意味付けすることによって学ぶことが重要である.

Ⅰ. 緒言

医療施設における看護ケアの多くは,看護師のチーム(以下,チームとする)によって提供される.鬼塚・髙木(2010)は,高度な医療や多様化する患者のニーズに対応するために,看護師に求められる役割は多様になってきており,チームで看護を行うことによって患者に提供する看護の質が保証されるが,そのためにはチームワークが機能していることが必須であるとしている.特に,臨床で働く個々の看護師には,十分な実践能力が必要とされるが,それらの能力を発揮し,患者へ継続的なケアを提供するためには,チームで良いケアをすることが必要不可欠である.チームワーク良く働くことは大切だとわかっていても,うまくいかないことがある.チームにおける良いチームワークとは一体どのようなものなのだろうか.

社会心理学の分野において,Morgan et al.(1993)は,先行研究をもとに,チーム発達のプロセスを理解するための一般的な枠組みとしてチームモデルを構築している.そして,Dickinson & McIntyre(1997)は,先行研究から抽出したチームワークの構成要素からチームワークモデルを構築し,海軍チームの訓練において各要素を測定している.また,相川ら(2012)は,大学生を対象として,個人がチームワークを発揮するための総合的な能力の構成要素をモデル化し,複数の下位能力を測定する尺度を開発している.

一方,看護の分野では,チームワークは看護師のやる気や職務満足に関係することが明らかにされている(川﨑ら,2000中村ら,2001佐藤,2011).また,髙山・竹尾(2009)は,病棟に勤務する看護者(准看護師,看護師,助産師)が認識している,看護者間のチームワークに関連する要因を測定する尺度を作成し,要因間の関係を明らかにしている.その結果,看護活動におけるチームワークおよび影響要因に関する因子として,上司の態度,同僚関係,仕事への意欲,看護への自信,職務満足,チームワークへの自信の6つが抽出されている.さらに,三沢ら(2009)は,Dickinson & McIntyre(1997)の理論的モデルに基づき,チームの志向性,チーム・リーダーシップ,チームプロセスで構成される看護職版チームワーク測定尺度(Teamwork Measure for Nursing Team,以下TMNと略す)を作成している.臨床看護師を対象にその信頼性と妥当性を検討した結果,TMNの因子構造は多母集団同時分析によって普遍性が確認されている.また,一部の項目についてはα係数がやや低い値を示しているが,その他の下位尺度についてはいずれも十分な信頼性が確認されている.そして,チームの志向性は行動的変数全般の基盤として重要であること,チームの志向性とチーム・リーダーシップは相互に影響を及ぼしながら,行動変数を促進する可能性を示唆している.さらに,チームワークが良好であるほど,メンバーは所属チームの一員としての誇りや愛着を強く抱き,メンバーの職務満足感は全般的に高いという結果が得られている.特に,人間関係に関する満足感は,対人志向性及び対人関係上の配慮と強い結びつきがあることが明らかにされている.

このように先行研究から,チームやチームワークに関する概念や構成要素が明らかとなり,良いチームワークは看護師の職務満足や仕事への意欲に影響することが示された.しかしながら,チームで働く臨床看護師が経験する良いチームワークがどのようなものであるか,その実際については明らかにされていない.そこで,本研究は,臨床で働く看護師が経験する良いチームワークとはどのようなものかを明らかにすることを目的とした.これにより,チームワーク良く働くことができるようになるための行動やそれを学習するための示唆を得ることができると考えられる.

さらに,限られた人的資源で24時間365日,継続的に看護ケアを提供するための看護方式には,チームナーシング,固定チームナーシング,機能別看護方式,受け持ち看護方式などいくつかの種類がある.しかしながら,実際には,どのような看護方式を採用していたとしても,その病棟に所属する全ての看護師がチームとして入院患者のケアを行っている現状がある.そのため,臨床看護師の経験する良いチームワークを明らかにしようとする本研究では,採用している看護方式に関わらず,一勤務帯で働く看護師の集団に焦点を当てた.

Ⅱ. 用語の定義

本研究において,「チーム」とは,一勤務帯で働く看護師の集団とする.また「リーダー」とは,チームにおいて,所属部署の管理者からチームを統率する役割を付与された者とする.さらに,「チームワーク」とは,チームの目的達成に向けて,メンバー間で相互にやりとりされる対人行動全般とする.

Ⅲ. 研究方法

1. 研究デザイン

本研究では,臨床で働く看護師が経験する良いチームワークについて,研究参加者の経験に基づいた語りから明らかにするために,質的帰納的研究デザインを用いた.

2. 研究参加者

研究参加者は,近畿圏内で複数の病棟をもつ病院の一般病棟に常勤で勤務しており,同一病棟での経験が3年以上あり,リーダーの経験がある看護師で,研究参加への同意が得られた者とした.

看護師が所属する部署の中でも,集中治療室や救急病棟,手術室といった特定の目的を持つ病棟は,他の一般病棟と比べ看護独自の機能に加えて治療的要素も大きく関わると考える.本研究は,多職種で形成する医療チームではなく看護師の集団を対象とするため,研究参加者は前述した部署以外の一般病棟に所属する看護師とした.

本研究の参加者を同一病棟で3年以上の経験がある看護師とした理由は,以下のとおりである.Benner(2001/2005)は,類似の科の患者を3~5年ほどケアしてきた中堅レベルの看護師は,経験に基づいて,状況を局面の視点ではなく全体としてとらえて理解する能力を持つとしている.このような能力は,メンバーが取り組む活動の中で,チーム全体を見渡すために必要になると考えた.

また,リーダーを務める看護師は常に固定されているのではなく,日によってリーダーとメンバーそれぞれの役割を入れ替わり担う.筆者の経験から,リーダーとして働く経験は,メンバーとしてのみ働く経験以上に,チーム全体を見渡す広い視野を与えると考える.したがって,本研究の参加者は,リーダーの経験をもつ看護師とした.

3. データ収集方法

データ収集期間は2013年6月から10月で,プライバシーが確保される場所で,半構造化面接を行った.面接では「チームワーク良く働くことができていると感じる時」,「チームワーク良く働けるように気をつけていること」,「チームワークを意識するようになったきっかけ」などについて,研究参加者に語っていただいた.なお,面接は研究参加者の同意を得た上でICレコーダーに録音した.

4. 分析方法

データ分析は,面接内容から作成した逐語録について,特定の視点を設定せず,一つの意味を持つと考えられるセンテンスをすべてコード化し,コードを相違点,共通点について比較,分類し,集まったものに共通性を見出してカテゴリー化した.さらに,Glaser(1978)が提唱したコーディング・ファミリーを参考に,それぞれのカテゴリーがどのように関連しているのかを検討した.

分析の全過程においては,質的研究者からスーパーバイズを受けた.また,カテゴリー化した結果と構造モデルについては,同分野に所属する大学院生が同意できるかを確認し,さらに研究参加者3名のメンバーチェッキングによってデータの解釈が妥当であるかどうかを確認し,厳密性を確保した.

Ⅳ. 倫理的配慮

本研究では,まず研究対象施設の看護部長へ研究協力を依頼し,協力への同意が得られた看護部長からチームワークが良いと考える病棟の看護師長の紹介を得た.次に看護師長から,チームワーク良く働いていると考える,本研究の条件に該当する看護師の紹介を得たのち,その看護師へ研究参加を依頼した.看護部長および看護師長には,研究の趣旨および倫理的配慮などについて書面を用いて説明し,研究協力の許可を得た.また研究参加者の研究参加への自由意思を保障するために,看護部長および看護師長には,研究参加同意の有無は知らせないことの承諾を得た.看護部長および看護師長への倫理的配慮の内容は,以下に述べる研究参加者と同様である.

すべての研究参加者に対し,研究目的,方法,研究への参加は自由であること,個人情報の取り扱い,データの保管と使用の方法,研究成果の公表などについて書面を用いて説明し,同意書への署名を以って研究参加の同意を得た.本研究は,神戸市看護大学倫理委員会の承認を受けて実施した(承認番号2013-2-01).

Ⅴ. 結果

1. 研究参加者の概要

研究参加者は13名で,平均年齢36.0 ± 6.13歳,看護師経験は平均11.8 ± 4.89年,所属病棟での勤続年数は平均4.8 ± 1.79年であった.なお,面接時間は平均53.0 ± 15.52分であった(表1).

表1 研究参加者の概要
研究参加者 A B C D E F G H I J K L M
年齢 40代後半 20代後半 30代前半 30代前半 40代前半 30代前半 30代後半 30代後半 40代後半 30代前半 30代後半 20代後半 40代前半
看護師経験年数 19年 5年 7年 10年 20年(内育休・産休3年) 11年 14年 17年 11年 13年 14年 3年 10年
所属病棟での勤続年数 6年 3年 5年 4年 4年 4年 3年(内育休・異動1年半) 9年 5年 8年 5年 3年 4年
所属病棟の概要 診療科 混合 外科系 混合 内科系 混合 混合 内科系 内科系 内科系 内科系 内科系 内科系 混合
病床数 約40床 約50床 約50床 約40床 約50床 約50床 約70床 約50床 約50床 約50床 約60床 約20床 約60床
看護方式 プライマリー固定チーム プライマリーチーム プライマリーチーム プライマリーチーム プライマリーチーム プライマリーチーム プライマリー機能別チーム プライマリー固定チーム プライマリー固定チーム プライマリー固定チーム プライマリーチーム プライマリー機能別チーム プライマリーチーム
チームの構成人数 日:5~7人
夜:2人
日:7~8人
夜:3人
日:9人
夜:4人
日:6~10人
夜:3人
日:11人
夜:4人
日:10人前後
夜:4人
日:8人
夜:2~3人
日:7~10人
夜:2人
日:8人前後
夜:2人
日:8~9人
夜:2人
日:8人
夜:2~3人
日:5~6人
夜:2人
日:6~13人
夜:3人

注 〈看護方式〉プライマリ:プライマリーナーシング,固定チーム:固定チームナーシング,チーム:チームナーシング,機能別:機能別看護 〈チームの構成人数〉日:日勤,夜:夜勤

2. カテゴリーの記述

データ分析の結果,臨床看護師が経験する良いチームワークの構成要素として,19サブカテゴリーと,6カテゴリーを抽出した(表2).ここでは,臨床看護師が経験する良いチームワークとはどのようなものかを表すカテゴリーを【 】,サブカテゴリーを〔 〕,面接で語られた言葉は「斜体」で示す.

表2 臨床看護師が経験する良いチームワークの構成要素
カテゴリー サブカテゴリー
チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える 仕事がスムーズに行くように準備する
メンバーの仕事の進行状況を確認する
メンバー間で意識的にコミュニケーションをとる
声をかけやすい雰囲気を作る
お互いの仕事をフォローする チームではお互いの仕事をフォローし合う
割り振られた仕事に関わらず,臨機応変に対応する
リーダーの状況を見て手伝う
メンバーが働きやすいように行動する 自分の状況を他のメンバーに伝える
チームで情報を共有する
メンバーが働きやすいように仕事をする
メンバーの性格を考慮して働く
チームで働く上ではメンバーを選ばない
チームの実践でチームワークを学習する 立場が変わってチームワークを意識するようになる
チームの中で,チームワーク良く働くことを学習する
チームワーク良く働ける時とそうでない時がある
多職種との連携活動を通してチームワークを学習する 多職種との連携活動を通してチームワークを学習する
チームによるケアの成果を実感する チームとして継続的なケアができる
チームでのケアによって良い結果が出る
予定外の出来事が起こった時にチームで対応できる

1) 【チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える】

チームは,活動を開始するにあたり,チームメンバーの能力に合わせて仕事を振り分けたり,チーム全体でメンバーの仕事のスケジュールを調整することによって〔仕事がスムーズに行くように準備する〕.また,仕事が始まり実際にチームで動きだすと,他のメンバーの仕事が滞っていないか,何か手伝えることはないか〔メンバーの仕事の進行状況を確認する〕.そして,患者のケアに関するカンファレンスなどにおいて意見が出し合えたり,忙しい時や困っている時に相談し合えるように〔メンバー間で意識的にコミュニケーションをとる〕ようにしたり,〔声をかけやすい雰囲気を作る〕ようにしていた.

患者さんとその受け持ちの看護師だけで動くっていうことができなくって,コールに対応したりだとか,2人介助だったりとかすると人を呼んできたりしないといけないので(中略)朝,陰洗にまわる組とか決めといて,その人たちは陰洗とか着替えにこもっちゃうので,その間他の人で周りのフォローとかコール対応しましょうねってことをあらかじめ決めて動いてるんですけど(中略)チームでまわりやすくするっていうような工夫とかはできてるかなぁと思うんですけど.」(J看護師)

2) 【お互いの仕事をフォローする】

チームには,チーム全体として仕事が進むよう〔チームではお互いの仕事をフォローし合う〕雰囲気があり,忙しくしている他のチームメンバーのフォローに行くよう,リーダーが指示をすることもあった.また,チームメンバーも,忙しそうだと思う他のチームメンバーを手伝い,チームの中で〔割り振られた仕事に関わらず,臨機応変に対応する〕ことができていた.さらに,チームメンバーはリーダーにも気を配り〔リーダーの状況を見て手伝う〕ようにしていた.

一応やっぱりパワーバランスがあるので,自分の業務が進んだ人とかいるじゃないですか?そしたらまだちょっとできてない子とか,ちょっとバタバタしてる子とかを手伝うというか,フォローしにいったりとか,下の子がフォローしに来てくれたりとか,そういうのはやっぱりみんな身についてることで,そのへんもやっぱり,チームワークですね.」(D看護師)

3) 【メンバーが働きやすいように行動する】

メンバーは,他のメンバーが動きやすいように〔自分の状況を他のメンバーに伝える〕ようにしたり,カンファレンスや独自のツールを用いるというような工夫をして〔チームで情報を共有する〕ようにしていた.また,リーダーやチームメンバーという役割に関わらず〔メンバーが働きやすいように仕事をする〕.さらに,チームとして協調性をもって働けるよう〔メンバーの性格を考慮して働く〕ようにしており,たとえメンバーに対する好き嫌いがあっても〔チームで働く上ではメンバーを選ばない〕というように,メンバー間の人間関係にも配慮していた.

新人教育を担当しているB看護師は,新人の頃に,先輩から学んだ看護師としての役割やしてもらってうれしかった経験,教えてきてもらってよかったことは今の職場でも広めていきたいと考えており,チームで連携する上で重要となるコミュニケーションについて次のように語っていた.

コミュニケーションっていうか,話をして,お互いの信頼関係というか,そういうのを築いていかなくちゃいけないのかなぁっていうのがすごく,思ったので.なんか,ねぇ,一人では仕事できないし,この仕事は絶対.組織で動いてるし.だから協調性を持って,いろんな,苦手な人もいてるけど,好き嫌いで仕事をしたらあかんと思うし,(中略)みんながより良く仕事できるようにしていきたいなぁって思ってはしてます.(中略)一生懸命話も,しにくいかもしれないけど,自分の意見もしっかり言わなくちゃいけないし.相手に理解してもらわなくちゃいけないし,だから相手の意見も,自分も理解していかないと,受け止めたりとかして意見も言ったりしていかないと,全然,連携もとれなくなるからねっていう話を,いつもしてます.」(B看護師)

4) 【チームの実践でチームワークを学習する】

メンバーは,リーダーやプリセプター,教育係のような役割を付与されることにより〔立場が変わってチームワークを意識するようになる〕.また,チームワーク良く働く先輩の姿から,チームでどのように動くかを学ぶというように〔チームの中で,チームワーク良く働くことを学習する〕.さらに,チームには〔チームワーク良く働ける時とそうでない時がある〕ことから,チームとして動くことができていない,チームワークがうまくいかなかったという経験も,チームワーク良く働くことに影響していた.

チームワークが良い時とそうでない時について,F看護師は次のように語っていた.

たとえば検査の搬送が多いとか,術後大変な人が多いとか,ちょっとゴタゴタ病棟がなってるなって時でも,お互い声かけあってできるところをフォローして,できてないところをお願いしてとか,お互いがうまいことコミュニケーションとって,(中略)なんかできることをお互いに助け合おうみたいな.メンバーによってすごくできてる日があるので,そういう日は終われるのもちょっと早いですし,疲れたなぁとは思うんですけど,すごい達成感があるというか.今日はなんかよくやったしやってもらったなっていう日があるので.」(F看護師)

このように,チームワークが良い時がある一方で,チームワークが良くない時については次のように語っていた.

メンバーそれぞれ個性があって,マイペースな子がたくさんいると,やっぱりそれぞれ個々で仕事をしちゃってるので,その子たちは全体が見えていなくって,自分のことは終わってるんだけど,(中略)やっぱりどうしても自分のことをまずやれば良いっていう考えのメンバーもいたりして,(中略)そういうメンバーがいるときに,2・3人固まっちゃうと,やっぱり何かしらちょっと業務がゴタゴタなったりしやすくなってると思います.」(F看護師)

5) 【多職種との連携活動を通してチームワークを学習する】

メンバーは,所属するチームでの活動だけでなく他部署に所属する〔多職種との連携活動を通してチームワークを学習する〕ことによって,チームで動いていることやチームの一員であることを意識するようになったり,自分が所属するチームでもチームワーク良く働くことが必要であると考えるようになっていた.

所属するチームの中で活動していた時にはチームワークを感じていなかったK看護師は,多職種と連携して活動する家族会や心理教育を担当するようになり,チームワークの大切さを学んだ経験について以下のように語った.

新たに一歩病棟から外に出て他の部署と関わって,なんとなくね,チームって大事やなって思ったんです.(中略)(家族会を担当する多職種チームではメンバー同士)お互い褒め合ったりとかできて尊敬し合えた部分もあって,そういう中で技術のやり取りとか情報交換とかもあったし,そこでね,あ,やっぱ医療はチームワークやなぁって思いました.で,病棟戻って,なんとなくそういうふうな,他の部署との関わりの中で感じたものが,ちょっとずつ,病棟の中でもやっていかんといかんなぁって(中略)ナースよりも,チームでやっていくそのやり取りの上手さっていうのはね,ケースワーカーとかデイケアの人は慣れてる,上手いんで,やっぱり.改めて,ひとつの歯車というかね,組織の一人やなぁ,チームの一員やなぁとかね,チームワーク大事やなとか思ったのは.」(K看護師)

6) 【チームによるケアの成果を実感する】

メンバーは〔チームとして継続的なケアができる〕時や,〔チームでのケアによって良い結果が出る〕時,急変や緊急の手術,入院の受け入れなど〔予定外の出来事が起こった時にチームで対応できる〕時にチームによるケアの成果を実感していた.

チームで動いていて,患者さんに良い看護ができたって思う時はやっぱり達成感が.自分でもそうだし,自分じゃなくても,あんまり行けてないけど大丈夫かなって気になってた人のところに,他の人がフォローしてくれてたりするのを見ると,良かったって思ったりしますかね.」(E看護師)

3. カテゴリー間の関連

臨床看護師が経験する良いチームワークを構成するカテゴリー間の関連を図式化し,構造モデルを作成した結果,カテゴリーの関係性は以下のようになった(図1).

図1

臨床看護師が経験する良いチームワークに関する構造モデル

チームのメンバーは,【チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える】【お互いの仕事をフォローする】【メンバーが働きやすいように行動する】というチームワーク行動をとっていた.また,チームワーク行動を通して【チームの実践でチームワークを学習する】ことや【多職種との連携活動を通してチームワークを学習する】ことからチームワークを学んでいた.そして,チームワーク行動と学習は相互に影響していた.さらに,チームワークを学習しながらとるチームワーク行動が,【チームによるケアの成果を実感する】ことに繋がったとき,チームワークが良いと認識していた.このように行動と成果が結びつくことによって,さらにチームワーク行動が促されることから,チームワーク行動とその成果は相互に影響していた.以上のようにして,臨床看護師が経験する良いチームワークでは,学習をしながらとる行動と,それによる成果が循環し,相互に影響していることが明らかとなった.

Ⅵ. 考察

1. 臨床看護師がチームワーク良く働くために必要なこと

Dickinson & McIntyre(1997)が構築したチームワークモデルの構成要素の一つに,チームの志向性がある.これは,チームの目標達成を目指す意気込みや職務に積極的に取り組もうとする態度や姿勢である.山口(2008)は,Dickinson & McIntyre(1997)の示したチームの志向性について,メンバーが一体感を持って,チームの目標達成を目指す態度を共有していることが,チームワークの基盤となると説明している.

本研究結果ではチームには,チームワークが良いと思う時とそうではない時が存在することが明らかとなった.自分のことをまずやればよいというメンバーがチームの中に複数いる時は,メンバーが個々で仕事をするため,それぞれの仕事は終わってもチーム全体の仕事が滞ってしまう.一方で,病棟が忙しい時でも,できることをお互いに助け合おうとするメンバーでチームが構成されているときは,メンバー間で互いの仕事を補い合って取り組むことができ,最後には達成感や「よくやったし,やってもらった」と感じることができていた.このような結果から,チームワーク良く働く看護師には,どのようなメンバーでチームを構成しても,チームで良いケアをするという目標を達成するために,メンバー間でコミュニケーションをとり,互いを補い合いながらチームワークをとるというチームの志向性がある.そのため,チームの志向性があるメンバーで構成されたチームの場合,メンバーは,チームワークによって達成感やチームでケアをしているという実感が得られる.このことから,チームで良いケアをするために,メンバーを選ばず,チームの一員としてチームワークをとるというチームの志向性が共有されていることが,臨床看護実践における良いチームワークの基盤となると言える.

以上のことから,常に変化する臨床状況の中で,勤務帯ごとに変わるチームで良いチームワークを発揮するためには,チームの中で,チームでケアをするという目標達成のために,どのようなメンバーでチームを構成しても【お互いの仕事をフォローする】【チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える】【メンバーが働きやすいように行動する】というチームの志向性を共有する必要があることが示唆された.また,良いチームワークによって【チームによるケアの成果を実感する】ことから,臨床看護師のチームワークについて,本研究結果で示された3つのチームワーク行動をとることができているか,メンバーがチームによるケアの成果を実感できるかどうかという点から評価することができると考える.

2. チームワーク行動の学習

Dickinson & McIntyre(1997)のチームワークモデルでは,チームは,チームワークを通して学習しながら成長していくとされている.本研究結果においても,チームワーク良く働く看護師は,【お互いの仕事をフォローする】【チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える】【メンバーが働きやすいように行動する】というチームワーク行動を通して,チームワークを学んでいることが明らかとなった.看護師がチームワークを学ぶ過程には,所属するチームにおいて【チームの実践でチームワークを学習する】ことと,他部署に所属する【多職種との連携活動を通してチームワークを学習する】ことの2つが存在した.

まず,【チームの実践でチームワークを学習する】プロセスでは,チームで良いケアをするという視点をもって,チームワーク良く働く他のメンバーの行動や,チームワークがうまくいかなかった場面をリフレクションしていた.リフレクションは,日々の実践から学ぶ方法として有効であり,実践の質の向上に貢献するとされている(池西・田村,2009).チームワーク良く働く看護師は,看護実践をチームで良いケアをするという視点をもってリフレクションすることにより,良いケアをするためのチームワークの必要性を意味付けしていた.そして,チームの一員として,チームで良いケアをするために行動するというようにして,チームでの実践の中でチームワークを学習していた.

次に,【多職種との連携活動を通してチームワークを学習する】プロセスでは,急性期病棟から回復期病棟へ異動して多職種と密に関わるようになったことや,家族会の担当などの所属するチームの枠を超えた多職種との連携活動を通して,チームの在り方やチームワークの必要性を感じたり,自分が所属するチームのチームワークを考えるようになっていた.中原(2010)は,より大きな視点で,多様な観点から物事を捉えられるようになる視野拡大は,これまでとは異なる分野への異動や,これまでの業務に新しい仕事が加わるといった職域の拡大をきっかけとして起こると述べている.本研究結果において,看護師は,所属するチームを越えて,多職種との連携活動におけるチームワークの経験をきっかけに視野拡大に至っていた.それにより,多職種で構成されるチームのチームワーク行動をチームの一員としてとるべき行動として意味付けし,チームやチームワークに対する意識が変化していた.このことから,チームワークは所属するチームの中だけではなく,チームの外でも学習されると言える.

以上のことから,所属するチームや多職種で構成されるチームで経験するチームワークを,チームでケアをすることの意義や必要性,チームの一員としてとるべき行動として意味付けすることによって学び,自己の行動へ反映させることによってチームワーク良く働くことができるようになることが明らかとなった.このような臨床実践におけるチームワークと,リフレクションや視野拡大による学びの循環が,良いチームワークに繋がるチームワーク行動に影響していると言える.このような循環においては,所属するチームや多職種で構成されるチームの実践におけるチームワークの経験をいかに意味づけするかが重要であり,チームワーク良く働くためのリフレクションの有用性が示唆される.

Ⅶ. 本研究の限界と今後の課題

本研究は,一般病棟に限定して実施したため,結果は一般病棟の特徴を反映している可能性がある.今後は,一般病棟以外にも集中治療室や手術室などにも対象を拡大し,部署による特徴を比較したり,共通点を見出したりするような研究を継続していくことが課題である.

Ⅷ. 結論

チームワーク良く働く看護師は,【チームの実践でチームワークを学習する】ことや,【多職種との連携活動を通してチームワークを学習する】ことから,【チームでの仕事がスムーズに行くように態勢を整える】【お互いの仕事をフォローする】【メンバーが働きやすいように行動する】ことによってチームワーク行動をとっていることが明らかとなった.そしてそれらの行動が【チームによるケアの成果を実感する】ことに繋がった時に,チームワークが良いと認識していた.また,チームワーク良く働けるようになるためには,メンバーである個々の看護師が,チームで良いケアをするという目標を共有し,他のメンバーと,お互いの未熟な部分を補い合いながらチームワーク行動をとることが必要である.さらに,チームワークを学ぶためには,所属するチームや多職種で構成されるチームでのチームワークの経験を,リフレクションすることが有効であることが示唆された.

付記:本研究は,神戸市看護大学大学院博士前期課程に提出した修士論文に加筆・修正を加えたものである.また,本論文の内容の一部は,第34回日本看護科学学会学術集会において発表した.

謝辞:本研究を行うにあたり,ご多忙の中,インタビューをお引き受けくださった看護師の皆様に,心より御礼を申し上げます.また,研究協力施設の看護師長,及び看護部長の皆様には,研究に対する様々なご理解とご配慮を頂きましたことに,深く感謝申し上げます.そして,研究を進めるにあたり,ご指導,ご助言を賜りました先生方にも心より感謝いたします.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

著者資格:ASは研究の着想,および研究デザインと実施,分析,論文執筆の全てを行った.MGは原稿への示唆,および研究プロセス全体への助言を行った.全ての著者は最終原稿を確認し,承認した.

文献
 
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