日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
Print ISSN : 0287-5330
ISSN-L : 0287-5330
資料
意思決定の葛藤をアセスメントするスクリーニングツールSURE test日本語版の開発
―言語的妥当性を踏まえた翻訳版の作成―
大坂 和可子青木 頼子江藤 亜矢子北 奈央子有森 直子中山 和弘
著者情報
ジャーナル オープンアクセス HTML

2019 年 39 巻 p. 334-340

詳細
Abstract

目的:本研究の目的は,患者の意思決定の葛藤をスクリーニングするSURE(Sure of myself; Understand information; Risk-benefit ratio; Encouragement)test日本語版を,言語的妥当性を踏まえ開発することである.

方法:SURE test日本語版は,第1段階:2名による順翻訳,第2段階:順翻訳統合,第3段階:2名による逆翻訳,第4段階:研究者協議(暫定版作成),第5段階:一般市民,医療者への調査,第6段階:再検討,を経て開発した.

結果:暫定版作成後,第5段階の一般市民と医療者32名の調査において,「わかりやすい」と回答した割合は各項目で47%から78%であった.第6段階にて言語的妥当性を再検討し,日本語版を確定した.

結論:一連の過程を経て,言語的妥当性を踏まえたSURE test日本語版を開発した.

Translated Abstract

Purpose: To develop a linguistically validated Japanese version of the SURE (Sure of myself; Understand information; Risk-benefit ratio; Encouragement) test screening for decisional conflict in patients.

Methods: We translated the original version, consisting of four items, into a preliminary Japanese version through four stages: Stage I comprised forward translation by two people; Stage II, integration of the two translations generated previously; Stage III, back translation by two people; and Stage IV, consultation by researchers and establishing the preliminary version. Further, Stage V comprised a survey for the clarity of items among general citizens and medical professionals, and during Stage VI, the instrument was revised based on the results of discussions among the research members obtained throughout this process.

Results: The preliminary version of the instrument was developed during the first four stages. In the fifth stage, the result of a survey of 32 general citizens and medical professionals indicated that the percentage of respondents who answered “easy to understand” for each item was between 47% to 78%. In the sixth stage, we reviewed the linguistic validity, and the Japanese version of the SURE test was finalized.

Conclusion: Throughout the process of translation, we developed the linguistically validated Japanese version of the SURE test.

Ⅰ. 緒言

複雑で不確実性を伴う医療情報を理解し,自分の価値観と照らし合わせ意思決定を迫られる患者や家族の葛藤は計り知れない.意思決定の葛藤は看護診断の1つであり(Herdman & Kamitsuru, 2017/2018),「リスク,喪失,後悔,人生の価値観への挑戦を含む意思決定の際に取るべき行動の不確かさ」と定義されている(Légaré et al., 2010).意思決定の葛藤は,意思決定の葛藤尺度(Decisional Conflict Scale;以下DCS)(O’Connor, 2010)で測定が可能である.DCSは,多言語に翻訳され意思決定支援のアウトカム指標として世界的に広く用いられている尺度であるが,16項目あり忙しい臨床で使用するには時間がかかるため(Légaré et al., 2007),簡便なスクリーニングツールとしてSURE testが開発された経緯がある(O’Connor & Légaré, 2008Légaré et al., 2010Parayre et al., 2014).SURE testは,「Sure of myself」,「Understand Information」,「Risk-Benefit ratio」,「Encouragement」の頭文字を取り命名され,4項目から成る.質問に「はい」または「いいえ」で回答する尺度であり短時間で使用できる.患者が1項目以上「いいえ」を選択した場合,決断が遅れたり,途中で気が変わったり,後で後悔したり,よくない結果が起こった際に他者を責める可能性を意味する(O’Connor et al., 2015).

我が国でも,患者中心の意思決定支援の重要性が高まり,平成26年度よりがん患者指導管理料2該当患者を見極める尺度としてDCS日本語版(Kawaguchi et al., 2013)が用いられているが,忙しい医療現場でDCS日本語版が適切に活用されているか定かでない.SURE test日本語版が開発されれば,看護師は簡便に意思決定の葛藤を抱える患者を拾い上げ,タイミングを逃さず適切な支援を提供することができる.

Ⅱ. 研究目的

本研究の目的は,意思決定の葛藤をアセスメントするスクリーニングツールSURE test日本語版を,言語的妥当性を踏まえて開発することである.

Ⅲ. 研究方法

日本語版作成にあたり原文管理者と連絡を取り,日本語版作成の経過を報告しながら翻訳を進めた.日本語版は,原文管理者推奨の尺度翻訳ガイドライン(Beaton et al., 2000)に基づき図1のプロセスを経て作成した.このガイドラインは,ヘルスケアに関連する自記式質問紙を文化の異なる他言語に翻訳するプロセスを示している.

図1

日本語版作成のプロセス

1. SURE test日本語版(暫定版)の作成

まず,日本語を母国語とする2名の翻訳者が原文を日本語にそれぞれ訳し(第1段階),お互いの翻訳を確認し,話し合いの結果1つにまとめた(第2段階).次に,第2段階で統合したものを別々に2名の翻訳者が逆翻訳した(第3段階).研究者らにより,第1段階から第3段階の順翻訳と逆翻訳内容を共有し,和訳の適切性とわかりやすさを検討し,日本語版(暫定版)を作成した(第4段階).

2. 一般市民・医療者による「わかりやすさ」の検討

SURE test日本語版(暫定版)の表現のわかりやすさについて,一般市民と医療者を対象とした自記式質問紙調査を実施した(第5段階).

1) データ収集方法

本研究はSURE testの信頼性・妥当性の検討に向けた予備的位置づけにあるため,機縁法にて研究協力者を募った.尺度翻訳ガイドライン(Beaton et al., 2000)の言語的妥当性を検討する際の推奨人数を参照し,回答率を80%と見積もり,研究協力に関心があると表明した38名(一般市民19名,医療者19名)にアンケート用紙を配布し,郵送法にてデータを収集した.

2) 調査内容

(1)対象者の個人特性:年代,性別,一般市民か医療者か(医療者の場合は職種),病気療養経験の有無を尋ねた.(2)質問項目:SURE test日本語版(暫定版)の項目ごとに,日本語としてわかりやすいか,わかりにくいかを二者択一で尋ねた.「わかりにくい」を選択した場合,わかりにくい表現にアンダーラインを引き,修正提案を記載してもらった.(3)調査期間:2017年11月から2018年1月に実施した.(4)分析方法:項目のわかりやすさは,項目ごとに「わかりやすい」および「わかりにくい」と回答した人数と割合を算出した.わかりにくい表現の修正提案があった場合は,それぞれの項目ごとにまとめた.(5)倫理的配慮:研究協力候補者には研究の趣旨,参加の任意性,個人情報の保護等について文書と口頭で説明を行い,自由意思に基づき研究に参加し,無記名のアンケートへ回答と送信をもって研究参加の同意とみなした.本研究は,東京慈恵会医科大学倫理委員会の倫理審査において承認を得て実施した(承認番号29-155(8771)).

3. SURE test日本語版の再検討

研究者らにより,SURE test日本語(暫定版)の翻訳と一般市民・医療者調査の結果を踏まえ,言語的妥当性の点から再検討した(第6段階).

Ⅳ. 結果

1. SURE test日本語版(暫定版)の作成

日本語版(暫定版)の翻訳過程で議論されたのは「benefits」と「risks」の和訳であった.開発過程第2段階では「benefits」を「有益性」,「risks」を「危険性」とする和訳で2名の意見は一致し,第3段階の逆翻訳においても2名による逆翻訳はともに原文と同様であった.しかし,第3段階で加わった3名の研究者から,一般的に「有益性」や「危険性」と言う言葉が分かりにくいとの意見が出された.第4段階の協議の結果,「benefits」を「利益」,「risks」を「リスク」とし日本語版(暫定版)とした.

2. 一般市民・医療者調査

1) 研究協力者の属性

配布した38名のうち,32名(一般市民14名,医療者18名)より回答が得られた(回収率84.2%).回答者は男性10名(31.3%),女性22名(68.9%)であった(表1).

表1 調査回答者の属性 N = 32
項目 人数 (%)
性別
男性 10 (31.3)
女性 22 (68.8)
年代
20歳代 1 (3.1)
30歳代 8 (25.0)
40歳代 12 (37.5)
50歳代 6 (18.8)
60歳代 3 (9.4)
70歳代 2 (6.3)
医療資格の有無
あり(医師・看護師・助産師) 16 (50.0)
なし(一般市民) 14 (43.8)
不明 2 (6.3)
病気療養経験の有無
あり 24 (75.0)
なし 8 (25.0)

2) SURE test日本語版(暫定版)のわかりやすさ

各項目「わかりやすい」と回答したものは,項目1:25名(78.1%),項目2:18名(56.3%),項目3:15名(46.9%),項目4:18名(58.1%)であった.

3) わかりにくいと指摘されたおもな表現と修正提案

回答者からわかりにくいと指摘されたおもな表現と修正提案,その他の意見を表2に示す.項目2及び3に含まれる「利益」と「リスク」について,回答者の約3分の1からわかりにくいと指摘があった.「利益」は,「メリット」,「長所」などへ,「リスク」は,「デメリット」,「不利益」などへの修正提案があった.他に,「(一般市民の)中には「リスク」という言葉がわからない人がいるかもしれないが,「危険性」とも書きたくない.やはり医療だから「リスク」(が妥当)」といった意見も出された.

表2 一般市民・医療者よりわかりにくいと指摘されたおもな表現と修正提案(自由記載)
わかりにくいと指摘された表現(その表現を含む項目) 修正提案(一部抜粋) その他の意見(一部抜粋)
「自信がありますか?」
(項目1)
「確信度はどれぐらいですか?」,
「自信をもてますか?」,
「 納得していますか?」
・医療はあらゆる場面で一種の賭け.自信があるのかではなく迷いがありますか?という方がいいのでは?  
・よい選択だとは思うが自信がない場合どのようにかいとうすればよいか迷うのでは?
「利益」
(項目2,3)
「メリット」,「長所」,「利点」,
「良い点」,「ベネフィット」
・「利益」と「リスク」が対義語にならないのが気になる  
・「利益」と言われるとお金のことのようでピンとこないかもしれない
「リスク」
(項目2,3)
「デメリット」,「不利益」,
「悪い点」,「害」,「不利な点」
・(一般市民の)中には「リスク」という言葉がわからない人がいるかもしれないが,「危険性」とも書きたくない.やはり医療だから「リスク」(が妥当)
「支援」
(項目4)
「サポート」 ・「支援」と「助言」の違いが不明  
・「支援」はあまり馴染みのない言葉です  
・誰からの「支援」を意味するかわかりにくい
「助言」
(項目4)
「アドバイス」 ・「助言」は,「受ける」または「得る」でしょうか?  
・医療者や周囲のあり方でなく,本人の状況が整っているかを尋ねた方がよいと思う

3. SURE test日本語版の再検討

第5段階で実施した一般市民・医療者への調査の結果,約3分の1の回答者より「利益」と「リスク」がわかりにくい表現として指摘された.第6段階として,原文の「Benefits」と「Risks」を,慎重に和訳すべき概念として取り上げ,言語的な意味,ヘルスケア分野での和訳について再検討した.

1) Benefitsの翻訳検討

Benefitは,英和辞書では「利益,恩恵,たすけ,有利さ,利点」,「公的補助金,手当」,「給付金」等と示されている(ジーニアス英和大辞典).DCS日本語版(16項目)は,「benefits」を「有益性」としているが(Kawaguchi et al., 2013),診療ガイドライン評価ツールThe Appraisal of Guidelines for Research & Evaluation II(AGREE II)日本語訳(公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部,2016)や乳癌診療ガイドライン(日本乳癌学会,2015)では,ともに「Benefits」を「利益」と訳している.「利益」を和英辞書で確認すると「profit, benefit」であり,「有益」は「helpful, useful, instructive」と示されていた(プログレッシブ和英中辞典).今回の研究協力者の修正提案として出された「メリット」や「利点」は「an advantage」,「長所」は「a strong (good) point, one’s forte, a merit; an advantage」と類似点もあるが,「Benefit」に最も近い和訳は「利益」であり,我が国の診療ガイドラインにも用いられているため,日本語版(暫定版)を変更する必要はないと判断した.

2) Risksの翻訳検討

Riskは,英英辞書では「the possibility of something bad happening at some time in the future; a situation that could be dangerous or have a bad result, A person or thing that is likely to cause problems or danger at some time in the future」と示され(Oxford Advanced Dictionary of current English),英和辞書では「(危害・損害などの/……に対しての/……という)危険(性),リスク,恐れ,賭け,冒険」と示されている(ジーニアス英和大辞典).つまりriskは,悪いことが起こりうる可能性という不確実性を伴う将来的な予測を含む概念であると言える.経済産業省は「risks」を「リスク」と表記し「危害の発生確率とその危害の重大さとの組合せ」と定義している(経済産業省,2011).AGREE II日本語訳(公益財団法人 日本医療機能評価機構EBM医療情報部,2016),一般社団法人日本がん看護学会作成の一般市民向けパンフレット「がんの臨床試験について知っていただきたいこと」(一般社団法人日本がん看護学会SIG臨床試験看護師グループ,2013)において,いずれも「risks」を「リスク」と表記していた.一方,広辞苑では「危険」,「保険者の担保責任」と示され,危害が発生する確率を示す意味が含まれていなかった(広辞苑).DCS日本語版(16項目)では,「risks」を「危険性」としているが(Kawaguchi et al., 2013),「危険」を用いるとその出来事が起こるかもしれないし起こらないかもしれないという不確実性の意味合いが伝わりにくくなる可能性がある.今回の研究協力者の修正提案として出された「不利益」は,「利益にならないこと」を意味し,英語では「a disadvantage」が該当する.また他の修正提案としてあがった「デメリット」は広辞苑では「欠点,短所,不利益」などと示されているものの(広辞苑),和英辞書(プログレッシブ和英中辞典)には存在しなかった.いずれもわかりやすい表現ではあるが,原文に含まれる確率および不確実性の意味合いが含まれていなかった.

これらを踏まえ研究者間で協議した結果,「リスク」を日本語として用いることが言語的に考え妥当であると考えた.しかし,幅広い年代の一般市民が用いることを想定し,「risks」をDCS日本語版で「危険性」と訳していることから,SURE test日本語版では,「リスク(危険性)」と表記することとした.

4. 日本語版の確定

一連の検討を踏まえ,言語的妥当性を確保したSURE test日本語版を確定した.調査結果からわかりにくい表現について様々な意見が出されたが,原文の意味からなるべく離れないことと,我が国の医療関連資料における用語の用い方を考慮し確定した.SURE test日本語版開発の一連のプロセスと確定した日本語版の2名による逆翻訳結果を原文管理者へ報告し,了承が得られた.表3に原作版と日本語版(暫定版),日本語版の翻訳を示し,表4にSURE test日本語版を示す.

表3 SURE test原文から日本語版への翻訳過程
項目 原文(英語) 日本語版(暫定版) 日本語版(確定)
項目1 Do you feel sure about best choice for you? あなたにとって最も良い選択だという自信がありますか? あなたにとって最も良い選択だという自信がありますか?
項目2 Do you know the benefits and risks of each option? あなたはそれぞれの選択肢の利益とリスクを知っていますか? あなたはそれぞれの選択肢の利益とリスク(危険性)を知っていますか?
項目3 Are you clear about which benefits and risks matter most to you? あなたにとって,どの利益とリスクが最も重要であるかはっきりしていますか? あなたにとって,どの利益とリスク(危険性)が最も重要であるかはっきりしていますか?
項目4 Do you have enough support and advise to make a choice? 選択をするための十分な支援と助言がありますか? 選択をするための十分な支援と助言がありますか?

日本語版(暫定版)から日本語版(確定)時に修正した箇所を下線で示す.

表4 SURE test日本語版
はい
[1]
いいえ
[0]
Sure of myself あなたにとって最も良い選択だという自信がありますか?
Understand information あなたはそれぞれの選択肢の利益とリスク(危険性)を知っていますか?
Risk-Benefit ratio あなたにとって,どの利益とリスク(危険性)が最も重要であるかはっきりしていますか?
Encouragement 選択をするための十分な支援と助言がありますか?

「はい」の場合は1点,「いいえ」の場合は0点

合計点が4点未満の場合は,臨床的に明らかに意思決定の葛藤を抱えている可能性があります.

Ⅴ. 考察

本研究では,尺度翻訳ガイドライン(Beaton et al., 2000)の過程において,「Benefits」と「Risks」について言語的妥当性の点から再検討した.「リスク」という言葉の認知率は97.9%,理解率は89.6%(国立国語研究所「病院の言葉」委員会,2009)であるのに対し,研究参加者は,「リスク」をわかりにくい言葉と捉えていた.日本人のヘルスリテラシー調査結果では,「治療法が複数ある時,それぞれの長所と短所を判断するのは」「難しい」と回答した日本人が70.6%,「別の医師からセカンド・オピニオン(主治医以外の医師の意見)を得る必要があるかどうかを判断するのは」「難しい」と回答した日本人が73.0%であり,いずれも「難しい」と回答した割合が,EU 8カ国より多かった(Nakayama et al., 2015).我が国は,よい意味で,自分で医療に関する情報を理解し判断する力を持たなくとも,医師による判断を信頼し質の保証が保たれた医療が受けられてきたため,不確実性を含む「リスク」を吟味する機会が少なく,難しい言葉として認識されたと推測される.

「病院の言葉をわかりやすくする提案」では,患者に言葉が知られていない場合と患者の理解が不確かな場合の提案として,重要で新しい概念としての普及を挙げている(国立国語研究所「病院の言葉」委員会,2009).近年,複雑で不確実で難しい医療に関連した意思決定プロセスを患者と医療者で共有するシェアード・ディシジョンメイキング(Shared Decision Making; SDM)が患者中心の医療の具現化として重視され,米国,カナダ等では政策導入が開始されている.我が国でもSDMを選好し重視する患者の割合は,約50%(Schaede et al., 2017Mahlich & Sruamsiri, 2017)であり,今後益々SDMへのニーズが高まると予測される.患者や家族が医療者と情報を共有する上で,「Benefits」や「Risks」の意味を適切に理解することが,医療者の対等性において必要となる.したがって,「Benefits」と「Risks」は,「病院の言葉をわかりやすくする提案」の「重要で新しい概念として普及させる」必要のある概念に位置づけることができ,今回の翻訳は妥当であると考える.

忙しい医療現場において医療者が一人の患者にかけられる時間には限りがある.効果的効率的に意思決定支援ニーズを抱える患者を拾い上げ適切な支援を提供する上で,チーム医療は必須であり看護師は重要な役割を担っている.SURE testを用いることで,簡単に短時間で患者の意思決定支援ニーズをスクリーニングできる.SURE testにおいて患者が1項目でも「いいえ」を選択した場合,DCS16項目を用いた評価を行うよう推奨している(The Ottawa hospital research institute, 2017).これにより詳細なアセスメントが可能となり,患者のニーズに合った支援を実施しやすくなると考える.

Ⅵ. 研究の限界と今後の課題

本研究は尺度翻訳ガイドライン(Beaton et al., 2000)に沿って言語的妥当性を踏まえSURE test日本語版を開発した.次の段階として,日本人を対象とした信頼性と妥当性の検討を実施する予定である.

謝辞:調査にご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げます.本研究は,平成28年度東京慈恵会医科大学医学部看護学科研究費の助成を受けて実施しました.本研究は,第38回看護科学学会学術集会にて発表し,これに一部加筆修正したものである.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

著者資格:WOは研究の着想およびデザイン,翻訳検討,データ収集と分析,草稿の作成;YA,AE,NKは翻訳検討,データ収集と分析に貢献;NAは翻訳検討,研究プロセス全体への助言;KNは研究の着想およびデザイン,翻訳検討,研究プロセス全体への助言.すべての著者が最終原稿を読み,承認した.

文献
 
© 2019 公益社団法人日本看護科学学会
feedback
Top