2020 年 40 巻 p. 23-31
目的:本研究は,ハンチントン病患者の血縁者がもつ遺伝に関する体験を明らかにし,看護職の役割を検討するための基礎資料とすることを目的とした.
方法:半構造化面接法を用いてデータ収集し,質的記述的研究にて分析した.
結果:研究参加者は10名,年齢は平均53.6歳(SD = ±28.5)であった.分析の結果,7つのカテゴリーと39のサブカテゴリーを抽出した.研究参加者は,【発症者への違和感】を持ち,【漠然と気づく家系の病気】を感じていた.【発症者の人格の変化による生活への支障】が生じ,【遺伝家系であることに囚われ(る)】,【自分が発症した時を脅え(る)】,【遺伝について伝えることを躊躇(する)】していた.さらに,【発症者自身やその家族が孤立(する)】していた者もいた.
結論:ハンチントン病患者の第一度近親者は,漠然と家系の病気を気づき,遺伝について囚われ,自分が発症することに脅えながら,発症者とともに過ごしていた.