2020 年 40 巻 p. 502-510
目的:療養病床に勤務する看護職におけるワーク・エンゲイジメントの因果プロセスを検証し,管理職,非管理職の差異を明らかにする.
方法:東北地方の療養病床の看護職1,786人に質問紙調査を実施し,有効回答1,269人を対象に共分散構造分析による因果モデルの検証と,管理職,非管理職でのモデルの差異を検証する多母集団の同時分析を行った.
結果:個人の資源と仕事の資源を先行因子,ワーク・エンゲイジメントを媒介因子,心身の健康と仕事のパフォーマンスをアウトカムとするプロセスモデルが検証された.このプロセスは管理職,非管理職で差を認め,非管理職の先行因子からアウトカムへのプロセスには,直接効果とワーク・エンゲイジメントを媒介する間接効果が認められたが,管理職では直接効果のみが認められた.
結論:看護管理を担う管理職は,心身の健康と仕事のパフォーマンスの向上に影響するプロセスには職位による差があることを認識し,仕事の負担や仕事の資源をサポートする必要性が示唆された.