2021 年 41 巻 p. 787-795
目的:新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度を開発する.
方法:新卒看護師のサポートに関する文献と質的研究を基に尺度原案を作成した.首都圏内にある大学病院と国立系病院10施設の新卒看護師を対象に質問紙調査を行い,尺度の妥当性と信頼性を検証した.
結果:有効回答は553名(72.2%)であった.性別,社会人経験の有無,最終学歴の違いによる尺度原案の総合得点の平均値に有意差はみとめず,有効回答全数を分析対象とした.項目分析後,探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行い【実践面のサポート】と【情緒面のサポート】の2因子17項目が抽出された.確証的因子分析によるモデルの適合度はGFI = .903,AGFI = .875,RMSEA = .072で,基準関連妥当性の相関係数は.723,クロンバックα信頼係数は.952,再テスト法の級内相関係数は.697であった.
結論:新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度は許容範囲の信頼性と妥当性が検証された.
Purpose: This study aims to develop a support assessment scale of on-site nursing instructors based on the perceptions of novice nurses.
Methods: A draft scale was created based on the literature and qualitative studies related to the support provided for novice nurses. The validity and reliability of the scale was evaluated with a questionnaire survey administered to novice nurses working in ten university hospitals and national hospitals in the Tokyo metropolitan area.
Results: The number of valid responses was 553 (72.2%). Since no significant differences were found in the mean total scores of the draft scale depending on the gender, working experience as a member of society, and final educational background, all the valid responses were included in the analysis.
After performing an item analysis, we performed an exploratory factor analysis with the maximum likelihood method and promax rotation. The analysis identified 17 items in the following two factors: [practical support] and [emotional support]. The goodness of fit of the model by confirmatory factor analysis was GFI = .903, AGFI = .875, and RMSEA = .072. The correlation coefficient for the criterion-related validity was .723, the Cronbach’s coefficient alpha was .952, and the intraclass correlation coefficient by a test-retest was .697.
Conclusion: Acceptable reliability and validity of the support assessment scale of on-site nursing instructors perceived by novice nurses were verified.
医療の高度化,少子高齢化を背景に,今後の看護を支えていく新卒看護師が患者に安全で質の高い看護を提供することができるよう,新卒看護師のサポート体制は整備されつつある.日本では多くの施設でプリセプターシップ制度が導入され(日本看護協会,2005),新卒看護師は主にプリセプターからサポートを得てきた.しかし,新卒看護師の看護基礎教育で習得する看護実践能力と臨床現場で必要な臨床実践能力との乖離が早期離職の一因であると指摘されるようになり,2010年に卒後臨床研修制度が努力義務化され,「新人看護職員研修ガイドライン(以下,ガイドライン)」が策定された(厚生労働省,2014).近年の新卒看護師は各施設で構築されたサポート体制に基づき様々な看護師からサポートを得ている(厚生労働省,2014;大村ら,2019).その中でも,新卒看護師に対し臨床実践に関する実地指導,評価を行う実地指導者(以下,施設により名称が統一されていないため,同様の役割を担う者を実地指導者とする)は,新卒看護師の看護の知識や技術の指導のみならず,身近な相談相手となり気持ちを理解し精神的に支える重要な存在である(三堀,2015).新卒看護師が実地指導者から得ているサポートの認識に焦点をあてた研究では,看護技術を一緒に確認する,自信がつくまで一緒に看護を実践する,うまくいかなかったところを一緒に振り返る(中山,2011;光岡ら,2019)などの知識や技術の習得,看護実践に関するサポートや,声をかける,時間外で話を聴く,良かったところを褒める(中山,2011;三堀,2015;光岡ら,2019)などの精神的サポートが明らかとなっている.またこれらの実地指導者からのサポートの認識は,成長の自覚,気分転換,前向きな気持ちを抱くきっかけにもなる(中山,2011,三堀,2015)ことから,新卒看護師にとって極めて重要である.さらに,新卒看護師は看護の知識や技術が未熟なことによる不安や,自信が確立していない中で重症患者を受け持つことに不安や精神的圧力がある(三堀,2015)が,このような新卒看護師に対し実地指導者からのサポートの認識があれば,知識や技術を習得し,自信をもって看護実践を遂行することや,精神的な安定につながると考える.しかしながら,実地指導者からのサポートを新卒看護師自身がどの程度認識しているのかという把握までには至っていない.そこで今回,実地指導者のサポートに対する新卒看護師の認識を定量化し客観的に評価できる尺度を開発することとした.新卒看護師がこの尺度を用いて実地指導者のサポートの認識を評価することにより,これで得た知見から,看護の知識,技術の習得や看護実践の遂行,情緒の安定に向けて,実地指導者から効果的なサポートを得るための資料として活用できると考える.
これまでの新卒看護師に関する研究において,国内外では新卒看護師のサポートの認識を測定するために開発された尺度は見当たらず,一般の職場における上司,先輩等からのサポートの認識を測定する,ソーシャルサポート尺度(小牧,1994)や職場における他者からの支援(中原,2010)が用いられている.しかし,医療の場における新卒看護師が実地指導者から得ているサポートの認識を測定する場合,精神的サポートは既存尺度にも含まれ類似していると考えられるが,看護の知識や技術の習得,看護実践に関するサポートは含まれておらず,既存尺度を用いるには限界があると考える.以上から,本研究では新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度を開発する.
本研究の目的は,新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度を開発することである.
看護基礎教育課程を卒業し初めて看護職として働く1年未満の看護師とする.
2. 実地指導者新卒看護師に対して,臨床実践に関する実地指導,評価等を行う看護師とする(厚生労働省,2014).
3. 新卒看護師が認識する実地指導者のサポート新卒看護師と実地指導者の相互関係の中で,新卒看護師が実地指導者から得ている実践面や情緒面の支援とする.
本研究では,実地指導者のサポートに対する新卒看護師の認識を評価する尺度開発を目指し,次の過程で質問項目を作成した.1つ目は新卒看護師を対象とし,実地指導者を含む先輩看護師からの具体的なサポート内容が記載されている4つの質的先行研究(久留島,2004;中山,2011;長岡・亀岡,2014;中山ら,2017)と先行研究で用いられているソーシャルサポート尺度(小牧,1994)および職場における他者からの支援(中原,2010)を参考に質問項目を作成した.2つ目は予備調査(中澤ら,2020)における新卒看護師が効果的と認識する実地指導者からのサポートで得た69コードを基に質問項目を抽出した.3つ目は新卒看護師のサポートに精通する看護学研究者28名で専門家会議を行い,質問項目を作成した.以上から全59項目の質問項目を作成した.質問項目の内容妥当性を検討するため新卒看護師のサポートに精通する看護学研究者30名と内容の検討を行った.質問内容の重複の有無,不明瞭な質問の視点で項目を洗練させ質問内容が類似しているものを削除または統合し,不明瞭な質問については文章や文言を修正した.本研究の質問項目の作成,内容妥当性を検討した看護学研究者は,修士・博士課程で看護管理・政策学を専攻し,新卒看護師の研究をしている研究者,臨床において新卒看護師をサポートする機会が多々ある看護管理者や新卒看護師の育成に携わる看護師,看護学生が新卒看護師となっても相談を受ける機会が多々ある看護学教員であった.これらは新卒看護師の立場を考えサポートを検討することが可能であると考えた.これらの過程から〈業務的サポート〉23項目,〈情緒的サポート〉11項目の計33項目からなる新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度原案を作成した.
2. 調査対象調査対象は首都圏内にある大学病院及び国立系病院のうち実地指導者が配置されている施設に勤務している新卒看護師とした.1回目の調査は研究者と関連する大学病院及び国立系病院5施設と日本病院会に登録されている大学病院及び国立系病院を無作為に抽出し承諾が得られた5施設とした.2回目の調査はこの10施設のうち調査協力が得られた大学病院4施設と国立系病院2施設とした.調査対象について,新卒看護師が入職する施設はガイドラインに基づき教育体制が整備されている(末永ら,2014)が,研究者らの臨床経験や教育経験からも,大学病院や国立系病院は新卒看護師の教育体制が整備されサポートが充実していることから選択した.
3. 調査期間・データ収集方法2019年1月~2019年3月に,2週間の留め置き法による無記名自記式質問紙調査を実施した.留め置き法を用いた理由は,一般的に回答率が高いといわれている(福武,1958)ためである.初めに施設の看護部長に口頭で研究の説明を行い,研究の趣旨,目的,方法,倫理的配慮が記載された文書,無記名自記式質問紙,承諾書,返信用封筒一式を郵送した.次に調査協力が得られた施設の看護部長へ対象者数分の研究説明書と無記名自記式質問紙,封筒を同封セットしたものと,看護部への調査の流れの説明書,および部署数分の回収袋を送付し,対象者への配布を依頼した.質問紙の回収方法は,対象者が各部署に設置された回収袋に入れてもらうようにした.時間的安定性を確認するための再テストは1回目の調査終了後から2週間後に実施した.なお1回目と2回目のデータは,本人及び母親の生年月日により照合した.
4. 調査内容 1) 新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度原案新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度原案33項目の回答は,「全くあてはまらない」1点,「あてはまらない」2点,「どちらかといえばあてはまらない」3点,「どちらかといえばあてはまる」4点,「あてはまる」5点,「大変あてはまる」6点の6段階評価とした.
2) 看護師におけるメンタリング機能尺度基準関連妥当性の検証には,妹尾・三木(2012)の看護師におけるメンタリング機能尺度を使用した.この尺度はキャリア中期までの看護師のキャリア支援を中心としたメンタリング機能が評価でき「指導・教育機能」,「受容・応援機能」,「役割モデル機能」,「人間関係調整機能」,「傾聴・相談機能」の5つの下位尺度で構成され妥当性・信頼性が検証されている.Kram(1988)のメンタリング機能は,キャリア発達に関わる支援である「キャリア機能」と,ソーシャルサポートと関連が深い身体的,精神的健康や安寧の増進への援助と類似する「心理社会的機能」で構成され,多くの研究者から支持されている(小野,2000).看護師におけるメンタリング機能尺度においても「心理社会的機能」と類似する「受容・応援機能」,「傾聴・相談機能」が含まれ,本尺度においても情緒にはたらきかける【情緒面のサポート】を含んでいる.また看護師におけるメンタリング機能尺度には,キャリア支援である仕事に関する有益な情報提供,助言,見本,方法やコツの伝授で構成された「指導・教育機能」が含まれ,本尺度には看護の知識,技術,態度の習得,看護実践の遂行につながると考える【実践面のサポート】が含まれていることから,両尺度の間には相関があると仮定した.尺度の使用にあたり尺度開発者から使用許諾を得た(2018年8月).
3) 対象者の属性実務職種,年齢,性別,最終学歴,社会人経験の有無とした.
5. 分析方法 1) 記述統計および2変量解析度数分布と,性別,社会人経験の有無,最終学歴別に尺度原案の得点の平均値を比較し有意差の検定(t検定,一元配置分散分析)を行った.
2) 項目分析各項目の平均値・標準偏差による天井効果(平均値+標準偏差>6)と床効果(平均値-標準偏差<1)の確認,Item-Total Correlation Analysis(以下,I-T相関分析),項目間相関分析,Good-Poor analysis(以下,G-P分析)を検討した.探索的因子分析へ投入除外基準は,天井効果と床効果がある項目,I-T相関分析では.30以下の項目を除外した.項目間相関分析では.70以上の項目を基準とし,基準を満たす項目については研究者間で内容の類似性を検討し,類似したいずれかの項目を除外した.G-P分析では上位群と下位群の有意差をt検定で確認し有意差がない項目を除外した.
3) 妥当性の検証 (1) 構成概念妥当性構成概念妥当性の検討は,項目分析で整理した項目を用いて探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行い,下位構造の因子で新卒看護師が認識する実地指導者のサポートの概念が説明されているかを新卒看護師のサポートに精通した看護学研究者25名で検討し因子名を付けた.さらに確証的因子分析を行いモデルの適合度を算出した.モデルの適合度は中山(2017)の基準を参考とし,Goodness of Fit Index(以下,GFI).90以上,Adjusted Goodness of Fit Index(以下,AGFI).85以上,Root Mean Square Error of Approximation(以下,RMSEA).08以下とした.
(2) 基準関連妥当性基準関連妥当性の検討は,新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度と看護師におけるメンタリング機能尺度(妹尾・三木,2012)の総合得点および各下位尺度得点の関係性についてPearsonの積率相関係数を算出し,対馬(2016)の基準を参考とし,|r| = 0.2 以上を基準とした.
(3) 標本妥当性標本妥当性の検討は,Kaiser-Meyer-Olkin(以下,KMO)を算出し,小野寺・山本(2004)の基準を参考とし,.50以上を基準とした.
4) 信頼性の検証 (1) 内的整合性内的整合性の検討は,尺度全体と各下位尺度のクロンバックα信頼係数を算出し,中山(2017)の基準を参考とし,.70以上を基準とした.
(2) 時間的安定性時間的安定性の検討は,再テスト法を1回目の調査から2週間後に実施し,両テストにおいて級内相関係数を算出し,対馬(2016)の0~1の基準で判断した.
解析には,IBM SPSS Statistics ver. 27,IBM SPSS Amos ver. 27を用いた.すべての分析において有意水準は5%(両側)とした.
6. 倫理的配慮質問項目の作成,内容妥当性の検討,因子の命名に参加した看護学研究者には口頭および文書にて研究の趣旨,目的,方法,匿名性の保証,参加協力の自由等を説明し同意を得て実施した.病院の調査では,看護部管理者に研究の趣旨,目的,倫理的配慮を文書と口頭にて説明し同意を得た.対象者には,配布文書にて研究の趣旨,目的,方法,倫理的配慮を説明し,結果公表に際しての匿名性を保証した.調査への協力は自由であり,参加の拒否や不同意により不利益を被ることはないこと,データは統計処理をして個人が特定されないこと,研究以外の目的には使用しないことを説明し,対象者の自由意思の尊重を厳守した.質問紙を入れることも任意であり,質問紙は封をしたうえで設置した回収袋に入れるよう依頼した.質問紙の冒頭には質問紙調査の同意の有無を確認できるよう同意欄を設け,不同意の場合は回収袋へ入れる義務はなく,白紙で入れることも可能であることを説明し自由意思の尊重を厳守した.結果は統計的に処理し個人が特定されることはないこと,質問紙およびデータの管理は厳重に行うことを説明書に明記し,回答をもって同意とみなした.本研究は国際医療福祉大学倫理審査施設委員会の承認を得て実施した(承認番号18-Ig-95).
1 回目の調査の回収数は617名(80.6%)であり,年齢,性別,社会人経験,最終学歴,新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度原案に欠損値がある者,単一選択肢の回答において複数以上の回答をしている者を除外した553名(72.2%)を有効回答とした.2回目の調査の回収数は439名(回収率76.6%)であり,1回目の回答者とマッチングでき,年齢,性別,社会人経験,最終学歴,新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度原案に欠損値がある者,単一選択肢の回答において複数以上の回答をしている者を除外した315名(54.9%)を有効回答とした.
| 項目 | 人数 | % | 尺度原案の平均 | 標準偏差 | 有意確率 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 性別 | 男性 | 49 | 8.9 | 143.6 | 27.3 | .763 |
| 女性 | 504 | 91.1 | 146.7 | 25.8 | ||
| 社会人経験の有無 | 無 | 509 | 92.0 | 147.2 | 25.6 | .660 |
| 有 | 44 | 8.0 | 137.5 | 27.5 | ||
| 最終学歴 | 看護専門学校卒 | 217 | 39.2 | 147.4 | 25.1 | .261 |
| 看護系短期大学卒 | 69 | 12.5 | 141.7 | 25.3 | ||
| 看護系大学卒 | 267 | 48.3 | 146.9 | 26.7 |
2群間はt検定,3群間は一元配置分散分析による
本研究対象者の平均年齢は23.3 ± 2.9歳であり,性別は男性49名(8.9%),女性504名(91.1%)であった.社会人経験の有無では無509名(92.0%),有44名(8.0%)であった.最終学歴は,看護専門学校卒217名(39.2%),看護系短期大学卒69名(12.5%),看護系大学卒267名(48.3%)であった.性別,社会人経験の有無,最終学歴の違いによる尺度原案の総合得点の平均値に有意差はみとめず,これらは等質なものと判断し分析を行った.
2. 項目分析(表2)新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度原案33項目のうち天井効果および床効果を示す項目はなかった.I-T相関の範囲は.53~.82であり,.30以下のものはなかった.項目間相関では,相関係数が.70以上となった項目が27組あり,内容の類似性を確認し8項目を除外した.G-P分析では合計得点から上位群(n = 131,23.68%),下位群(n = 140,25.31%)を抽出しt検定を行った結果,いずれの項目についても1%水準で有意差があった.
| 仮説構成概念 | 質問項目 | 平均 | 標準偏差 | 項目間相関 | I-T相関 | G-P分析 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 最小 | 最大 | ||||||
| 業務的サポート | 1.私が看護技術を経験できるよう機会をつくってくれる | 4.70 | .85 | .29 | .69 | .66 | <.01 |
| 2.私が初めて看護技術を実施するときは見本を示してくれる | 4.84 | .92 | .29 | .74 | .66 | <.01 | |
| 3.私が初めて看護技術を実施するときは見守ってくれる | 5.01 | .85 | .26 | .75 | .68 | <.01 | |
| 4.私が一人で看護技術を実施できないところは手伝ってくれる | 4.93 | .86 | .34 | .75 | .69 | <.01 | |
| 5.私が一人で看護技術を実施できるようになるまで段階的に指導してくれる | 4.59 | 1.00 | .40 | .69 | .76 | <.01 | |
| 6.チェックリストを用いて,私の疾患の知識や看護技術の到達度を評価してくれる | 4.57 | 1.06 | .35 | .67 | .62 | <.01 | |
| 7.私に部署特有の看護技術や疾患をまとめた資料の使い方を教えてくれる | 4.24 | 1.08 | .30 | .61 | .62 | <.01 | |
| 8.私に合った学習方法を教えてくれる | 3.59 | 1.16 | .37 | .63 | .67 | <.01 | |
| 9.私が実施した課題を一緒に確認してくれる | 4.36 | 1.12 | .35 | .67 | .68 | <.01 | |
| 10.私に根拠に基づいて看護実践を教えてくれる | 4.59 | .95 | .38 | .76 | .75 | <.01 | |
| 11.私に質問しながら,看護実践の根拠が理解できているか確認してくれる | 4.53 | .94 | .39 | .76 | .74 | <.01 | |
| 12.私が実施した看護実践を一緒に振り返ってくれる | 4.59 | .99 | .41 | .76 | .78 | <.01 | |
| 13.私が看護業務の優先順位がつけられるよう指導してくれる | 4.55 | .96 | .40 | .76 | .77 | <.01 | |
| 14.私が達成すべき目標を一緒に考えてくれる | 4.36 | 1.05 | .44 | .76 | .76 | <.01 | |
| 15.私が失敗したときその原因や解決策を一緒に考えてくれる | 4.58 | .99 | .40 | .73 | .76 | <.01 | |
| 16.私のできていないところを指摘してくれる | 4.88 | .83 | .19 | .54 | .53 | <.01 | |
| 17.私が一人で判断できず困ったとき相談にのってくれる | 4.71 | 1.08 | .42 | .76 | .78 | <.01 | |
| 18.私が対応しきれずできていない看護業務を手伝ってくれる | 4.75 | 1.02 | .42 | .76 | .78 | <.01 | |
| 19.私の能力を考慮し看護業務を割り振ってくれる | 4.47 | 1.06 | .38 | .73 | .75 | <.01 | |
| 20.私が定時で帰宅できるよう業務を調整してくれる | 4.07 | 1.24 | .30 | .67 | .63 | <.01 | |
| 21.私が医師に報告するとき必要な情報を確認してくれる | 4.24 | 1.06 | .41 | .64 | .73 | <.01 | |
| 22.私が患者や家族の対応に困ったとき代わりに対応してくれる | 4.64 | 1.00 | .42 | .71 | .74 | <.01 | |
| 23.私のお手本となってくれる | 4.72 | 1.05 | .44 | .73 | .80 | <.01 | |
| 情緒的サポート | 24.私がカンファレンス等で意見を言えるよう促してくれる | 4.05 | 1.13 | .33 | .66 | .71 | <.01 |
| 25.私に看護職者としての言葉使いや態度を教えてくれる | 4.41 | 1.04 | .41 | .66 | .73 | <.01 | |
| 26.私ができるようになったところを褒めてくれる | 4.38 | 1.17 | .30 | .82 | .79 | <.01 | |
| 27.私自身が気づいていない良いところを教えてくれる | 4.22 | 1.21 | .29 | .82 | .74 | <.01 | |
| 28.私が話しやすい雰囲気をつくってくれる | 4.22 | 1.18 | .32 | .77 | .79 | <.01 | |
| 29.食事や飲み会など勤務時間外で私と話をする機会を作ってくれる | 3.71 | 1.37 | .29 | .66 | .60 | <.01 | |
| 30.私の状況を気にかけ声をかけてくれる | 4.39 | 1.15 | .30 | .79 | .75 | <.01 | |
| 31.私が考えていることを否定せず聴いてくれる | 4.35 | 1.14 | .33 | .79 | .82 | <.01 | |
| 32.私の悩みや不安を聴いてくれる | 4.19 | 1.20 | .33 | .79 | .80 | <.01 | |
| 33.私に気分転換をするようすすめてくれる | 4.02 | 1.24 | .28 | .79 | .70 | <.01 | |
網掛けは項目分析にて除外された項目
項目分析により抽出された25項目を用いて探索的因子分析を実施した.初期の固有値の変化とスクリープロットから2因子と判断し,固有値1以上,因子負荷量.40以上,因子負荷量が2因子に所属してないことを基準として,最尤法,プロマックス回転での因子分析を行った.2因子17項目を抽出し累積寄与率は62.87%,因子間相関は.719であった.第1因子は「私が看護業務の優先順位がつけられるよう指導してくれる」,「私が実施した看護実践を一緒に振り返ってくれる」,「私に根拠に基づいて看護実践を教えてくれる」,「私が失敗したときその原因や解決策を一緒に考えてくれる」,「私が看護技術を経験できるよう機会をつくってくれる」,「私のお手本となってくれる」等の11項目で構成されており,新卒看護師が看護師として必要な知識,技術,態度を習得し,患者の安全・安楽に配慮しながら看護を実践するために必要なサポート内容と解釈し【実践面のサポート】と命名した.第2因子は「私に気分転換をするようすすめてくれる」,「私の悩みや不安を聴いてくれる」,「私の状況を気にかけ声をかけてくれる」,「私が話しやすい雰囲気をつくってくれる」等の6項目で構成されており,新卒看護師に生じる感情を,気分転換の推奨,心地良い雰囲気作り,傾聴,心配り,承認によって安定させるために必要なサポート内容と解釈し【情緒面のサポート】と命名した.
| 因子名(クロンバックα) | 項目番号と項目内容 | 因子負荷量 | |
|---|---|---|---|
| 第1因子 | 第2因子 | ||
| 第1因子 実践面のサポート (α = .937) |
13 私が看護業務の優先順位がつけられるよう指導してくれる | .883 | –.052 |
| 12 私が実施した看護実践を一緒に振り返ってくれる | .834 | .008 | |
| 10 私に根拠に基づいて看護実践を教えてくれる | .813 | –.005 | |
| 14 私が達成すべき目標を一緒に考えてくれる | .755 | .088 | |
| 1 私が看護技術を経験できるよう機会をつくってくれる | .735 | –.046 | |
| 2 私が初めて看護技術を実施するときは見本を示してくれる | .719 | –.025 | |
| 9 私が実施した課題を一緒に確認してくれる | .712 | .030 | |
| 7 私に部署特有の看護技術や疾患をまとめた資料の使い方を教えてくれる | .703 | –.041 | |
| 15 私が失敗したときその原因や解決策を一緒に考えてくれる | .680 | .163 | |
| 4 私が一人で看護技術を実施できないところは手伝ってくれる | .615 | .103 | |
| 23 私のお手本となってくれる | .562 | .277 | |
| 第2因子 情緒面のサポート (α = .929) |
33 私に気分転換をするようすすめてくれる | –.076 | .893 |
| 32 私の悩みや不安を聴いてくれる | .053 | .864 | |
| 29 食事や飲み会など勤務時間外で私と話をする機会を作ってくれる | –.142 | .847 | |
| 30 私の状況を気にかけ声をかけてくれる | .058 | .793 | |
| 28 私が話しやすい雰囲気をつくってくれる | .124 | .769 | |
| 26 私ができるようになったところを褒めてくれる | .194 | .677 | |
| 尺度全体(α = .952) | 因子間相関 | ||
| 第1因子 | ― | .719 | |
| 第2因子 | .719 | ― | |
抽出法:最尤法,プロマックス回転
探索的因子分析で抽出された2因子17項目のモデルの適合度指標を確認した結果,GFI = .903,AGFI = .875,RMSEA = .072(p < .01)であった.

新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度の確証的因子分析
本尺度の総合得点と看護師におけるメンタリング機能尺度の総合得点および両尺度の各下位尺度得点の相関係数は,順に.723(p < .01),.476~.663(p < .01)であった.
4) 標本妥当性KMOの標本妥当性は.958であった.
4. 信頼性の検証 1) 内的整合性尺度全体と各下位尺度のクロンバックα信頼係数を算出したところ,尺度全体が.952,第1因子が.937,第2因子が.929であった.
2) 時間的安定性テスト-再テストによる級内相関係数はr = .697(p < .01)であった.
5. 新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度の得点と解釈本尺度は,先行研究,予備調査による質的研究,研究者間の討論から尺度原案を作成し,項目分析と探索的因子分析から因子構造を確認後,確証的因子分析においてモデルの適合度を確認した.さらに基準関連妥当性および内的整合性と時間的安定性により妥当性と信頼性を検証するという過程を経て開発された.本尺度は【実践面のサポート】と【情緒面のサポート】の2因子17項目で構成され,総合得点の範囲は17~102点で,得点が高いほど実地指導者からのサポートの認識が高いと解釈できる.
第1因子の【実践面のサポート】は,新卒看護師が実地指導者から得たサポートの認識として抽出された,光岡ら(2019)の「知識・技術習得のために受けた支援」や,中山(2011)の「看護実践への具体的支援」,「評価のフィードバック」と類似していた.実地指導者は臨床実践の指導や評価をする役割があり,新卒看護師が看護を実践するためのサポートとして解釈可能な内容が抽出されたと考える.新卒看護師が【実践面のサポート】の認識を高めることは,看護師として必要な知識・技術・態度の習得や看護実践の遂行に役立つ可能性があるため,臨床実践能力の構造と考えられている「I 看護師として必要な基本姿勢と態度」,「II 技術的側面:看護技術」,「III 管理的側面」の一部である業務管理(厚生労働省,2014)を高めることにも役立つ可能性がある.したがって今後これらを照らし合わせ分析をしていくことも有用であると考える.第2因子の【情緒面のサポート】は,光岡ら(2019)の新卒看護師が実地指導者から得たサポートの認識として抽出された,仕事に対する思いの傾聴や声かけ等からなる「情緒的サポート」や,中山(2011)の時間外で悩みをきく,声かけからなる「温かい気遣い」と類似していた.また,唐澤ら(2008)の新卒看護師が欲しい支援に関する研究では,実地指導者は一番近くで見守る人として,気にかける,質問に応じる雰囲気や姿勢,辛さと共感の励ましが抽出されており,新卒看護師の情緒が安定するためのサポートとして解釈可能な内容が抽出されたと考える.
2) 妥当性の検討探索的因子分析で抽出された2因子により確証的因子分析を行った.モデルの適合度指標として,GFIは.90以上,AGFIは.85以上,RMSEAは.05以下ではよいとされ,.08までは許容範囲,.10を超えると不適なモデルとされている(中山,2017).したがって本尺度のRMSEAは許容範囲であるがその他の値においては基準を満たしており,構成概念妥当性は概ね確保できたと考える.
基準関連妥当性として,本尺度の総合得点と看護師におけるメンタリング機能尺度の総合得点および両尺度の各下位尺度得点の相関係数は,順に.7台,.4~.6台であった.対馬(2016)の基準では,|r| = 1.0~.7はかなり強い相関があり,|r| = .7~.4はかなりの相関があると判断することから基準関連妥当性は検証できたと考える.
KMOの標本妥当性は.9台であった.小野寺・山本(2004)基準では,.90以上は非常に良いと判断することから標本妥当性は確認できたと考える.
3) 信頼性の検討本尺度のクロンバックα信頼係数は,尺度全体および各下位尺度ともに.90台であった.一般的にクロンバックα信頼係数は.80以上あれば内的整合性が高いと判断される(中山,2017)ため,内的整合性は確認できたと考える.
再テスト法における級内相関係数は.60台であった.対馬(2016)は,級内相関係数が.61~.80であるとsubstantialであるため,本尺度の時間的安定性は確認できたと考える.
2. 新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度の実用性実地指導者からのサポートに対する新卒看護師の認識を評価する本尺度は,医療の場で働く新卒看護師が実地指導者からの看護の知識・技術・態度の習得,看護実践の遂行や情緒の安定に必要なサポートの認識を測定できることが特徴である.現在まで実地指導者からのサポートに対する新卒看護師の認識は質的研究において明らかにされてきたが,本尺度の開発によりこれらを定量化し客観的に評価することが可能となったことは本研究の新規性である.新卒看護師は,就職後1ヵ月や3か月に看護の知識や技術,看護実践への困難やリアリティショックを経験することが報告されている(平賀・布施,2007;唐澤ら,2008).したがって,これらの時期にある新卒看護師研修等で新卒看護師が実地指導者からのサポートの認識を定量評価することにより,看護師として必要な知識・技術・態度の習得,看護実践の遂行や情緒の安定に向け,実地指導者から効果的なサポートを得るための資料として活用できる.また新卒看護師が実地指導者のサポートの認識を高めることにより,臨床実践能力の向上や職場適応に寄与できると考える.実地指導者においては,新卒看護師に効果的なサポートを提供することや,研修プログラムを作成するための資料とすることができる.本尺度を活用するにあたっての注意点として,新卒看護師の自由意思を尊重し匿名性を十分に保証することが重要である.
3. 本研究の限界と今後の課題本研究では首都圏内の大学病院や国立系病院の施設に勤務する新卒看護師を対象とした.性別,社会人経験の有無,最終学歴の種類による区別はなく,これらの特徴を有し,首都圏内の大学病院や国立系病院で新卒看護師の教育体制が整備されサポートが充実した施設に勤務する新卒看護師の実地指導者からのサポートの認識を反映した結果であると考える.今後,他の地域や設置主体に勤務する新卒看護師にも調査を行い,尺度の精度を高めていくことが必要である.
本研究で開発された新卒看護師が認識する実地指導者のサポート評価尺度は,【実践面のサポート】と【情緒面のサポート】の2因子17項目で構成され,許容範囲の妥当性と信頼性が検証された.
謝辞:本研究にご協力いただきました新卒看護師の皆様,病院関係者の皆様に熱く御礼申し上げます.本研究は,JSPS科研費基盤研究C(19K10748)の助成を得て実施した.
利益相反:本研究における利益相反は存在しない.
著者資格:SNは研究全般を実施,ESは研究の着想,研究プロセス,分析に貢献,HKおよびSTは分析や原稿への助言を行い,すべての著者は最終原稿を読み,承認した.