日本看護科学会誌
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最新号
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総説
  • 西田 志穂
    原稿種別: 総説
    2021 年 41 巻 p. 1-10
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/10
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    目的:慢性心不全患者のアドバンスケアプランニングの定義を明らかにする.

    方法:49文献を対象にRodgersの方法を用いて概念分析を行った.

    結果:8つの属性:共有と議論が必要な医療とケアに関する情報,その人を知る,エンドオブライフ(EoL)を見通す,決めるプロセスの推進,シームレスなケアのための体制構築,パートナーシップ,対話,継続的・反復的なプロセス,7つの先行要件:社会的背景,文化的背景,医療従事者の背景,個別の判断による意向確認のタイミング,心不全に対する認識のズレ,心不全の病態と治療・ケアの不確実性,終末期ケアの不足,5つの帰結:患者・家族の満足度の向上,患者・家族の全人的苦痛の緩和,患者の内的変化,その人らしい人生の実現,医療的アウトカムの向上が抽出された.

    結論:本概念を「慢性心不全特有の病いのプロセスのなかで先を見通し,対話を通してその人らしさを探究し,自律した意思決定と望む生き方を実現するための継続的・反復的プロセス」と定義した.

原著
  • 小林 幹紘, 小島 ひで子
    原稿種別: 原著
    2021 年 41 巻 p. 11-19
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/10
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    思春期青年期世代がん患者に対する看護師の困難感と学習ニーズを明らかにすることを目的とし,看護経験5年未満7名,それ以上の看護師8名を対象に,グループインタビューの手法で調査を行った.看護経験5年未満のグループは【捉えどころのない患者との距離感への戸惑い】【将来ある患者への見当もつかないケア】の困難感を抱き,【経験不足を補う他者の実践や体験からの学び】の学習ニーズがあった.看護経験5年以上のグループは【自律過程にある患者との関わりへの憂慮】【希望を見いだせない患者に寄り添う難しさ】の困難感を抱き【患者が利用できる社会的サポート資源の知識】の学習ニーズがあった.看護経験5年未満のグループは,ケア経験を蓄積する難しさから生じる知識不足や看護実践の自信のなさがあり,看護経験5年以上のグループは,過去のケア経験から生じる不安が関わりの憂慮になっていると考えられた.

  • 田中 雅美
    原稿種別: 原著
    2021 年 41 巻 p. 20-28
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/10
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    目的:生存の限界といわれる子どもへの医療選択において,母親が代理意思決定をどのように経験しているのかについて記述する.

    方法:母親ひとりに非構造化インタビューを行い,そのデータを現象学的方法で記述した.

    結果:母親が語る代理意思決定の経験は,「主体の置き去り」と「主体の取り戻し」の二つのテーマに分けられた.子どもは,医学的所見でカテゴリー化されることにより主体を剥奪され,母親は医療者の望む「お母さん」を演じることにより主体を覆い隠していった.しかし,母親は医療者たちが支援の一環として創る世界に巻き込まれることによって,次第にその世界を基盤とし,子どもと自身の主体を取り戻していった.

    結論:母性を絶対視した支援は,母親からの支援要請を断絶させたが,一方でその支援が時間の経過とともに母親の視点を変えるきっかけとなっていった.医療者は時に内観しつつ,支援を必要とする人々の内実に関心を向け続けることの大切さが示唆された.

  • 大槻 奈緒子, 生田 花澄, 福井 小紀子
    原稿種別: 原著
    2021 年 41 巻 p. 29-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/10
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    目的:本研究は,放課後等デイサービスおよび児童発達支援事業所における医療的ケア児の受入有無の関連要因を検討することを目的とした.

    方法:2018年12月末日時点で放課後等デイサービスおよび児童発達支援事業所の検索サイトである「放デイどっとこむ」に掲載された,全国15,560か所の放課後等デイサービスおよび児童発達支援事業所のうち約10%に当たる1,556か所の事業所を無作為抽出した郵送質問票調査を実施した.

    結果:二項ロジスティック回帰分析の結果,医療的ケア児の受入有無の関連要因は,「訪問看護の併設(オッズ比(OR)=4.55)」,「連携:地域のリソースが具体的にわかる(OR = 1.18)」,「看護師の人数(OR = 14.94)」であった.

    結論:放課後等デイサービスおよび児童発達支援における医療的ケア児の受入には,看護師の配置や医療的ケア児を地域で支えるための連携が関連していた.今後,医療福祉連携の推進と適切な職員配置の基準化が重要と示唆された.

  • 牧野 耕次, 比嘉 勇人
    原稿種別: 原著
    2021 年 41 巻 p. 37-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/16
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    目的:患者-看護師関係における看護師の専心のプロセスを明らかにする.

    方法:総合病院に勤務する看護師12名に半構成インタビューを実施し,M-GTAを用いて分析した.

    結果:臨床の看護師は《生活者との関係構築》に集中し,《患者の思いへの配慮》に心を注ぎ,《患者の思いへの対応》に専念していた.その過程で《看護師の感情的反応》も経験していたが,《患者-看護師関係の維持》を行い《個別的なケア》に集中していた.以上のように,臨床の看護師は基本的に《患者を中心とすること》に専心しようとしていた.このプロセスを【流動的専心】としてとらえた.

    結論:《看護師の感情的反応》をケアではないと個人の問題として抑圧したり,切り捨てたりするのではなく専心に内包し,患者-看護師関係のインボルブメントの概念枠組みでとらえることで,看護師は患者に起こっていることをアセスメントし,自身の感情の中で起こっていることと患者-看護師関係の中で起こっていることを振り返り,再度専心を患者に向け看護ケアを行うことが可能となると考える.

資料
  • 水上 玲子, 光澤 裕香, 井出 令奈, 中川 通弘, 野口 紗弥香, 松田 実々, 原口 昌宏, 竹内 朋子
    原稿種別: 資料
    2021 年 41 巻 p. 45-51
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/16
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    目的:ストレッチャー移送時に看護師が患者に馬乗りになって行う胸骨圧迫(Straddling Chest Compression: S-CC),一般的な胸骨圧迫(Basic Chest Compression: B-CC),歩行しながら行う胸骨圧迫(Walking Chest Compression: W-CC)の3つの姿勢の質を比較し,女性看護師が行う有効な胸骨圧迫姿勢を明らかにする.

    方法:臨床経験5年以上の女性看護師18名を対象とし,姿勢による胸骨圧迫の質(圧迫深度,圧迫テンポ,リコイル)を測定した.

    結果:S-CCとB-CCは,W-CCと比較して圧迫深度が有意に深かった(p < .001).また胸骨圧迫の質と実施者の体格との関連を検討し,S-CCでは有意な相関はなかった.

    結論:ストレッチャー移送時に女性看護師が行う胸骨圧迫の姿勢として,W-CCよりもS-CCが有効である可能性が示唆された.

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