2022 年 42 巻 p. 623-631
目的:訪問看護分野に非常勤として就労した看護師の訪問看護への適応に関する経験を明らかにすること.
方法:首都圏の訪問看護事業所に非常勤として1年以上勤務し,かつ医療施設などでの看護師経験を1年以上有する者17名に半構造化インタビューを行った.データはConventional content analysisの手法で分析した.
結果:協力者は〈病院で身に着けた看護ケアの常識が通用しない〉,〈できていたはずの自分と今の自分との乖離〉といった【訪問看護への適応の前にたちはだかる困難】を経験していた.それに対して〈出来事の意味を考える〉ことや〈業務遂行を改善する打開策を見つける〉ことといった【訪問看護への適応を促した対処】が取られることで,【訪問看護へ適応した姿】を実感することに繋がっていた.
結論:非常勤訪問看護師の訪問看護への適応のためには,準備性を高めるオリエンテーションや,能力を鑑みた訪問業務の采配が重要であると考えられた.