2022 年 42 巻 p. 889-898
目的:本研究は,grade I~IIのSAHと診断された人の発症後1年間の経時的な体験について明らかにすることを目的とした.
方法:研究デザインは,Van Manen(1990/2011)の現象学的研究方法に基づく質的記述的研究である.非構成的インタビューは,研究参加者の入院中および退院約1か月後,3か月後,6か月後,1年後の外来受診などの通院日に合わせて一人につき計5回実施した.
結果:grade I~IIのSAHの人は,予期しない出来事に振り回され,いつ何時どうなるかわからない状況に苦悩していた.その中で,自分のからだを試しながら,からだを捉え直し,回復の実感をつかみ,考え方を変化させ「慎重に生きる」方法を確立していたが,そこには多くの困難を伴い努力を必要としていた.
結論:看護師は,このような体験をしている人たちが自分のからだを捉え直し,回復の実感をつかんでいけるよう支援をしていく必要性が示唆された.