日本看護科学会誌
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急性期病棟において終末期がん患者と向き合う看護の意味
橋本 周子坂本 真優河村 奈美子
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2023 年 43 巻 p. 79-88

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抄録

目的:本研究の目的は,急性期病棟において終末期がん患者と向き合う看護の意味についてインタビューの分析から検討することである.

方法:終末期がん看護経験年数5年以上の看護師6名を対象に半構造化面接を行い現象学的方法に基づき分析した.

結果:看護師の経験から,3個のテーマ;1.患者が経験する「死」の時間をともに生きる,2.回復を支える看護vs.回復にとらわれない死を支える看護のジレンマ,3.終末期ケアの看護の意味と価値の探求,17個のサブテーマが抽出された.

結論:看護師は一人ひとりの患者が生きる生と死を,時には支え時には患者と肩を並べて死についてともに視て話す経験をしており,それは患者の生と死を「つなぐ」看護の意味を持つ.さらに患者の回復を目指す多くの業務を遂行する中で患者の死と向きあう不安に迷いつつ看護師自身の生と死に直面しながら看護の意味を探求しているといえる.

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© 2023 公益社団法人日本看護科学学会
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