2023 年 43 巻 p. 419-428
目的:コントロール感覚の喪失を多様な階層で繰り返し知覚するALS患者が取り組む内的・外的交渉の構造を統合的に解釈すること
方法:原著論文(和文献11編,英文献2編)を対象に,Patersonらのメタ統合法を実施した.分析には知覚制御理論の枠組みを活用した.
結果:ALS患者の内的・外的交渉に関する99のシステムより3つのコントロールシステム「脅かしを確かめる」「抵抗し撤退し自己に期待する」「病に開かれた世界を進む」が特定された.
結論:多様な階層で喪失を知覚するALS患者がコントロール感覚の維持に取り組む構造に関する新たな知見と今後の研究上の課題を明らかにした.ALS患者にとって外的交渉の継続がコントロール感覚の維持において必要であることが示唆された.今後の研究は,コントロール感覚の維持を図るALS患者に関して,内的・外的交渉への統合的な解釈に焦点をあてる必要がある.