日本看護科学会誌
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原著
関節リウマチ患者における在宅運動療法の現状とその実施要因
加茂 尚子田中 マキ子
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電子付録

2023 年 43 巻 p. 899-908

詳細
Abstract

目的:本研究は,関節リウマチ患者における在宅運動療法の現状とその実施に影響する要因を明らかにすることを目的とした.

方法:A県在住の関節リウマチ患者に対する自記式質問紙調査を実施した.在宅運動療法実施に影響する要因を明らかにするために,2項ロジスティック回帰分析を行なった.

結果:分析対象226名のうち,94名(41.6%)が在宅運動療法を実施していた.在宅運動療法実施には,年齢が高いこと(オッズ比(OR):1.042,95%信頼区間(CI):1.001~1.085),裁量度が高い職業であること(OR: 2.662, 95%CI: 1.074~6.596),注射治療を受けていること(OR: 2.005, 95%CI: 1.015~3.962),医師から勧められていること(OR: 5.548, 95%CI: 2.094~14.695)が関連していた.

結論:本研究の結果を踏まえて,医療専門職が関節リウマチ患者に在宅運動療法を推奨していくことが求められる.

Translated Abstract

Purpose: This study aimed to explore the current state of the home-based exercise therapy and factors influencing its execution in patients with rheumatoid arthritis.

Methods: An anonymous self-administrated questionnaire survey was conducted with patients with rheumatoid arthritis in one prefecture. Binomial logistic regression analysis was performed to explore the factors associated with the execution of home-based exercise therapy.

Results: A total of 226 questionnaires were analyzed. Ninety-four patients (41.6%) used to execute home-based exercise therapy. Factors associated with the execution of home-based exercise therapy were higher age (Odds Ratio (OR): 1.042, 95% Confidence Interval (CI): 1.001–1.085), discretionary worker (OR: 2.662, 95% CI: 1.074–6.596), injection therapy (OR: 2.005, 95% CI: 1.015–3.962) and physicians’ recommendations (OR: 5.548, 95% CI: 2.094–14.695).

Conclusion: It may be required that health professionals recommend home-based exercise therapy to patients with rheumatoid arthritis in light of these results.

Ⅰ. 緒言

関節リウマチは,関節滑膜の持続的な炎症による多関節炎を特徴とする自己免疫疾患である.有効な治療をしなければ関節破壊が進行し,身体機能が障害され,その結果,日常生活動作(ADL)が大きく損なわれることになる.炎症は,関節滑膜のみならず,血管や肺などの関節外におよび,微熱,倦怠感など種々の全身症状を伴い,社会生活への支障が大きい(厚生労働科学研究費補助金免疫・アレルギー疾患政策研究事業「ライフステージに応じた関節リウマチ患者支援に関する研究」研究班,2021).本邦の関節リウマチ患者数は約82.5万人と推定され,男女比はおおよそ1:3.21で女性に多い疾患である(中島ら,2021).また,近年,高齢発症の関節リウマチ患者の増加と関節リウマチ患者の高齢化により,好発年齢は50歳代後半に変化しつつある.そのため,フレイルやサルコペニアの予防への介入も必要と指摘されている(房間ら,2019).

関節リウマチの治療目標は,臨床的寛解であり,ADL制限進行の阻止と生活の質(QOL)や生命予後の改善である.関節リウマチのトータルマネジメントは,疾患や治療ゴールの理解,医療スタッフとの信頼関係と同意に基づく意思決定などを意味する基礎療法と,その上にたつ薬物療法,手術療法,リハビリテーション,ケアの4本柱で構成されている(厚生労働科学研究費補助金免疫・アレルギー疾患政策研究事業「ライフステージに応じた関節リウマチ患者支援に関する研究」研究班,2021房間ら,2019).リハビリテーションは,機能障害の進行予防とADL能力改善のために運動療法,作業療法,装具療法,関節保護の指導などが実施されてきた.リハビリテーションの一つである運動療法の中でも,特にセルフケアである在宅運動療法については,村澤(1996, 2005, 2006, 2010, 2015),村澤ら(2012)児島ら(2005)仲田・山本(2003)三浦(2010, 2019)らによって,在宅で行う「リウマチ体操」が推奨されている.また,Lambらにより関節リウマチ患者の手に有効なエクセサイズプログラムStrengthening and stretching for Rheumatoid Arthritis of the Hand(SARAH)が開発され,滑膜炎の悪化を伴うことなく機能強化ができる有効な手指機能訓練であることが示唆された(Lamb et al., 2015).このように,セルフケアである在宅運動療法の重要性が示唆され始めている一方で,国内の在宅運動療法に関する調査や研究は乏しい.

日本リウマチ友の会の患者調査リウマチ白書によると,「現在リハビリをしている」と回答した者は23.6%にとどまっており,大半の患者が運動療法を含むリハビリテーションをしていないのが現状である(日本リウマチ友の会,2020).一方,日本リウマチ学会の「2020年関節リウマチ診療ガイドライン」において,「関節リウマチ患者に対する運動療法は,患者の主観的評価を改善させるため,推奨する」と示されている(日本リウマチ学会,2021).また,患者調査における「関節機能や筋力・体力の維持のために調子のよいときに心がけていることがありますか」の質問に対して,「ストレッチ運動をする」(43.3%),「ウォーキングをする」(30.9%),「筋力トレーニングをする」(18.6%)などの回答がみられていることから,運動療法に対する患者ニーズは強いと考えられている(日本リウマチ学会,2021).しかしながら,在宅運動療法が関節リウマチ患者の日常生活に浸透しているのか,あるいは運動療法を含む広い意味のリハビリテーションと同様,日常生活の中に十分に取り入れられているとは言えないのかは不明である.そこで本研究では,関節リウマチ患者の在宅運動療法が行われている現状と,その在宅運動療法の実施に関連する要因を明らかにすることを目的とした.

Ⅱ. 研究の方法

1. 調査対象者と調査手順

A県在住の関節リウマチ患者を対象とした.日本リウマチ友の会A県会員90名,A市総合病院整形外科に通院する関節リウマチ患者71名と膠原病内科に通院する関節リウマチ患者100名,A市整形外科リウマチ科クリニックに通院する患者66名の計327名に,アンケート調査依頼文,アンケート調査用紙と返信用封筒(研究者宛)の一式の配布を行った.具体的には,日本リウマチ友の会A県会員には,友の会事務局より調査用紙等一式を郵送した.A市整形外科リウマチ科クリニックとA市総合病院に通院する関節リウマチ患者には,調査用紙等一式を院内で配布した.いずれも任意で回答してもらい,郵送にて246名分の回答を回収した.調査期間は,2022年8月から9月の間であった.

2. 調査内容

対象者の背景として,性別,年齢,罹患年数,職業,関節リウマチの手術治療歴,注射治療,内服治療,リハビリテーション治療の有無と通院時付き添いの有無について尋ねた.本研究における在宅運動療法は,「患者が在宅で行えるもので,関節可動域と筋力の維持・改善並びに体力の維持・回復を目的として安全に行える自動運動」と定義し,在宅運動療法に関する項目として,在宅運動療法の認知,在宅運動療法実施の有無,在宅運動療法に関する現在の意識の13項目と在宅運動療法の実施状況(手指,上肢,下肢,首・体幹の4つの運動部位と6つの実施方法)について情報収集した.なお,アンケート調査用紙には調査対象者が具体的にイメージしやすいように在宅運動療法を運動部位別に図示し,例えば「絵のような運動を在宅で行っていますか」のように尋ねた(付録1).在宅運動療法に関する現在の意識13項目の作成については,セルフケア能力を高めるための支援方法を参考にした(岡ら,2011今戸,2020宗像,1988房間ら,2021).

疾患活動性評価指標としてRAPID3(Routine Assessment of Patient Index Data 3),身体機能障害評価指標としてHAQ-DI(Health Assessment Questionaire-Disability Index)を情報収集した.RAPID3は,身体機能に関する各質問に0~3点の4段階で評価してもらい,10項目の得点の総和を3で割った得点とVASスケールを使った疼痛得点と全般評価(全般的な体調評価)得点との総和(RAPID3得点)を算出し,3点以下を寛解,3点<低疾患活動性≦6点,6<中疾患活動性≦12,12<高疾患活動性と分類した(RAPID3分類).RAPID3は,統合的疾患活動性指標であるDAS28やCDAIなどとの相関認められており,医師の診察所見や採血結果を使用せず,患者の主観的評価だけで短時間で行える指標である(澤田・岡田,2014).HAQ-DIは,身支度,起立,食事,歩行,衛生,とどく範囲,握力,家事雑用の8つのカテゴリー20項目から構成されており,日常生活の困難度を評価する指標である.各質問に0~3点の4段階で評価してもらい,各カテゴリーの最高点の総和をカテゴリー数で割った値をHAQ-DI得点とした.HAQ-DI分類では,HAQ-DI得点が0.5以下で機能的寛解と定義されており,HAQ-DI得点が0.5より高ければ身体機能が低下していると判断される(厚生労働科学研究費補助金免疫・アレルギー疾患政策研究事業「ライフステージに応じた関節リウマチ患者支援に関する研究」研究班,2021房間ら,2019).

3. 分析方法

回収した246名分の回答の内,現在の在宅運動療法実施の有無のデータがなかった20名分を除外し,残りの226名分の回答を分析対象とした.各調査項目について記述統計を行った.在宅運動療法の実施状況として,現在の在宅運動療法実施群(n = 94)における運動部位と実施方法に関する各質問に「はい」と回答した実施者数(率)の集計を行った.

次に,在宅運動療法の実施に関連する要因を明らかにするために,現在の在宅運動療法実施群(n = 94)と非実施群(n = 132)の2群に分類し,対象者の背景,在宅運動療法認知,在宅運動療法に関する現在の意識の13項目,RAPID3,HAQ-DIなどの項目について,単変量解析によって比較検討した.さらに,在宅運動療法実施の有無を目的変数,単変量解析によって在宅運動療法実施の有無との関連が有意(p < 0.05)となった項目を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った.

解析にはPearsonのX2検定またはFisherの正確確率検定,t検定,2項ロジスティック回帰分析(強制投入法)を用いた.統計的有意水準は5%未満とし,分析には,IBM社統計ソフトSPSS statistics version 29を用いた.

4. 倫理的配慮

本研究は,山口県立大学生命倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2022-8号).本調査は,個人情報は取得しないように無記名とした質問紙調査であり,回答は対象者の自由意思であり,回答を拒否した場合であっても不利益を受けないこと,得られたデータは本研究以外で使用しないことを,対象者に文書で説明した.また,質問紙の返送をもって研究への参加に同意したとする旨を説明した.

Ⅲ. 結果

1. 研究対象者の背景と疾患活動性

対象者は,男性37名(16.4%),女性189名(83.6%)の計226名であった.平均年齢は,66.8 ± 10.9歳,罹患年数は,1年未満が16名(7.1%),1年以上が209名(92.5%)であった.職業は,自営業,農業や家事及び無職などの裁量度が高い職種の者155名(68.6%),会社員やパートなどの裁量度が低い職種の者66名(29.2%)であった.関節リウマチの手術治療歴がある者は57名(25.2%),現在の治療状況として,注射治療を受けている者は113名(50.0%),内服治療を受けている者は209名(92.5%),リハビリテーション治療を受けている者は17名(7.5%)であった(表1,付録2).

表1 

調査対象者の概要(n = 226)

人数(%)
平均値±標準偏差
性別 女性 189(83.6)
男性 37(16.4)
年齢(歳) 66.8 ± 10.9
罹患年数 1年未満 16(7.1)
1年以上 209(92.5)
無回答 1(0.4)
職業 裁量度が高い職種 155(68.6)
裁量度が低い職種 66(29.2)
無回答 5(2.2)
関節リウマチの手術治療歴 有り 57(25.2)
無し 166(73.5)
無回答 3(1.3)
注射治療 有り 113(50.0)
無し 112(49.6)
無回答 1(0.4)
内服治療 有り 209(92.5)
無し 16(7.1)
無回答 1(0.4)
リハビリテーション治療 有り 17(7.5)
無し 207(91.6)
無回答 2(0.9)
通院への付き添い 有り 34(15.0)
無し 191(84.5)
無回答 1(0.4)
在宅運動療法認知 有り 80(35.4)
無し 135(59.7)
無回答 11(4.9)
現在の在宅運動療法 有り 94(41.6)
無し 132(58.4)
RAPID3得点 7.1 ± 5.5
RAPID3分類 ≦3点寛解 62(27.4)
3点<低疾患活動性≦6点 48(21.2)
6点<中疾患活動≦12点 68(30.1)
12点<高疾患活動性 39(17.3)
無回答 9(4.0)
疼痛得点 2.6 ± 2.3
全般評価得点 2.8 ± 2.2
HAQ-DI得点 0.56 ± 0.69
HAQ-DI分類 ≦0.5点機能的寛解 143(63.3)
0.5点< 83(36.7)
HAQ-DI8構成因子 身支度 0.43 ± 0.73
起立 0.43 ± 0.62
食事 0.66 ± 0.86
歩行 0.40 ± 0.74
衛生 0.46 ± 0.80
とどく範囲 0.78 ± 0.95
握力 0.65 ± 0.81
家事雑用 0.70 ± 0.91

RAPID3(Routine Assessment of Patient Index Data 3)

HAQ-DI(Health Assessment Questionaire-Disability Index)

在宅運動療法に関する項目では,在宅運動療法の認知に関する「在宅運動療法がリウマチ患者さんに勧められていることをご存じですか」という問いに対して,知っている患者は80名(35.4%),知らない患者は135名(59.7%)であった.現在の在宅運動療法実施の有無は,実施有りが94名(41.6%),実施無しが132名(58.4%)であった(表1).

疾患活動性指標RAPID3の平均得点は7.1 ± 5.5であり,RAPID3分類では,寛解62名(27.4%),低疾患活動性48名(21.2%),中疾患活動性68名(30.1%),高疾患活動性39名(17.3%)であった.身体機能障害評価指標HAQ-DIの平均得点は0.56 ± 0.69であり,HAQ-DI分類における機能的寛解(HAQ-DIスコア0.5以下)の者が143名(63.3%)であった.HAQ-DIの8構成因子の内,平均得点の高い因子は,「とどく範囲」0.78 ± 0.95,「家事雑用」0.70 ± 0.91,「食事」0.66 ± 0.86,「握力」0.65 ± 0.81であった(表1).

2. 在宅運動療法実施の現状

在宅運動療法に関する現在の意識について,知識・関心では,意識①「在宅運動療法に一定の効果があると思う」192名(93.7%),意識②「在宅運動療法が必要であると考えている」191名(91.4%)であった.目標・希望では,意識③「もっと活動したいと思う」147名(70.0%),意識④「自分の目標がある」187名(87.8%)であった.不安では,意識⑤「痛みに対して不安がある」167名(78.0%),意識⑥「在宅運動療法に不安がある」69名(33.2%)であった.支援・協力では,意識⑦「いつでも相談できるサポートがある」48名(22.6%),意識⑧「医師から在宅運動療法を勧められている」54名(25.6%),意識⑨「看護師・理学療法士から在宅運動療法を勧められている」40名(19.0%)であり,意識⑩「家族からの協力は得られている」99名(47.8%)であった.方法・環境では,意識⑪「在宅運動療法を1人で行える」191名(89.7%),意識⑫「在宅運動療法の時間を持つことができる」201名(93.5%),意識⑬「在宅運動療法を行う場所がある」202名(94.0%)であった(表2).

表2 

在宅運動療法に関する現在の意識(n = 226)

「はい」と回答した人数(%)
知識関心 ①在宅で行える運動療法に一定の効果があると思いますか 192(93.7)
②体の状体を維持するために,在宅で行える運動療法が必要であると考えていますか 191(91.4)
目標希望 ③もっと活動したいと思いますか 147(70.0)
④自分のことは自分で行いたい,旅行に行きたいのような自分の目標がありますか 187(87.8)
不安 ⑤痛みに対して不安がありますか 167(78.0)
⑥骨破壊や炎症が進むのではないかなど,在宅で行える運動療法に不安がありますか 69(33.2)
支援協力 ⑦在宅で行える運動療法について,いつでも相談できるサポートがありますか 48(22.6)
⑧医師は,あなたに在宅で行える運動療法を勧めていますか 54(25.6)
⑨看護師・理学療法士は,あなたに在宅で行える運動療法を勧めていますか 40(19.0)
⑩運動療法を行えるように家族からの協力は得られていますか 99(47.8)
方法環境 ⑪在宅で行える運動療法を1人で行えると思いますか 191(89.7)
⑫在宅で行える運動療法を行う時間を持つことができますか 201(93.5)
⑬在宅で行える運動療法を行う場所がありますか 202(94.0)

在宅運動療法の実施状況について,在宅運動療法実施群94名における運動部位別の実施者数(率)は,手指の運動75名(79.8%),上肢の運動81名(86.2%),下肢の運動79名(84.0%),首・体幹の運動73名(77.7%)であった.在宅運動療法実施群94名における実施方法別の実施者数(率)は,方法①「1つの動きの回数を決めて行っている」50名(53.2%),方法②「1回の運動は30分以内で行っている」61名(64.9%),方法③「1日の中で実施する時間を決めて行っている」36名(38.3%),方法④「関節の腫れや熱感が消失しない時は翌日の運動を控えている」45名(47.9%),方法⑤「痛くならない程度に体調に合わせて行っている」68名(72.3%),方法⑥「運動の方法が載っているパンフレットを見て行っている」17名(18.1%)であった(表3).

表3 

在宅運動療法の実施状況:在宅運動療法実施群(n = 94)における運動部位と実施方法

「はい」と回答した人数(%)
運動部位 手指の運動 75(79.8)
上肢の運動 81(86.2)
下肢の運動 79(84.0)
首・体幹の運動 73(77.7)
実施方法 ①1つの動きの回数を決めて行っている 50(53.2)
②1回の運動は30分以内で行っている 61(64.9)
③1日の中で実施する時間を決めて行っている 36(38.3)
④関節の腫れや熱感が消失しない時は翌日の運動を控えている 45(47.9)
⑤痛くならない程度に体調に合わせて行っている 68(72.3)
⑥運動の方法が載っているパンフレットを見て行っている 17(18.1)

3. 在宅運動療法の実施に関連する要因:単変量解析

在宅運動療法の実施に関連する要因を明らかにするために,在宅運動療法の実施群94名と非実施群132名の2群間について,単変量解析による比較を行った.年齢は,実施群70.7 ± 10.2歳,非実施群64.0 ± 10.6歳で,実施群の方が有意に高値であった(p < 0.001).裁量度が高い職種の者の比率は,実施群85.1%,非実施群56.8%で,実施群の方が有意に高率であった(p < 0.001).手術治療を受けたこと(手術治療歴)がある者の比率は,実施群33.0%,非実施群19.7%で,実施群の方が有意に高率であった(p = 0.031).注射治療を受けている者の比率は,実施群60.6%,非実施群42.4%で,実施群の方が有意に高率であった(p = 0.012).リハビリテーション治療を受けている者の比率は,実施群12.8%,非実施群3.8%で,実施群の方が有意に高率であった(p = 0.028).性別,罹患年数,内服治療,通院時の付き添いと在宅運動療法の認知については,実施群と非実施群の間に差は認められなかった(表4).

表4 

在宅運動療法の実施に関連する要因:単変量解析

実施群n = 94 非実施群n = 132 p
性別 女性 80(85.1) 109(82.6) 0.716
男性 14(14.9) 23(17.4)
年齢(歳) 70.7 ± 10.2 64.0 ± 10.6 <0.001
罹患年数 1年未満 7(7.4) 9(6.8) 0.588
1年以上 86(91.5) 123(93.2)
無回答 1(1.1) 0(0.0)
職業 裁量度が高い職種 80(85.1) 75(56.8) <0.001
裁量度が低い職種 13(13.8) 53(40.2)
無回答 1(1.1) 4(3.0)
関節リウマチの手術治療歴 有り 31(33.0) 26(19.7) 0.031
無し 61(64.9) 105(79.5)
無回答 2(2.1) 1(0.8)
注射治療 有り 57(60.6) 56(42.4) 0.012
無し 37(39.4) 75(56.8)
無回答 0(0.0) 1(0.8)
内服治療 有り 85(90.4) 124(93.9) 0.293
無し 9(9.6) 7(5.3)
無回答 0(0.0) 1(0.8)
リハビリテーション治療 有り 12(12.8) 5(3.8) 0.028
無し 81(86.2) 126(95.5)
無回答 1(1.1) 1(0.8)
通院への付き添い 有り 16(17.0) 18(13.6) 0.750
無し 78(83.0) 113(85.6)
無回答 0(0.0) 1(0.8)
在宅運動療法認知 有り 35(37.2) 45(34.1) 0.231
無し 52(55.3) 83(62.9)
無回答 7(7.4) 4(3.0)
RAPID3得点 7.2 ± 5.8 7.1 ± 5.4 0.821
RAPID3分類 ≦3点 寛解 25(26.6) 37(28.0) 0.922
3点<低疾患活動性≦6点 19(20.2) 29(22.0)
6点<中疾患活動≦12点 28(29.8) 40(30.3)
12点<高疾患活動性 17(18.1) 22(16.7)
無回答 5(5.3) 4(3.0)
疼痛得点 2.6 ± 2.3 2.6 ± 2.3 0.944
全般評価得点 2.7 ± 2.3 2.9 ± 2.2 0.554
HAQ-DI得点 0.63 ± 0.71 0.51 ± 0.67 0.190
HAQ-DI分類 ≦0.5点機能的寛解 54(57.4) 89(67.4) 0.161
0.5点< 40(42.6) 43(32.6)
HAQ-DI8構成因子 身支度 0.47 ± 0.76 0.40 ± 0.71 0.499
起立 0.44 ± 0.63 0.43 ± 0.62 0.959
食事 0.69 ± 0.83 0.64 ± 0.88 0.634
歩行 0.50 ± 0.79 0.33 ± 0.69 0.086
衛生 0.52 ± 0.86 0.41 ± 0.74 0.297
とどく範囲 0.88 ± 1.01 0.70 ± 0.89 0.162
握力 0.69 ± 0.82 0.62 ± 0.81 0.521
家事雑用 0.88 ± 0.96 0.57 ± 0.85 0.010

PearsonのX2検定またはFisherの正確確率検定またはt検定

RAPID3(Routine Assessment of Patient Index Data 3)

HAQ-DI(Health Assessment Questionaire-Disability Index)

疾患活動性評価指標RAPID3の得点並びにRAPID3分類の比率については,実施群と非実施群の間に差は認められなかった.疼痛得点と全般評価得点についても,実施群と非実施群の間に差は認められなかった.身体機能障害評価指標HAQ-DIについては,HAQ-DIの得点並びにHAQ-DI分類の比率について,実施群と非実施群の間に差は認められなかった.なお,HAQ-DIの8構成因子の内,「家事雑用」の得点については,実施群0.88 ± 0.96,非実施群0.57 ± 0.85であり,実施群の方が有意に高値であった(p = 0.010)(表4).

在宅運動療法に関する現在の意識の13項目については,意識⑧「医師から在宅運動療法を勧められている」と回答した者の比率が,実施群40.2%,非実施群15.3%で,実施群の方が有意に高率であった(p < 0.001).また,意識⑨「看護師・理学療法士から在宅運動療法を勧められている」と回答した者の比率が,実施群26.4%,非実施群13.7%で,実施群の方が有意に高率であった(p = 0.031).一方で,他の11項目について,統計学的な有意差は認められなかった(表5).

表5 

在宅運動療法の実施に影響する現在の意識:単変量解析

在宅運動療法に関する意識13項目 「はい」と回答した人数(%) p
実施群
n = 94
非実施群
n = 132
知識関心 ①在宅で行える運動療法に一定の効果があると思いますか 83(97.6) 109(90.8) 0.078
②体の状体を維持するために,在宅で行える運動療法が必要であると考えていますか 81(94.2) 110(89.4) 0.317
目標希望 ③もっと活動したいと思いますか 56(64.4) 91(74.0) 0.169
④自分のことは自分で行いたい,旅行に行きたいのような自分の目標がありますか 74(83.1) 113(91.1) 0.092
不安 ⑤痛みに対して不安がありますか 64(72.7) 103(81.7) 0.133
⑥骨破壊や炎症が進むのではないかなど,在宅で行える運動療法に不安がありますか 24(27.6) 45(37.2) 0.179
支援協力 ⑦在宅で行える運動療法について,いつでも相談できるサポートがありますか 23(26.4) 25(20.0) 0.318
⑧医師は,あなたに在宅で行える運動療法を勧めていますか 35(40.2) 19(15.3) <0.001
⑨看護師・理学療法士は,あなたに在宅で行える運動療法を勧めていますか 23(26.4) 17(13.7) 0.031
⑩運動療法を行えるように家族からの協力は得られていますか 47(55.3) 52(42.6) 0.090
方法環境 ⑪在宅で行える運動療法を1人で行えると思いますか 81(92.0) 110(88.0) 0.371
⑫在宅で行える運動療法を行う時間を持つことができますか 86(96.6) 115(91.3) 0.162
⑬在宅で行える運動療法を行う場所がありますか 84(94.4) 118(93.7) 1.000

Fisherの正確確率検定

4. 在宅運動療法の実施に関連する要因:2項ロジスティック回帰分析

在宅運動療法の実施に強く影響する要因を明らかにするために,目的変数を在宅運動療法実施の有無,説明変数を年齢,職業(裁量度が高い職種と裁量度が低い職種),手術治療歴,注射治療,リハビリテーション治療の有無,HAQ-DI構成因子「家事雑用」,在宅運動療法に関する現在の意識⑧「医師から在宅運動療法を勧められている」,意識⑨「看護師・理学療法士から在宅運動療法を勧められている」として,2項ロジスクティック解析を行った.性別は,単変量解析において実施群と非実施群の間に有意差が認められなかったが,性別が他の説明変数に影響を及ぼしている可能性を考慮して,性別を交絡因子として追加投入した.その結果,年齢が高いこと(オッズ比:1.042,95%信頼区間:1.001~1.085,p = 0.044),裁量度が高い職業であること(オッズ比:2.662,95%信頼区間:1.074~6.596,p = 0.034),注射治療を受けていること(オッズ比:2.005,95%信頼区間:1.015~3.962,p = 0.045),意識⑧「医師から在宅運動療法を勧められている」こと(オッズ比:5.548,95%信頼区間:2.094~14.695,p < 0.001)が,在宅運動療法実施に対して有意に影響していた(表6).

表6 

在宅運動療法の実施に関連する要因:2項ロジスティック回帰分析

在宅運動療法実施の有無
オッズ比 95%信頼区間
下限-上限
p
年齢(歳) 1.042 1.001~1.085 0.044
職業 2.662 1.074~6.596 0.034
関節リウマチの手術治療歴 1.614 0.719~3.662 0.246
注射治療 2.005 1.015~3.962 0.045
リハビリテーション治療 1.274 0.321~5.065 0.731
HAQ-DI構成因子家事雑用 1.021 0.667~1.564 0.924
在宅運動療法意識⑧ 5.548 2.094~14.695 <0.001
在宅運動療法意識⑨ 0.607 0.203~1.813 0.371

性別を交絡因子として投入したHAQ-DI(Health Assessment Questionaire-Disability Index)

在宅運動療法意識⑧:医師は,あなたに在宅で行える運動療法を勧めていますか

在宅運動療法意識⑨:看護師・理学療法士は,あなたに在宅で行える運動療法を勧めていますか

Ⅳ. 考察

1. 在宅運動療法の現状

関節リウマチ患者における在宅運動療法の普及・啓発,さらに浸透・定着の現状を明らかにするために,本研究の質問紙調査を実施した.その結果,「在宅運動療法がリウマチ患者さんに勧められていること」を知っている患者は35.4%,在宅運動療法を現在実施している患者は41.6%であり,患者の半数にも満たない状況であった.しかしながら,意識①「在宅運動療法に一定の効果があると思う」と意識②「在宅運動療法が必要であると考えている」については,9割以上の患者が「はい」と回答しており,在宅運動療法に対する関心や期待は高いことも明らかになった.したがって,「在宅運動療法がリウマチ患者さんに勧められていること」などの在宅運動療法の正しい知識を,関心や期待を抱いている患者に対して広く普及啓発していく必要がある.また,意識⑤「痛みに対して不安がある」に対して「はい」と回答した患者は約8割と多く,意識⑦「いつでも相談できるサポートがある」に対して「はい」と回答した患者は約2割と少なかった.さらに,方法①「1つの動きの回数を決めて行っている」や方法④「関節の腫れや熱感が消失しない時は翌日の運動を控えている」などの実施方法については,在宅運動療法実施者の半数程度しか「はい」と回答しておらず,自己流で実施している患者が少なからずいることが示唆された.これらのことから,セルフケアである在宅運動療法をさらに浸透・定着していくためには,実施方法・工夫などについて指導し,実施に伴う不安があれば相談に応じるなどの親身で丁寧なサポートが不可欠であると言える.

2. 在宅運動療法の実施要因(1)年齢

本研究における関節リウマチ患者を対象とした質問紙調査の結果,在宅運動療法の実施に有意に影響する要因として,年齢が高いこと,裁量度が高い職業であることと,注射治療を受けていること,医師が在宅運動療法を勧めていることが2項ロジスクティック解析の結果から明らかになった.これら4つの要因の中で,年齢が高いことについては,逆に年齢がセルフケアに負の影響を及ぼす可能性が,関節リウマチ患者のセルフケアに関する以下の2つの研究から示唆されている.1つ目の本邦における関節リウマチ患者145名を対象とした質問紙調査では,セルフマネジメントは,精神的健康度,健康状態に対する満足度や医療者との関係に対する満足度とともに,年齢が負の相関を示した(浜﨑ら,2017).また,2つ目のイランにおける関節リウマチ患者185名を対象とした調査でも,教育,健康状態,職業,婚姻状態,性別,疾患活動性評価指標DAS28がセルフマネジメント行動と有意に関連し,年齢はセルフマネジメント行動と負の相関を示していた(Chaleshgar Kordasiabi et al., 2015).

本研究では,オッズ比1.042であるためその影響は大きいとは言えないが,年齢が高いことは在宅運動療法実施と正の関連を示した.年齢が高い患者は,リウマチによる関節の変形や疼痛などに加えて,加齢による全身的な心身機能衰退の影響を受けるため,日常生活における不自由さを感じる機会が多い.宗像は,他の生活行動よりもセルフケア行動を優先させる必要性を感じ,積極的・現実的な対処行動をとるような人が,病気の進行予防のためのセルフケア行動を行うと述べている(宗像,1988).そのため,不自由さが多いという必要性を年齢が高い患者が感じる場合には,それが在宅運動療法実施の一因となっている可能性がある.これらのことから,年齢が高い患者に対し,日常生活における不自由さを汲みとり,在宅運動療法の必要性を把握した上で在宅運動療法を推奨することが望まれる.

3. 在宅運動療法の実施要因(2)職業の裁量度

本研究では,在宅運動療法の実施に有意に影響する要因の一つとして,裁量度が高い職業であることが明らかになった.本研究における裁量度が高い職業とは,自営業,農業,家事(主婦・主夫)を含むものであり,そのオッズ比が2.662であったことから,在宅運動療法の実施に及ぼす影響は比較的大きい.前出のイランにおける関節リウマチ患者185名を対象とした調査でも,職業が主婦であることが他の職業よりもセルフマネジメント行動に関連していたことが報告されており,その理由として時間的な制約の少ないことが示唆されている(Chaleshgar Kordasiabi et al., 2015).また,下光らの運動習慣に関する心理行動医学的研究では,運動に対する自覚的促進阻害要因の5因子の一つに「時間の管理」が掲げられ,その「時間の管理」は,「忙しすぎる」「十分な時間がない」「仕事が多すぎる」「仕事に支障をきたす」「疲れすぎている」から構成されている(下光ら,1999).これらを踏まえると,裁量度が高い職業により時間的な調整が容易な状況であったことが,本研究の対象者の在宅運動療法の実施行動に対して大きく影響したものと考えられる.したがって,患者の職業の裁量度の状況を踏まえた上で,在宅運動療法の実施を推奨あるいは支援していくことが求められる.

4. 在宅運動療法の実施要因(3)注射治療と医師の勧め

本研究では,在宅運動療法の実施に有意に影響する要因の一つとして,注射治療を受けていることが2項ロジスクティック解析の結果から明らかになった.具体的には,注射治療を受けている者の方が,受けていない者に比べて,高率に在宅運動療法を実施していた(オッズ比2.005).注射治療を受けている患者は,関節リウマチに伴う症状により日常生活に支障をきたしている可能性が高い.そのため,年齢が高い患者が日常生活における不自由さを感じて在宅運動療法実施に至る経緯と同様に,注射治療を行う必要がある程の日常生活上への支障が在宅運動療法実施に至らしめているものと考えられる.このような注射治療と在宅運動療法との併用を支援することは大切である.しかし,注射治療が必要になるよりも前の症状の軽度の段階から在宅運動療法実施を支援し,日常生活への支障を防止することこそがより求められる.

本研究では,在宅運動療法の実施に影響する要因候補として,知識・関心,目標・希望,不安,支援・協力,方法・環境の5カテゴリーから構成される計13項目の意識を独自に調査し,その結果,支援・協力カテゴリーの意識⑧「医師から在宅運動療法を勧められている」(オッズ比5.548)が,在宅運動療法の実施に有意にかつ大きく影響する要因であることが明らかになった.関節リウマチの治療では,医学的なエビデンスだけでなく患者の状況や価値観についても,医療者と患者との間で情報共有を行い,治療目標に向けて協同意志を決定した上で,治療が進められている.その現状を踏まえると,医師から勧められていることが在宅運動療法の実施に大きく影響していることは当然とも言える.実際,リウマチ白書によると,「主治医に装具やリハビリについて処方・助言してほしい」方が18%と少なからず存在している(日本リウマチ友の会,2020).なお,意識⑨「看護師・理学療法士から在宅運動療法を勧められている」は,単変量解析では在宅運動療法実施に有意に影響する要因であったが,2項ロジスクティック解析では有意な結果が示されなかったため,看護師・理学療法士からの勧めの影響は限定的と言える.そのため,多職種の医療者間でも在宅運動療法の効果を共有し,生活指導の一部として在宅運動療法を推奨あるいは支援できるように,多職種連携を図ることが重要である.

慢性疾患患者は,日々自らの病気や症状と付き合いながら生活していくために様々なセルフケアを行っており,患者がセルフケアを実践・継続していくためには,問題解決,意思決定,資源の活用,患者-医療者のパートナシップ形成,実際の行動に取り組むことと,自分なりのケアに仕立てることの6つのスキルが重要であると報告されている(Lorig & Holman, 2003今戸,2020).これら6つのスキルの中で,本研究の関節リウマチ患者の在宅運動療法というセルフケアについては,患者-医療者のパートナシップ形成が特に重要な要因であった.これらのことから,医師をはじめとする医療者が患者との良好なパートナシップを形成した上で,患者のセルフケアが上手く実践・継続されるように支援することと,患者のセルフケアスキルが向上するように支援していくことが望まれる.

5. 本研究の限界と今後の課題

本研究のアンケート調査では,調査対象者が在宅運動療法を具体的にイメージしやすいように図示した上で,「絵のような運動を在宅で行っていますか」のように尋ねた.このため,本調査における在宅運動療法に関する回答結果は,広く様々な方法を含む在宅運動療法に対するものではなく,明確で限定的な在宅運動療法のイメージに基づくものであると言える.このことは利点と考えられる一方で,図示された以外に在宅で実施できる運動(例えば,ウォーキングやヨガなど)についての回答が欠落した可能性がある.今後は,本調査で図示した在宅運動療法だけでなく,その他の在宅運動療法や在宅運動療法以外の運動療法やリハビリテーションも含めた現状を調査することが望まれる.また,本研究では,サンプルサイズ不足のため,要因間の交互作用を検討するには至っていない.例えば,年齢,性別あるいは職業の要因間の交互作用も含めて在宅運動療法実施への影響を明らかにできれていれば,一段と具体的な支援などのアイデアに結びつけることができたかもしれない.

以上の限界があるものの,本研究の実施により,関節リウマチ患者の在宅運動療法の現状と在宅運動療法実施に有意に影響する複数の要因を明らかにすることができた.この新たな知見に基づいて,関節リウマチ患者に在宅運動療法を推奨していくことが必要であると考えられる.その上で,関節リウマチ患者が在宅運動療法を重要なセルフケアの一つとして捉えて主体的に取り組むことができるような支援のあり方を検討していくことも今後の課題である.

Ⅴ. 結論

関節リウマチ患者に対する質問紙調査を行なった結果,現在在宅運動療法を実施している者は半数弱(41.6%)であった.在宅運動療法実施の有無に有意に関連する要因として,年齢が高いこと,裁量度が高い職業であること,注射治療を受けていること,医師から勧められていることの4つが新たに見出された.加齢や症状悪化に伴う日常生活の支障に対する効果や時間的制約の中で実施する工夫の啓蒙を含めて,患者がセルフケアの一つとして在宅運動療法を主体的に取り入れることができるように,医療専門職が職種間連携を図って在宅運動療法を推奨していくことが求められる.

謝辞:本研究を勧めるにあたり,快くご協力頂きました研究対象者の皆様,研究にご協力頂きました医師,看護師の皆様,日本リウマチ友の会の方々に感謝申し上げます.本研究を遂行するにあたり,ご指導くださいました山口県立大学大学院健康福祉学研究科 吉村耕一氏に厚く御礼申しあげます.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

著者資格:NKは,研究の着想及びデザイン,データ収集,分析,原稿の作成に貢献した.MKは,原稿及び研究プロセス全体への助言を行なった.全ての著者は最終原稿を読み,承諾した.

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