日本看護科学会誌
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原著
中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度の開発
村上 佳栄子草野 恵美子
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2025 年 45 巻 p. 1033-1044

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Abstract

目的:中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検討する.

方法:先行文献から抽出した50項目を基に専門家8名及び保健師12名による内容妥当性を検討した後,住民31名への予備調査を経て30項目の尺度原案修正版を作成した.その尺度を用いて限界集落在住の65歳以上の高齢者652名を対象に質問紙調査を実施した.

結果:340名(有効回答率52.1%)を分析対象とした.その結果【地域資源を活用する力】,【誇りと相互扶助を培う力】,【地域に根差し自分らしく生きる力】,【主体的に健康を探求する力】,【学習や交流による生活充実力】の5因子23項目が抽出された.モデル適合度はGFI = .873,AGFI = .845,CFI = .911,RMSEA = .068を示し,外的基準との相関はr = .743であり,Cronbach’s α係数はα = .932であった.

結論:本尺度は一定の信頼性と妥当性が確認された.

Translated Abstract

Objectives: This study aimed to develop a reliable, valid scale to assess the strengths of healthy older people living in Genkai Shūraku in mountainous and hilly regions of Japan.

Methods: Content validity was examined based on a draft scale comprising 50 items extracted from previous literature, with input from eight experts and twelve public health professionals. A pilot survey conducted with 31 community-dwelling older adults helped us refine the scale into a final version comprising 30 items. This scale was then used to conduct a self-administered questionnaire with 652 people aged 65 years or older living in Genkai Shūraku in mountainous and hilly regions. The scale’s reliability and validity were further assessed.

Results: Responses were obtained from 340 people (response rate: 52.1%). Exploratory factor analysis extracted 23 items, which were categorized into five factors: ability to [utilize local resources], [cultivate pride and mutual support], [live true to oneself while being rooted in the community], [proactively seek healthcare], and [enrich one’s life through learning and interaction].

The Cronbach’s alpha coefficient of the scale was α = .932, and the correlation coefficient (criterion-related validity) was r = .743. The model fit indices were: GFI = .873, AGFI = .845, CFI = .911, and RMSEA = .068.

Conclusion: Substantive levels of validity and reliability were confirmed for a new scale named Strengths of Healthy Older People Living in Genkai Shūraku in Mountainous and Hilly Regions. Wider application of this scale will strengthen its utility in the field.

Ⅰ. 緒言

近年,日本は人口減少社会を迎え,高齢化の進展により,後期高齢者や高齢者の単独世帯および夫婦のみ世帯が急増している.また,介護者不足や地域コミュニティの脆弱化に伴い,社会的孤立が深刻となっている.このような状況下において,長年住み慣れた土地で自分らしく歳を重ねることを目指すAging in Placeの取り組みは,日本における重要課題である.

中山間地域の限界集落では,高齢化率の上昇に加え,市町村合併や産業・人口構造の変化による家族の広域拡大化(山下,2012)が深く関与している.この影響でコミュニティ機能が衰え,従来の互助機能の維持が困難になっている(厚生労働省,2015).今後,人口減少と高齢化が進むにつれ,限界集落問題は健康寿命を脅かす重要課題になると予測される.一方,農村型コミュニティの形成原理には,共同体的な一体意識や集団内部の同質的な結びつきがある(広井,2009).この特性を活かし,感情性に働きかける互助型地域コミュニティの取り組みへの期待が寄せられる.限界集落の社会的環境,居住利便性,気候や風土などの物理的環境,そして血縁や地縁といった感情的なつながりは,自助・互助・共助を促進する重要な資源となる.これらを踏まえ,住民の健康生活を支える社会システムの早期構築が求められる.

中山間地域の限界集落に居住する高齢者は,自分らしい暮らしを通じて健康を維持していることが示されており(高橋ら,2012),住み慣れた地域でできる限り生活継続できるよう支援することの重要性(濱田ら,2021高橋ら,2012渡辺,2012)が明らかになっている.身体的健康については,自立した生活が求められるため,基本的な日常生活動作能力は他地域と差はない(山内ら,2013)ことが明らかになっている.ただ,医療アクセスの制約により高血圧等の健康課題が指摘されている(小牧ら,2010).支援体制としては,別居する子からの支援(武村,2010)を得ながら,近隣サポート(豊田,2015)といった人的資源を構築していることが特徴である.これらの社会的関係や地域資源の活用が,高齢者の健康維持に寄与していることが示唆される.

長年住み慣れた土地で自分らしく歳を重ね,自分なりの健康を維持しながら生活を送る上でストレングスは重要な資源の1つである.

高齢者ケアにおけるストレングスは,人間のもつポジティブな面を現し,構成要素では個人(願望・能力・自信・強みなど)だけでなく,環境(資源・社会環境など)も含めて捉える概念(佐久川ら,2010)とされている.高齢者は人生経験が豊富であり,個人ストレングスとしてこれまでに培ってきた知恵(狭間,2001)や知識・経験(神山,2007)を持ち合わせている.これらのストレグスは蓄積された人生経験や知識を通じて発揮される(佐久川ら,2010)と示唆されている.そして,環境ストレングスとして自然環境と文化,人々のつながり(大口ら,2019)や地縁の強さ(安仁屋ら,2021)が高齢者の強みであるとともに,介護予防(神山,2007安仁屋ら,2021嶋﨑ら,2017)にも寄与しており,ストレングスは個人要因と環境要因が影響している(神山,2007)ことが明らかになっている.高齢者個人のストレングスに加え,地域環境から得られるストレングスをアセスメントし,その人の力をケアに活かすという点ではRapp & Goscha(2006/2014)のストレングスモデルと共通概念である.またFast & Chapin(2000/2005)は,ストレングスモデルは個人・集団・地域の強みを評価することができると述べている.

公衆衛生の視点では,ポジティブ心理学がコミュニティ形成を促し(島井,2023島井・小林,2020),高齢者の経験や能力を引き出すことは地域活性化につながる.これらをストレングスと捉え,客観的に把握して地域保健活動に活用することが重要であると考えられる.しかし,心理学では個人の性質に特化した尺度,看護学では精神・援助が必要な者を対象とした尺度はあるものの,限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングスを数量化する尺度は見当たらない.

本研究では,中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度を開発し,客観的指標として可視化することで,住み慣れた地域での生活継続を支援する地域社会の構築に寄与することを目指す.特に過疎少子高齢化が進行し,コミュニティ機能の低下が懸念される限界集落においては,高齢者の孤立,地域活動への参加減少,健康行動の低下などが課題となっている.本尺度は,これらを早期に把握し,保健師による個別支援や地域づくり支援につなげるための有効なツールとなる可能性がある.

本研究では,中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした.

Ⅱ. 用語の定義

中山間地域とは,農業生産条件が不利な山間地およびその周辺地域(食料・農業・農村基本法第47条)と定義し,過疎法・山村振興法・特定農山村法・半島振興法・離島振興法のいずれかに指定された地域を対象とした.

限界集落とは,65歳以上の高齢者が50%を超え,社会的共同生活の維持が困難な集落(大野,2005)とする.過疎地域のなかでも地域特性が異なる離島及び都市部・漁村は除き中山間地域を対象とした.

ストレングスとは,Fast & Chapinの定義とRappのストレングスモデルにおける個人ストレングス(熱望・自信・能力)と環境ストレングス(社会関係・資源・機会)を参考に「個人・環境要因から影響されるその人自身がもつ強み」とする.

健康生活とは,WHO及びヘルスプロモーションの定義を参考に「疾病や基礎疾患などを有していても,自身で身体的・社会的・精神的な健康を主体的にコントロールして生活している状態」とする.

Ⅲ. 研究方法

1. 尺度原案の作成

尺度原案を作成するにあたり,国内の28文献を対象に文献検討を行った.Rappのストレングスモデル(個人ストレングス:熱望・能力・自信,環境ストレングス:資源・社会関係・機会)を参考に,身体的・精神的・社会的健康における主体的コントロールに関連するストレングスとして421の記述を抽出した.これらの記述を基に,高齢者のストレングスのアイテムプールを作成した.次に抽出されたストレングスをコード化し,意味内容の類似性に基づいてサブカテゴリ化し,最終的にカテゴリへ統合した.これらのカテゴリに含まれるサブカテゴリを基に,尺度項目の構成に用いた.『地域での継続的生活や文化継承への願い』に関する項目,『自分らしい暮らしや健康維持への適応力』に関する項目,『地域での生活経験に基づく誇りと健康への自信』に関する項目,『自然環境や伝統文化,社会的資源』に関する項目,『家族・地域との助け合いの関係性』に関する項目,『交流や活動への参加機会』に関する項目である.また共同研究者とともに記述内容の重複や表現の検討及び修正を重ねた.最終的に50項目からなる尺度原案を作成した.

2. 内容妥当性の検討及び項目の修正

2024年5月に,公衆衛生看護学等に精通した学識のある専門分野(10年以上,尺度開発経験者含む)の研究者8名を対象として半構成的インタビュー調査を実施し,尺度原案の項目の適切性を検討した.質的分析により内容妥当性を確保し,47項目の尺度項目に精選した.さらに尺度の内容妥当性を確保するために,2024年8月にA市の高齢者保健担当課,地域包括ケアセンターの中堅以上の保健師(実務経験3年以上)12名を対象として無記名自記式質問紙調査を郵送法にて実施した.本研究では,予備調査を実施したA市及び本調査を実施したB市は,いずれも同一県内の中山間地域に位置し,人口規模,地理的条件,過疎・高齢化,限界集落の存在などに共通点がある.両市は,行政による限界集落支援や住民による地域づくりが推進されており,保健師の活動領域にも類似性が認められることから,予備調査の調査地とした.内容妥当性の検討では,尺度47項目を「1.妥当」から「4.妥当ではない」の4件法で評価した.1以外の回答には選択理由を自由記述で求め,除外・追加項目についても意見を収集した.これらを基に,item-level content validity index(以下I-CVI)を用いて検討し,評価が1または2の割合を算出した.I-CVIが0.8以上の項目を採択基準とした(Lynn, 1986).また,0.8未満であった3項目を除外し,「妥当ではない」の回答された理由を参考に,質問内容が不明瞭な項目や意味内容が重複する項目を削除し,内容妥当性を確保した.さらに,尺度全体の妥当性についてはScale-level Content Validity Index(S-CVI/Ave)を算出した結果,0.9以上となり,尺度全体として十分な内容妥当性が確認された.Rappのストレングスモデルの概念である熱望(3項目)・能力(8項目)・自信(5項目)・資源(5項目)・社会関係(4項目)・機会(5項目)で構成される中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度原案修正版(30項目)を作成した.

3. 予備調査

予備調査は,尺度原案修正版の項目内容及び表面妥当性を検討するために実施した.2024年9月に,中山間地域A市の限界集落の住民31名を対象として無記名自記式質問紙調査を行い,表現が不明瞭な項目や判断しにくい内容,健康生活におけるストレングスとなる内容を直接聞き取り,尺度項目を確認した.

最終的に30項目を尺度原案とした.尺度項目は4件法とし,「まったくあてはまらない:1点」から「とてもよくあてはまる:4点」とした.

4. 本調査

1) 調査対象者

選定条件を満たす中山間地域に位置するB市は人口約3万人,高齢化率は38%を占める地域であり,そのなかでも特に高齢化率の高いA地区(高齢化率63.2%)とB地区(高齢化率57.9%)の集落を対象とした.両地区は,地区の成り立ちや地形・歴史など生活圏及び文化背景においても類似しており,社会資源についても共通の資源を利用していることが特徴である.住民基本台帳を基に公表されている市の統計データより,当該地域の65歳以上の高齢者から入院者,施設入所者,要介護者,住民票のみの者,自治会長が日常的な活動の中で把握している住民の様子をもとに調査参加が困難であると判断した者を除外し,652名に無記名自記式質問紙調査を実施した.サンプルサイズについては,谷村(2023)の尺度開発の要件及び先行研究の標本数(200~400)を参考に回収率を50%として350名を目安として設定した.選定基準は,本研究の趣旨を理解し,協力の可否を意思決定でき,認知機能が維持できている及び自身で回答できる者を対象とした.

2) 調査方法

無記名自記式質問紙調査を実施した.調査期間は2024年11月~12月である.対象地区の自治会連合会に調査協力の承諾を得たのち,自治会長に研究の趣旨を説明し,協力を得た.その後,協力を得た自治会長を通じて,65歳以上の高齢者がいる世帯へ調査票と研究説明文書を各戸配布にて実施した.調査への参加は任意であり,回答は自由意思に基づくものであることを説明文書にて明記した.自治会長には,配布時にその旨を住民に伝えるよう依頼し,回答しないことによる不利益のないことを周知した.回収については,調査票の同意の有無欄にチェックをし,住民が返信用封筒を厳封して留め置き,後日提出とした.同意の有無が他者にわからないように同意しない場合も提出可能とした.

3) 調査内容

調査内容は,基本属性,中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度原案,および「ケアサイクルにある高齢者のストレングス尺度」(小薮ら,2022)である.

(1)基本属性は,年齢,性別,居住年数,出身地,同居家族,支援者,健康状態等を尋ねた.

(2)本尺度原案30項目を用いた.

(3)基準関連妥当性の検討に「ケアサイクルにある高齢者のストレングス尺度」(小薮ら,2022)を外的基準変数として用いた.

4) 分析方法

分析にはIBM SPSS Ststistics27,Amos27の統計ソフトを使用した.

(1) 項目分析

尺度原案30項目について,尖度(絶対値2未満)と歪度(絶対値1未満)を確認した.また平均値と標準偏差の算出による天井効果及び床効果を分析,項目間相関(.700以下),I-T相関分析(.400以上),G-P分析を行った.

(2) 妥当性の検討

①構成概念妥当性の検討

構成概念妥当性の検討においては,主因子法・Promax回転による探索的因子分析を行った.スクリープロットにより因子数を特定し,固有値1.0以上,因子負荷量が.40以上の項目を基準として採用した.下位尺度の因子を解釈し,因子名をつけた.探索的因子分析で得られたモデルを基に,確認的因子分析を行い,モデルの適合度指標を算出して構成概念妥当性を検討した.

②基準関連妥当性の検討

本尺度原案とケアサイクルにある高齢者のストレングス尺度の得点のSpearman相関係数を算出した.

(3) 信頼性の検討

内的整合性の確認のために尺度全体と各因子のCronbach’s α係数を算出した.

Ⅳ. 倫理的配慮

本研究は,大阪医科薬科大学研究倫理委員会の承認(試験番号2023-194/試験番号2024-047/試験番号2024-143)を得て実施した.調査への協力については,協力依頼の際に調査目的と方法,任意性,プライバシーの保護等について文書を用いて説明した.文書には本人の自由意思による参加であり,回答しなくても不利益を受けることはないことを明記した.調査票の冒頭に同意の有無についてチェック欄を設け,調査票の回答をもって研究参加への同意とみなした.

Ⅴ. 結果

調査の結果,A・B地区に居住する652人の65歳以上の高齢者に調査票を配布し,471人(回収率72.2%)から回答が得られた.年齢記述漏れ,尺度原案への未回答のあるものを除外し,有効回答340人(有効回答率52.1%)を分析対象とした.

1. 属性

対象者の基本属性は表1に示す.平均年齢は77.4 ± 8.0歳で前期高齢者132人(38.8%)人,後期高齢者208人(61.2%)であった.性別は,男性159人(46.8%),女性179人(52.6%)であった.現在の平均居住期間は,52.2 ± 25.4年であった.2人以上世帯は238人(70.0%),独居世帯は102人(30.0%)であった.同居していないが生活支援者ありは,278人(81.8%)であった.また生活満足度については,「とても満足」「まあ満足」と回答した者が254人(74.7%)であり,主観的健康観については「とても健康」「まあ健康」と回答した者が237人(69.7%)であった.

表1 基本属性

n = 340

変数 カテゴリー 人数(%) Mean SD
年齢 77.4 8.0
年齢区分 65~69 57(16.7%)
70~74 75(22.1%)
75~79 74(21.8%)
80~84 56(16.5%)
85~89 49(14.4%)
90以上 29(8.5%)
性別 159(46.8%)
179(52.6%)
未回答 2(0.6%)
居住年数 52.2 25.4
居住年数区分 50年未満 125(36.8%)
50~60年未満 52(15.3%)
60~70年未満 63(18.5%)
70~80年未満 46(13.5%)
80~90年未満 37(10.9%)
90年以上 14(4.1%)
未回答 3(0.9%)
出身地 現住所 178(52.4%)
市内(現住所以外) 94(27.6%)
市外 66(19.4%)
未回答 2(0.6%)
同居人数 1人(独居) 102(30.0%)
2人(2人以上) 238(70.0%)
非同居支援者有無 支援なし 62(18.2%)
支援あり 278(81.8%)
近隣との付き合いの程度 互いに相談したり日用品の貸し借りをするなど生活面での協力 102(30.0%)
日常的に立ち話をする程度のつきあいはある 190(55.9%)
あいさつ程度の最小限のつきあいしかない 41(12.1%)
つきあいは全くしない 3(0.9%)
未回答 4(1.2%)
生活満足度 とても満足 24(7.1%)
まあ満足 230(67.6%)
あまり満足ではない 75(22.1%)
全く満足ではない 9(2.6%)
未回答 2(0.6%)
主観的健康感 とても健康 17(5.0%)
まあ健康 220(64.7%)
あまり健康ではない 89(26.2%)
全く健康ではない 13(3.8%)
未回答 1(0.3%)
治療疾患の有無 229(67.4%)
101(29.7%)
未回答 10(2.9%)
要介護認定の有無 49(14.4%)
289(85.0%)
未回答 2(0.6%)
定期健診受診の有無 受けている 236(69.4%)
受けていない 100(29.4%)
未回答 4(1.2%)
健康行動 食事 296(87.1%)
睡眠 228(67.1%)
運動 194(57.1%)
生活リズム 118(34.7%)
外出 116(34.1%)
交流 114(33.5%)
健康教室参加 43(12.6%)
*重複回答 その他 29(8.5%)
外出頻度 ほぼ毎日 136(40%)
週1~3 177(52.1%)
ほとんど外出しない 22(6.5%)
未回答 5(1.5%)
生きがいの有無 202(59.4%)
125(36.8%)
未回答 13(3.8%)
農作業の有無 252(74.1%)
87(25.6%)
未回答 1(0.3%)
地域活動参加の有無 224(65.9%)
112(32.9%)
未回答 4(1.2%)
金銭管理能力の有無 はい 309(90.9%)
いいえ 31(9.1%)

2. 項目分析

尺度原案30項目の平均値は2.51~3.50,標準偏差は0.65~1.00であり,天井効果は4項目(1, 16, 18, 20)を示し,床効果を示す項目はなかった.また回答分布のヒストグラムを確認し,歪度絶対値1未満に該当しない項目は2項目(16, 18)であった.I-T相関では,r = 0.4以下を示す削除項目はなかった.またG-P分析では,すべての項目において上位群の平均値の差は有意に高かった.項目間相関では,相関係数が0.7以上であった項目の意味内容を吟味し,3項目(21, 22, 25)を削除した.

3. 構成概念妥当性の検討

1) 探索的因子分析

7項目を削除した後,23項目について主因子法・Promax回転による探索的因子分析を行った.因子数の決定については,初期解におけるスクリープロットで確認し,因子負荷量,固有値1.0以上を基準とし,第2~3主成分で累積寄与率が50%を超えることを確認し,因子数2から因子分析を行い,因子パターンが解釈できる5因子に集約された結果を採用した.23項目5因子(累計寄与率64.6%)を中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度として採用した.

2) 因子の命名

第I因子は7項目で構成されており【地域資源を活用する力】,第II因子は5項目で構成されており【誇りと相互扶助を培う力】,第III因子は5項目で構成されており【地域に根差し自分らしく生きる力】,第IV因子は3項目で構成されており【主体的に健康を探求する力】,第V因子は3項目で構成されており【学習や交流による生活充実力】と命名した(表2).

表2 探索的因子分析

n = 340

番号 項目 因子負荷量
第I因子 第II因子 第III因子 第IV因子 第V因子 共通性
第I因子(7項目)【地域資源を活用する力】α係数 = .877
24 地域や生活に関する情報が得られる近所づきあいを持っている 0.803 –0.053 0.037 0.091 –0.045 0.667
26 地域のなかで人と集う機会(お茶のみ会やお食事会,地域の行事など)がある 0.763 0.051 –0.179 0.085 0.043 0.591
28 民生委員,自治会長,行政職員など必要なとき頼れる社会資源を知っている 0.691 0.024 0.121 –0.164 0.139 0.608
23 近所の人と人間関係に折り合いをつけて生活ができる 0.651 –0.022 0.156 0.091 –0.055 0.573
27 この地域で生活するために必要な資源(農作業や仕事・助け合える人など)を持っている 0.545 0.235 0.048 0.015 –0.010 0.542
29 行政サービスや介護保険サービスなど必要なとき利用できる社会資源を知っている 0.531 –0.023 0.200 0.009 0.091 0.489
19 この地域には受け継がれた文化や伝統などがある 0.411 0.009 0.301 –0.037 –0.089 0.332
第II因子(5項目)【誇りと相互扶助を培う力】α係数 = .838
15 この地域で自分自身が少しでも人の助けになっていると思う 0.232 0.776 –0.223 –0.144 0.079 0.612
13 これから先のことを自分なりに考えることができる –0.138 0.724 0.086 0.200 –0.119 0.622
14 この地域で少しでも人の助けになりたい 0.174 0.688 –0.151 0.026 0.035 0.569
12 新しい考えを受け入れることができる –0.030 0.642 0.078 0.030 0.024 0.495
10 自分自身に誇りをもっている –0.123 0.603 0.284 –0.132 0.118 0.501
第III因子(5項目)【地域に根差し自分らしく生きる力】α係数 = .815
17 この地域に愛着をもって生活をしている 0.219 0.161 0.686 –0.129 –0.128 0.657
5 この地域で自分らしい生活がしたい 0.075 –0.027 0.651 0.129 –0.034 0.556
6 この地域での生活は健康にいいと思う 0.120 –0.066 0.623 0.051 0.024 0.486
7 自分でできないことも他者の力をかりながら生活を送ることができる –0.048 –0.176 0.604 –0.055 0.299 0.370
11 自分自身のこれまでの生き方について思い返すことができる –0.100 0.284 0.484 0.145 –0.007 0.524
第IV因子(3項目)【主体的に健康を探求する力】α係数 = .799
2 健康について考える機会がある 0.022 –0.138 0.068 0.837 0.062 0.696
3 健康に関心をもつために情報を得ることができる 0.122 0.126 –0.110 0.658 0.073 0.620
4 健康を維持するために自分なりに健康によい行動ができる –0.022 0.222 0.095 0.496 –0.015 0.490
第V因子(3項目)【学習や交流による生活充実力】α係数 = .724
9 生活のなかで学び合える(新しいことを知る)機会がある –0.108 0.166 0.109 0.094 0.660 0.653
8 生活の中で楽しみを持つための交流や趣味を持つことができる 0.046 0.188 –0.005 0.053 0.633 0.638
30 社会資源(健康教室,健康づくりサロン,老人クラブなど)を利用する機会がある 0.344 –0.172 0.000 0.008 0.466 0.375
累積寄与率(%) 40.3 48.2 55.0 60.2 64.6
因子間相関 第I因子
第II因子 0.560
第III因子 0.537 0.551
第IV因子 0.450 0.619 0.558
第V因子 0.478 0.503 0.338 0.452

尺度全体Cronbach’s α係数 = .932

注)因子抽出法:主因子法,Promax回転,因子負荷量.40以上

3) 確認的因子分析

探索的因子分析で得られたモデルを基に共分散構造分析を行った.分析の結果,適合度指数はGFI = .845,AGFI = .806,CFI = .878,RMSEA = .080を示した.さらにモデルの適合度を検討した結果,修正指数と改善度に基づき,4組の誤差変数間に共分散を仮定したモデルを構築した.本研究では,抽出によって得られた5因子を一次因子とし,ストレングスを二次因子とする高次因子モデルを設定した.このモデル適合度指数はGFI = .873,AGFI = .845,CFI = .911,RMSEA = .068と示されており,統計学的に許容可能な水準の適合度を満たしていることが確認された(図1).

図1  二次因子モデルの確認的因子分析

4) 基準関連妥当性の検討

本尺度と既存尺度との関連を表3に示す.相関係数を算出したところ,r = .743と相関が認められた.因子別では第I因子【地域資源を活用する力】r = .632,第II因子【誇りと相互扶助を培う力】r = .717,第III因子【地域に根差し自分らしく生きる力】r = .598,第IV因子【主体的に健康を探求する力】r = .491,第V因子【学習や交流による生活充実力】r = .516と有意な相関が見られた(p < .01)(表3).

表3 本尺度と既存尺度との関連

限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度
第I因子 第II因子 第III因子 第IV因子 第V因子 合計得点
ケアサイクルにある高齢者のストレングス尺度(n = 304)合計得点 .632** .717** .598** .491** .516** .743**

注)Spearman相関係数 ** p < .01

4. 信頼性の検討

尺度全体のCronbach’s α係数は,α = .932であった.下位因子におけるCronbach’s α係数は第I因子がα = .877,第II因子がα = .838,第III因子がα = .815,第IV因子がα = .799,第V因子がα = .724を示し,内的整合性が確認された(表2).

Ⅵ. 考察

1. 基本属性

本調査では,対象者の52.4%が現住所出身であり,居住歴50年以上の者が半数を超えていた.また,近隣住民との生活協力(例:日用品の貸借)を行う者が約30%存在しており,地域内には社会的結びつきや相互扶助の文化が根付いていることが示唆された.

2. 尺度の信頼性と妥当性

信頼性の検討においては,本尺度のCronbach’s α係数はα = .932と基準を満たしており,また5因子構造が抽出され,下位尺度においても0.7以上の値を示し,信頼性を確保できていると考えられる.

尺度原案の内容妥当性は,公衆衛生看護学の研究者による質的評価に加え,限界集落を管轄する中堅以上の保健師による質的・量的評価により,客観性を確保することができたと考える.さらに住民を対象とした予備調査によって妥当性が確認された.また,ケアサイクルにある高齢者のストレングス尺度の外的基準との間に有意な中程度から強い正の相関が認められた.

構成概念妥当性においてはGFI = .873,AGFI = .845,CFI = .911と適合度は良好であり,CMIN/DF = 2.551,RMSEA = .068と許容範囲内であった.本尺度のモデルは,妥当な適合度を示しており,構成概念妥当性が確認された.

各因子に属する項目群は,因子負荷量が0.40以上であり,Cronbach’s α係数(α = 0.724~0.877)を踏まえ,各因子を下位尺度とみなし,因子ごとの合計得点を算出することは妥当と判断した.また,全項目において高い内的一貫性(α = 0.932)が確認され,項目-合計得点相関もすべて0.30以上であったことから,全項目の合計得点を尺度全体の指標として用いることも適切と考えられる.

以上より,本尺度は中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングスを測定する一定の信頼性と妥当性を有する尺度であると考えられる.

3. 尺度の各因子について

本尺度は,23項目5因子構造であることが確認された.尺度の構成項目は,抽出過程においてRappのストレングスモデル(個人ストレングス:熱望・能力・自信,環境ストレングス:資源・社会関係・機会)の枠組みを参考に分類したが,実際には個人ストレングスと環境ストレングスの要素が混在した因子配列となった.先述の通り,個人だけでなく環境も含めて捉えることの重要性が反映されていると考えられる.

第I因子【地域資源を活用する力】(7項目)は,限界集落の暮らしのなかで住民が長年にわたり自然と培ってきた社会関係や生活に必要な資源を活用し,地域とつながりながら健康な生活を営む力をもっている特徴から命名した.岡本ら(2019)による地域の強み概念の特性として「資源発掘・活用力」があり,住民自身が社会的ネットワークや生活資源を有効に活用することが,健康行動の維持・促進につながることから本尺度の第I因子に相当する.またこれらが中山間地域での限界集落における高齢者のストレングスとしての特徴を表しているかについては,限界集落でのインタビュー調査をもとにした先行研究(村上ら,2015村上,2021)との類似性から考察する.先行研究(村上ら,2015村上,2021)では,人口構造や生活基盤の脆弱性の中で,相互扶助・地域愛着・衰退への危機感と使命感・自然との共生が生活継続の基盤となる限界集落特有の要素を示しており,限界集落について記述された玉里(2009)山下(2012)も同様の見解を示している.村上ら(2015)は高齢者の暮らしを支える要因として,隣人や農協・行政職員との交流等を含む「地域で培ってきた人間関係」や「自然と共存する郷土への愛着」を挙げており,本研究での【地域資源を活用する力】もサービスや施設の多さではなく人間関係や人的資源,受け継がれた文化や伝統を資源としている点に共通性があると考えられた.

第II因子【誇りと相互扶助を培う力】(5項目)は,自分に誇りをもち,地域に貢献しながら,先のことを前向きに考えるとともに,新しい価値観も受け入れられる力が培われているという特徴から命名した.誇りは,Rappのストレングスモデルの自信に位置づけられている.またHart & Matsuba(2007)によれば,誇りは向社会的行動の間接的な動機づけになり得るとされており,人はその行動を通じて他者からの尊敬と敬意を集め,社会的地位と自尊心を維持・向上しようとする目的があると示唆されている(有光,2008).ストレングスは,これまでの豊富な経験や知識は,生活経験を通じて蓄積された能力や強さ,豊かさであり,本人の特性や価値が重視される要素(山口,2009)とされている.さらに生活の中で人の役に立ちたい思いは,相互扶助につながり,個人の社会的役割を認識されることにつながる.南部ら(2020)は,農村高齢者の社会的相互扶助が低いと生活機能も低下することを示しており,相互扶助が生活機能を支える重要な要素と考えられる.またソーシャル・キャピタル(Putnam, 1993)は,信頼・社会規範・ネットワークなどの社会関係資本であり,ストレングスモデルでも,環境ストレングスの一部としてソーシャル・キャピタルは機能する.誇りと相互扶助の実践は住民同士の助け合いを促し,持続可能な地域社会の形成に寄与する要素である.先行研究では,「地域で培ってきた人間関係」による役割意識の満足感(村上ら,2015)や故郷の存続から継承・活性化の思い(村上,2021)が挙げられており,本研究での【誇りと相互扶助を培う力】は,相互扶助が役割意識を支えつつ,自分の暮らしを見据えながら生きている点に共通性があると考えられる.

第III因子【地域に根差し自分らしく生きる力】(5項目)は,地域に愛着をもち,自分らしい暮らしを築き,住民同士の支え合いの中で心身の健康を保ちながら生きる力をもっている特徴から命名した.酒井ら(2016)の地域への愛着尺度には「自分らしくいれるところ」という下位概念があり,本尺度においても類似概念として位置付けられる.岡本ら(2019)は,地域の強み概念の特性として「歴史・風土への愛着」に地域への愛着や地域の歴史・文化・自然への慈しみを位置付けており,ストレングスの資源に通じる概念とされている.さらに,狭間(2001)はストレングスを「うまく生きていく力」と定義しており,これらの概念に相当するものであると考えられる.先行研究では,「健康への不安と対処」(村上,2021)を自ずと身につけていたことや自然のもつ癒しの効果から「自然と共存する郷土への愛着」(村上ら,2015)をもっていることが挙げられている.本研究での【地域に根差し自分らしく生きる力】は,地域での生活が心身の健康に寄与するという認識や自立と支援を柔軟に組み合わせながら生活を営む姿勢において共通性があると考えられる.

第IV因子【主体的に健康を探求する力】(3項目)は,医療や交通などの資源が限られる限界集落において,健康を意識的に考え,必要な情報を自ら得て,その情報を活かし,生活や環境に適した健康づくりに取り組む力を備えている特徴から命名した.これは個人の強みに加え,環境ストレングスを活かしている強みともいえる.岡本ら(2019)の「資源発掘・活用力」「折り合い・統制力」「キャパシティ発展力」の概念に相当し,住民が主体的に健康づくりを目指して,情報収集及び自ら健康を決定する要因をコントロールする力を備えていることが示唆される.健康とその決定要因をコントロールし,改善するヘルスプロモーション(島内・鈴木,2013)に通じ,また行動は意図だけで決まるものは少なく,適切な機会や資源に関連する(島井,1997)と示唆されている.ストレングスモデルにおいても生活がうまくいく人は,目標に関連した機会や資源へ接近でき,それが環境ストレングスとされる.先行研究では,医療機関へのアクセス困難で,病気時には土地を離れざるを得ない状況にあることから,健康維持のために「健康への自負心」をもつとともに,活動意欲を持ち続ける「精神的な強さ」(村上ら,2015)や人生に対する主体的な態度を備えた「生活への適応力」(村上,2021)が挙げられており,本研究での【主体的に健康を探求する力】において高齢者の主体的な健康行動に共通性があると考えられる.

第V因子【学習や交流による生活充実力】(3項目)は,学習や交流を通して新たな知識や技能を得ることで生活を豊かにする力の特徴から命名した.また家々の距離が離れていても,日常的な関係性や地域活動への参加によって地域とつながりが保たれていることが示唆された.地域の強み概念の特性である「意思決定・組織的推進力」のサブカテゴリである「地域の健康課題解決に向けて組織的に動く可能性」(岡本ら,2019)に相当する.また岩本・藤田(2013)は,ストレングスとされる知識や知恵といった強みを自覚・活用することがエンパワメント・QOLの向上につながることを示唆している.これらの概念より学習や交流を通して健康課題を明確化し共有することで地域へのエンパワメントが促進され,QOLの向上へとつながる項目であるといえる.中山間地域での限界集落では,仲間との活動による生きがいや楽しみが「精神的な強さ」(村上ら,2015)となっており,本研究での【学習や交流による生活充実力】において交流することで生活が充実している点に共通性があると考えられる.

本尺度が限界集落の特徴を表しているかについては,上記の通り限界集落でのインタビュー調査による先行研究をもとに類似性について述べてきたが,次に都市機能をもつ地域との違いから考察する.小規模都市の高齢者は都市機能やサービスに依存できるため,特に環境面での生活困難の質は異なる.安仁屋ら(2021)の限界集落以外の高齢者の環境ストレングス調査において,利便性や治安,子育てのしやすさが報告されているが,これらの要素は本研究の尺度内容には含まれなかった.さらに都市部を含む全国調査にて開発されたケアサイクルにある高齢者を対象としたストレングス尺度(小薮ら,2022)では,例えば,社会関係に関しては家族・友人が挙げられている一方で,本尺度では,生活の中で身近な近所の人とのつながりが項目として残った.さらに,個人の未来展望や自己効力感を基盤にしている一方で,限界集落では第II因子のように共同体への貢献感や人とのつながりが基盤に置かれていた.このように,都市機能をもつ地域と比較すると限界集落のストレングスは,個人の力だけでなく共同体の中で地域環境や人間関係との相互作用に支えられている点に,より特徴があると考えられる.

4. 尺度の意義と実践

本研究は,尺度原案作成時にRappのストレングスモデル(個人ストレングス:熱望・能力・自信,環境ストレングス:資源・社会関係・機会)に分類し,因子構造と項目内容を検討した.その結果,限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングスには,個人ストレングスと環境ストレングスの両面が含まれることが示唆された.また地域資源が限られる限界集落においても,社会的つながりや生活の充実度を評価できる点に特徴がある.

また本尺度は要支援・要介護等の高齢者だけを対象とするものではなく,自立高齢者のストレングスも測定できること,また健康生活を送る上でのストレングスに焦点を当てている点が,既存尺度との相違点であり,限界集落で生活をする高齢者の健康に関する予防的支援にも役立つ点が特徴である.西梅(2014)は対象者のストレングスに焦点をおき,それを認識することがエンパワメントの促進に通じると述べている.本尺度を個別支援におけるアセスメントに活用することで,住民がもつ強みの特性を把握し,地域資源の活用支援,役割づくり,健康行動の促進,交流機会の提供など個別性のある予防的支援の精度が高められる.これにより,支援の優先順位や介入のタイミングを判断しやすくなり,生活の質の維持に寄与することが期待される.さらに地域全体の健康課題の把握やエンパワメントの促進・強化にも寄与できることが考えられる.

Ⅶ. 本研究の限界と今後の課題

本尺度の開発にあたっての本調査は,協力が得られた2地区を対象地域としており,対象者に偏りがあった可能性が考えられる.また,中山間地域の限界集落に焦点を当てた調査であるため,地域性を考慮し,中山間地域以外の限界集落を含む地域でも幅広く使用可能であるか検証していく必要がある.本尺度を活用しQOLの向上や公衆衛生看護の実践に貢献できる研究へと発展させることが今後の課題である.

Ⅷ. 結語

本研究では,中山間地域の限界集落で生活する高齢者340名を対象に中山間地域の限界集落において健康生活を送る高齢者のストレングス尺度を開発した.その結果,【地域資源を活用する力】,【誇りと相互扶助を培う力】,【地域に根差し自分らしく生きる力】,【主体的に健康を探求する力】,【学習や交流による生活充実力】の5因子23項目が抽出された.モデル適合度はGFI = .873,AGFI = .845,CFI = .911,RMSEA = .068を示し,本尺度は一定の信頼性・妥当性を確認された.

謝辞:本研究の実施に際し,多大なるご協力を賜りましたA市の保健師の皆様および住民の皆様,さらにB市の自治会長ならびに住民の皆様,社会福祉協議会の皆様,関係機関の皆様に心より深く感謝申し上げます.また研究を遂行にあたり貴重なご助言をいただきました公衆衛生看護学等の専門家の皆様,大阪医科薬科大学の飛田伊都子教授,樋上容子教授,文献検索において多大なご協力を頂きました大阪大学医学部保健学科招へい教員・国立成育医療研究センター共同研究員 諏訪敏幸氏に厚く御礼を申し上げます.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

著者資格:KMは本研究の着想及びデザイン,データ収集・分析,論文執筆の研究プロセス全体に貢献した.EKは,原稿への示唆及び研究プロセス全体への助言を行った.すべての著者は最終原稿を読み,承認した.

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